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第二章
10国王の思い①
しおりを挟む私の名前はアリオス・シェリラン。
シェリラン王国の国王であるが憂鬱な時間を過ごしている。
それというのも目の前の男の所為だ!
「本当に立派でしたぞ陛下」
「あー、そうか」
右から左に抜け、私は宰相の言葉を聞き流す。
本当に嫌味な男め。
「人の話はちゃんと聞いてください」
「ならばニヤニヤしながら言うな!」
先日の舞踏会にて、私は失態を犯した。
その日は我が心の友の息女の社交界デビューだったとは知らずにいた。
「まさか、その日にディーが参加しているとは」
「私は知っていましたが」
「嫌がらせオンパレードか!」
私が視察なのを知ってその日を選んだか。
「万一陛下が参加したらディーに絡むでしょう」
「むっ…」
「距離感を保てない陛下の所為で一時期ディーがどれだけ苦労させられたか」
「あの時はまだ忘れされた王子だったぞ」
在学中に運命的な出会いをした私達は親友になり、卒業後も共に過ごすはずだった。
しかし運命は残酷だった。
王太子が病死、その後王位継承権を競った馬鹿な兄親族が共倒れになって私はたなぼた王となった。
王位など欲しくなかった。
望んでいなかったし国王など牢獄に入れられた囚人だと思っていた。
対するディアス事ディーは優秀だった事から子爵家の婿養子に望まれた。
だが、その道が私達の分かれ道となった。
「王など好きでなったのではない」
「ですが腐敗しきった貴族社会に、借金大国の祖国を救うには必要でした」
「お前も宰相になるのは望んでなかっただろう」
「ええ」
国を思う気持ちはあれど、貴族社会を誰よりも嫌い家族ですら信じられない。
いや家族こそが敵だった私達は孤独だった。
そんな孤独から救い出してくれたのがディーだった。
「ディーがこの国を、子供達の未来を守って欲しいと言った」
「私達のような人間を増やさない為にも…そして恩人である友との約束です」
私達はかつて塵屑だった。
この世に必要ない存在だと馬鹿にされ、侮辱され虐げられて来た。
だが死ぬような事はなかった。
だが周りから不要な異物の存在とされて来た私達は当時の私達は馬鹿だった。
自分で状況を変えようとせず努力しなかった。
何をしても無駄だと思い込んでいた日々を壊してくれたのがディーだった。
「教室で一人で、希望もなかった私にディーが教えてくれた」
「私もですよ」
だから私は自分の不遇を壊す事にした。
何時かこの国を変えようと語り合った物だ。
だが人生はそう甘くなかった。
私が学園を卒業する一年前に事件が起きたのだ。
それによって多くの人の運命が変わってしまった。
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