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第二部メトロ学園へ入学
5サンドイッチ
しおりを挟む午前の授業が終わり四人はカフェテラスに向かった。
「それにしても、アイツも馬鹿だよな」
「本当だ!」
恥をかかそうとして逆に恥をかかされたヒューバートは罰だけでなく減点をされてしまった。
「ああいう連中は自滅するわ」
「お前、最初からそのつもりかよ」
「何もしてませんわ」
エステルは手を出していない。
向こうが勝手にやったことなのだが結果的に罰を受けるのは解っていた。
「お前、虫も殺さないような顔をして」
「自業自得です」
「同感たい」
自滅したヒューバートはそれ相応の報いを受け、逆にエステルは最初の授業で評価を受けた。
この学校ではランク上げするには星が必要だった。
その星にもランクがある。
学内の実技試験や論文などで優秀な成績を収めた数によって与えられる星も違う。
その星は魔石と同等の役目を果たすのでただのランク上げの証だけではなく魔法を使ったり自分の身を守る為に役立つ物だった。
「でもすごいですね、初日で紫水晶なんて」
「流石年配の先生だな」
石の品質によって評価が代わり希少価値の高い品質を多く持っている生徒はそれだけ早い段階にランクを上げられる。
ただしランクを上げたとしても生徒の立場が同じとは限らない。
銀ランクに上がっても優劣は存在する。
逆に格下の銅ランクであっても銀ランクを押しのけて評価を受けることもある。
「この学園は実力主義ですが、ランクが低いと肩身が狭いですから」
「貴族平民と権力を使えなくても、ランクが上なら何も言えないからな」
「俺等もがんばるたい」
学園内ではどんな貴族でも平民を虐げることはできないとなっているが、ランクが上の者に従うのは自然な流れだった。
「まぁ、外部の介入がないだけましと思わなくては」
「そうですね…」
これで貴族の権力なんて使われたら大変なことになる。
「とは言え、学園側は生徒の自主性を高め為とか言っているし」
「良く言えば自主性を、悪く言えば放置だわ」
「お前な…」
もう少しオブラートに包めばいいと思ったがエステルはあっけらかんとしている。
「食事にするっちゃ」
「そうだな。とりあえず飯にしようぜ」
「僕もお腹が空きました」
昼食時間も限られているので早く食事にしようと促されたのだが‥‥
「サンドイッチだな?」
「うまかそーたい」
トレーに乗っているのはサンドイッチとフライドチキンにポテトだった。
ユランとサブローは早速食べ始める。
「エステルさん?」
エステルはさっきからソワソワしている。
「どうしたとね?」
一向に食べる気配がないエステルにサブローも食べる手を止める。
トレーの周りを探してるエステルにユランは気づいた。
「おい、まさかだとは思うが」
「な…何です?」
エステルは表向きはポーカーフェイスをしているが眉が吊り上がっていた。
「サンドイッチをフォークとナイフで食べようとか思っていないだろうな?」
「「え!」」
ルークとサブローは驚く。
「いけませんの?」
「あのなぁ!サンドイッチをフォークとナイフで食べる奴がいるか?」
「我が家ではそうしてました」
さらりと答える。
生まれが名門貴族生まれで物心つく前からテーブルマナーは叩きこまれていた。
(投獄されてからはスープだけだったし…)
パンを齧ると言う行為をしたことがなくどうしたらいいか解らない。
(どうやって食べればいいの?)
サンドイッチをフォークもナイフも使わず食べるにはどうしたらいいか悩む。
「仕方ねぇな、俺が教えてやるよ」
ユランは温室育ちで世間知らずのエステルに色々教えてやろうと意気込むが。
「エステルさん、そのまま齧るのがうまか」
「おい!」
サブローが率先して食べ方を教えていた。
ちゃっかり美味しい所を取られて怒るがエステルもユランを完全に無視をいていた。
「えっと…」
「そのままがぶりと行くと」
サンドイッチに口をつけて少しだけ食べる。
ぎこちない手つきだったが、今まで食べたサンドイッチよりも美味しかった。
「うまかとね?」
「はい」
「チキンもこうたい」
切り分けないでそのまま食べるとまるで味が異なる。
(すごく美味しい…)
パクパクと食べるエステルはまるで小さな子供のように思えてならず、サブローはついつい世話を焼いてしまう。
(エステルさんはこまかね…)
地方出身者で貧しい平民であるサブローですら解る。
エステルは名門貴族の令嬢で本来ならば自分達が言葉を交わすこともできない程身分の高い女性だろうと。
手で物を掴んで食べる習慣すらない程だ。
エステルを見ていると妹を見ている様で、胸が温かい気持ちになりながら外野でユランが騒ぐのを無視してサブローはサンドイッチを食べた。
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