ある公爵令嬢の生涯

ユウ

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第三部騎士科の道

27.平和な日常

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一学期が終り夏休みとなったエステルは王都の噂など知らずにいた。


「ちょっと、半裸でうろついてんじゃないわよ!!」

「そんな怒ることないだろ」


めでたく銀ランクに昇格したユランとジークフリートだったが、寮ではやかましい日々を送っていた。


「信じられないわ!乙女の前で!」

「誰が乙女ですか。気持ち悪いですね」

「なんですって!!」

ジークフリートはミシェルを睨みつけながらコレクションの眼鏡を拭いている。


「あの、気になったのですが」

「何ですか?」

「どうして眼鏡が沢山あるんですか?」


テーブルに並べられた眼鏡は100個はある。

「予備です」

「予備…」

眼鏡の予備なんて一つあれば十分ではないか?とさえ思ったが…


「こっちはビル、こっちはステファニーでこれがトニーです」


(((名前付きかよ!)))

全ての眼鏡に名前がつけられておりドン引きする。


「何?アンタ眼鏡しか友達いないの!ダサいわね」

「性別を偽り魚しか友人がない寂しい貴方に言われたくありませんね」

「きぃぃぃ!!」


両者譲り合うことはない。
そもそも二人は身分以前に気が合わない。


「あんたのファッションセンス最悪なのよ」

「貴方の恰好もどうかと思います。男性らしい恰好したらどうです!しかも部屋には変なモノばかり置いて」

「私の化粧道具アイテムよ!」


ミシェルの必需品は可愛いお化粧道具の数々。
デコも完璧にされており女子力が半端ないのだったが、ジークフリートは生理的に受け付けなかった。

「寮を貴方の趣味で埋め尽くさないでください」

「新参者は口だすんじゃないわよ」

「新参者は貴方でしょうが!」

銀ランクに昇格したのがミシェルの方が先だが、後からこの学園に入ったので新参者と言われても仕方ない。

「ハッ、私より先に入った癖に昇格するのが遅かったわね」

「貴方は棚から牡丹餅ではありませんか!」

「なんですって!!」

「なんです!!」


バチバチと火花を散らす二人にルークはオロオロする始末。

「甘い香りがすると」

「ミシェル様からいただいたハーブです」

「わぁー…とっても綺麗です」

二人のやり取りを無視しながらお茶を楽しむ三人は関係ない顔をしていた。


「おい!お前等!!」

ユランは無視をする三人をどうにかしろと訴えるもむなしく終わる。


「ちょっとユラン!」

「ユランさん!!」

ミシェルとジークフリートは一斉にユランに怒りをぶつける。


「これをどうにかして!」

「なんとかしてください!」


「何で俺!」


差別の男と性別の男の揉め合いに巻き込まれた哀れなユランは今日も気苦労が耐えなかった。



「そういえばエステルさん」

「何かしら?」

「サンマルク大聖堂で新たな絵が飾られるそうですよ」

「へぇー…どんな絵かしら」

王都でも一番の大聖堂と呼ばれるサンマルク。
そこには嘆きの聖母が飾られている。

そのすぐ傍に飾られる絵はとても素晴らしい絵だろうと思った。


「なんでも聖女様の絵らしいのですが、大変美しく外国の方も見にくるそうです」

「一度見てみたいとね」

(そんなに見たいのね…)

王都の直ぐそばなので帰省すれば見ることもできる。

長期の休みは帰ることになっているのでちょうどいいかも知れない。


(誘ってみようかしら)

王都の騒動など知らず楽しい夏休み計画を考えるエステルだった。



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