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第二章
20女性記者
しおりを挟む本当は行きたくないが、これ以上騒ぎを大きくされても迷惑だと思い重い腰を上げて部屋に入る事にした。
「遅くなって申し訳ありません」
「ああ…」
「何分今は新しいスクープで他の記者も大忙しで、本来はアポを取っていただくのですが」
遠回しにお前事に時間を作る暇はない。
アポなしで来るなんて非常識だと言っているかのようだった。
「アポが無くてはダメなのか?」
「カナリア嬢は事前に連絡を下さっていましたのです。私達記者はスクープがあれば国を飛び越えてまいりますので。今日はたまたま事務作業でおりましたが…明日からまた取材で二週間ほど」
「二週間も!」
(本当に世間知らずの馬鹿な男)
女性が仕事をする事はどれだけ大変か理解していない。
今でこそ王都内でも売れっ子記者となったが、その裏で並大抵の努力ではなかった。
「今でも新聞記者は男性という考えが多いですから。女性記者が認められるには倍の仕事をこなしても足りませんわ。カナリア嬢のように」
「カナリアが?」
「ええ王宮の侍女に選ばれるのは倍率が高くその中でも一割しか女官見習いになれませんわ。そこからのし上がるのはどれ程大変か…一切の権力は使えませんし」
「えっ…」
カナリアがどれだけ苦労して女官になったか伝えると初耳と言わんばかりだった。
「幼少期から多くの犠牲を払い女官になられたカナリア様は女官の仕事を死ぬまでされると仰せでして。私も彼女に憧れてましたのよ…王妃陛下も彼女を買ってましたし。普通は無理ですわ」
「それは…」
「ですから余計に心配してましたの。女官の仕事に理解が無い男性に嫁ぐなんてナンセンスですから婚約解消をして良かったと…ですのに私達は勘違いしましたわ。まさか婚約破棄をされてお国から追い出されるなんて」
「なっ!」
「女官の仕事も奪われ、新居まで奪ってしまわれるなんて…ですが天は彼女に味方しましたわ。当然ですわね?」
笑顔の中に悪意が感じるのは言うまでもない。
アイーリャは確信犯だったがその素振りを見せなかった。
「まさか、隣国の王弟殿下に見初められるなんて。まるで小説のようですわ。ランドルフ様も安堵されたのではございませんか?」
「何を!」
「噂では矜持を傷つけられて晒し物になり見捨てをしたと聞きましたが。よく考えれば望まぬ婚約が無くなったのですから喜んでも嘆く必要はありませんもの」
「喜ぶだと!」
あんまりな言いぐさに苛立つランドルフだったが、追い打ちをかけるようにアイーシャは言い放つ。
この程度ですませるものかと。
戦友でもあるカタリナを侮辱した罪は簡単に許されるものではないのだから。
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