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第四部帰省とお家事情
15.大聖堂の鬼
しおりを挟む逃げることも叶わずにいたエステルだったが、ずっと隠れていることも叶わなかった。
「ん?」
離れた位置からミシェルは目を光らせる。
「どうしました?ミシェル様」
「私の愛のセンサーが反応したわ」
「はい?」
アリスは何のことか解らないでいたが、エステルは失念していた。
(まずい!!)
こちらに向かってくるミシェル。
何故ならミシェルはクロードが傍にいれば解るのだ。
「私の愛しの君が傍にいるわ!」
「え?そうなんですか」
「当然よ、愛の狩人でもの」
(((いや違うだろ!!))
純情可憐のアリスとルーク以外は拒否した。
「近くにいるわ…ああ!!」
(もう無理だわ)
観念するしかなかったエステルはちらりとクロードを見ると本人も苦笑した。
「諦めろ」
「くっ!」
手を握られて逃げることは不可能だったが、まだ諦めていない。
(そうよ、ミシェル様に殿下をおしつければ逃げられるわ!!)
諦めの悪いエステルはなんとか機会を狙っていた。
「よぉミシェル」
「きゃあああ!!クロード様!」
姿を見せたクロードにミシェルは嬉しそうにブリブリ腰を振る。
「うわぁー…なんだあれ」
「すごいです」
「はい、あの知的なミシェルさんが」
ユランは即座にドン引きする。
人柄が一瞬で凶変しているのだから仕方ない。
アリスとルークも怖がりサブローの背に隠れている。
「怪しかね」
「近づいてはなりません」
サブローとジークフリートも距離を保つ。
ガブリエルに至っては既にほかの絵を見て頼んしでいるのでスルーしている。
「お久しぶりですわ…って!何んでアンタとクロード様が一緒なのよ!!」
「事故です」
不本意だと言ってもミシェルは信じないだろうが。
「しかも手を繋ぐなんてうらやま…破廉恥よ!」
(今羨ましいっていいかけたわ)
本音が駄々洩れだったが今更驚くことはない。
「偶然だったんだ。折角だからエスコートをしただけだ。許せ」
「はい!!流石クロード様!なんてスマートなんでしょう!!」
さっきまで殺意を向けていたのにこの変わり身の速さ。
後でその光景を見ていた一同は冷めた目で見ている。
「変わり身が早すぎだろ」
「なんてゲンキンなのでしょうか」
「アホたい」
「貴族とはマニアックな方が多いのでしょうか」
ルーク以外は辛口だった。
「おいどうしたルーク」
「あっ…あの」
真っ青な表情でガクガク震えるルークにどうしたのかと尋ねる。
「あの方は‥‥」
「エステル・アルスター!!」
ルークが言葉を放とうとしたがヒューバートの高笑いに言葉は消された。
「まだいたの?」
「まさか貴様も来ていたか!!ここであったが100年目!」
「一週間前に別れたばかりです」
冷たく言い返すもヒューバートは来ていない。
さっきまで絶望に叩きつけられていたのに立ち直りの速さは尊敬に値する。
「まさかこの俺を追いかけて来たのか!ハッ…生憎だが俺はお前とは違って忙し意味だ…だが、そこまで言うならば」
「エステル、行くぞ」
「はい」
馬鹿にこれ以上付き合っていれないとその場を去る。
「この俺が直々に…って!何処に行った!」
既にその場を去っていたのでいなかった。
「そこの方」
ぐいっ!
「なっ!」
首根っこを掴まれるヒューバートは声をあげる。
「ここは神聖なる場所です。マナーを弁えていただけないのであれば、出て行ってください」
「何を!」
「いいですね?」
世にも恐ろしい形相で睨む女性神官に睨まれるヒューバートは蛇に睨まれた蛙状態だった。
「はい…すいません」
「結構」
こうしてヒューバートは大人しくなったのだった。
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