婚約者は愛を選び、私は理を選んだので破滅しても知りません!

ユウ

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第三章

7乱入夫婦

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「待ってくれ」


そこに現れたのはノックも無しに入って来たレオンハルトと我が子を抱いたアレーシャだった。


「お二人共!」

「どうなさいました」


このタイミングで入って来た二人に嫌な予感しかしなかった。


「ユリア」

「申し訳ありません」

傍付きの侍女であるユリアはため息をついていた。

その理由は。

「その訪問は俺達に任せて欲しい」

「是非!」

「「はぁ?」」


とんでもない事を言いだした二人に周りは困惑する。


「兄上…」

「ミリアはアレーシャの傍付きの侍女だ。何より恩がある」

「この大事の時に私は何もできませんでした。できることがあるならさせてください」

「だからと言ってですね…」


エンディミオンは嫌な予感がした。
この二人にこの計画の事を言うのは気が引けた。

宰相としてこれまで裏工作は慣れっこだった。
時には人を騙す事も平気でして来たが、レオンハルトは根っからの騎士体質で誠実だった。


故に今回の計画は反対されると思ったのだから。


「兄上、今から何をするか解っておられますか?」

「無論だ」

「兄上の大嫌いな行為です」


人の弱みに付け込み粗探しをして、言葉巧みに騙して責め立てる行為だ。


「エンディミオン、俺をあまり侮るな。俺だって騎士としてそれなりの事はして来た」

「ですが…」

「だが、ここでお前にすべてを背負って貰う事はできない。いやしたくない」


アレーシャが子供が出来ない事でどれだけ悩んだか。
不妊治療を行う間もアレーシャは精神的にも肉体的にも苦しんだが、常に一緒に頑張ってくれたのは、ミリアだった。


自分の妊娠中で辛かったのにも関わらずだ。


「ミリアを守るのは当然だ。そしてエスターも」

「お二人には返しきれない恩があります。今ここで私が出ないでどうします」


二人の決意は相当な物で断る事はできなかった。


「これは断れませんわね」

「しかしだな、カナリア」

直情型の兄を心配するが気持ちも解るのだった。


「エンディミオン様、私がおります」

「義姉上…」


「お忘れですか。私の環境を…たいていの事は流せますわよ」


アレーシャはずっと義母の義妹に虐げられて耐えて来た忍耐力がある。


「絶対にボロは出しませんわ」

「お願いしますお義姉様」

「はい、お任せください」


こうしてレオンハルトとアレーシャにセリアに会いに行ってもらうこととなった。




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