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第一章
10調書
弁護士に見せられた調書にはびっしりと書かれていた。
正式に訴えをするキャスティ家は今回の騒動の所為で貴族からの信頼を失い、尚且つ他のお得意様である貴族からキャンセルされてたこと。
そしてキャスティ商会の名誉を傷つけた事に関して訴えている。
「でも、キャスティ商会に慰謝料だなんて!」
「あちら側も被害者です。一番の被害者であるカナリア令嬢ですが…キャスティ家は彼女に謝罪文とできるだけの慰謝料を支払うつもりです」
「でも、彼女は…」
「ええ、貴方達に何も訴えもされなかった。普通は契約違反に、支度金の返上と、新居は返上するのは当然です。勿論花嫁衣装にかかった費用とお品もお代えするのが当然ですが」
「そんな!」
消耗品でもあるドレスや花嫁衣装は既にエミリーの物にしている。
コルセットや手袋にアクセサリーもだ。
「ですが、既に他の女性が身に着けた物など論外ですね。新居の寝具も他の女性と事を構えた品等触りたくないでしょう」
「いくら何でもそんな酷い事を!」
「これは一般論です。カナリア嬢は何も仰せではありません。逆に貴方ならどう思われますか?」
弁護士はランドルフに問うた。
「いきなり他に好きな男性がいる。既にその男性と肉体関係があると言われた後に、一夜を共にした寝具をそのままお使いになれますか?」
「できるわけないだろう!」
「ならばご理解いただけますね。新居に関しては貴方がカナリア様から買い取る形になりますが。土地代はかかりますので全て引き取るならこれだけは相当の額になります」
既にキャスティ家から慰謝料を請求されている。
付け加えて、結婚した後に住まう新居はギルド長から良い物件を買い取った。
新居も完成しているのだが、カナリアの為にと破格の金額で家を建てたのだが、その費用は相当なものだ。
「僭越ながらある程度の計算をさせていただきました」
「なっ…」
「こんなに?」
親切心で弁護士は金額を数字にするも。
「これは大まかです。そこから増える可能性もありますし…婚約破棄をされたのであれば、慰謝料は義務ですが」
「でも、カナリアは支払わなくて良いと言っているのよね?」
「はい!ですから支払う必要はありません」
「支払った方がいいですが…好きにしてください」
これ以上の出費は無理だという母親とランドルフに弁護士はあきれ果てていた。
不義を働き、慰謝料を踏み倒す事は後にどんなあしらいを受けるか。
後悔してからでは遅いのだから。
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