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第一章伯爵家の見習い料理人
8ある意味世間知らず
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食事会は大成功に終わり、滞りなく終わった事を聞かされた。
「まぁまぁだったわ」
「ありがとうございますお嬢様」
ヒルデガルドのまぁまぁはとても良かったという意味だった。
「だけど厄介な事になったわね」
「どうされました?」
「貴女の料理を従兄が気に入ったの」
「問題があるのでしょうか」
「何も解ってないわね」
溜息をつくヒルデガルドは変な所で世間知らずなリーシェをどうしたものかと悩む。
「私の従兄は身分が高いわ。狙っている令嬢や、媚びを売る貴族、商人が多いのよ」
「はぁ…」
「だけど従兄は少し潔癖な所があるわ。その従兄が貴女の料理を気に入り、万一接触して貴女を気に入ったら厄介よ」
ヒルデガルドは変な所で鈍いリーシェが心配になった。
教養高く、かといってでしゃばらず、権力に媚びることなく興味もないリーシェを従兄が気に入らないはずがない。
「従兄は薔薇よりもヒマワリが好きなの。素朴な方が好きなのよ」
「褒められてます?」
「自己主張が強すぎる花は飽きるわ」
(絶対に褒められてない!)
解ってはいたが、リーシェの容姿は平凡であることを理解していた。
(解ってないわねリーシェ)
だがヒルデガルドは別の事を考えていた。
確かに見た目が美しいのは良いかもしれないが、宮廷貴族達は心が醜く。
己の欲の為なら相手を殺す事などどうでも良いと考えている。
幼い頃からその醜さを見ている所為でルクシオンがどれだけ傷ついているか解らない。
しかも今は王宮で問題を抱え。
その問題を良い事に王家を乗っ取ろうとするのは貴族だけではなかった。
「リーシェ、貴女は何も知らないから私の言う事を聞いていればいいのよ」
「はっ…はぁ」
「何よ、その返事は!貴族の事をもっと勉強なさい。今のままでは私の傍仕えとしてはまだまだよ」
「頑張ります」
あまり意味を解っていなかったがヒルデガルドの為に頑張ろうと思った。
その様子をこっそり見る影があった。
「ヒルデ…私は嬉しいよ」
「お嬢様、ご立派に成長されて」
カミュとマークは涙ながらにヒルデガルドの成長を喜んでいたのだが。
「ルクシオン様、該当する少女は町にはおりませんでした」
「そうか…」
王宮に戻り、側近が報告書を見せるも。下町のパン屋には該当する少女は一人もいなかった。
「そうか…」
手がかりが少なすぎる。
もしかしたら隣町もと調べていたが見つかる事はなかった。
「ルクシオン様、お手紙が届いております」
「必要ない」
「しかし…」
「兄上の婚約者からの手紙を何故受け取る必要がある」
便箋の色ときつめの薔薇の香りで誰かなんて解るの下げさせるように告げた。
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