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第四部帰省とお家事情
14.乱入
しおりを挟むクロードに捕まったエステルは既に脱走は不可能だった。
(もう終った)
色々神経がすり減って行く中、疲れ切っていたエステルとは正反対に凄く嬉しそうな表情をする。
(どうして、そんなに嬉しそうなのかしら)
ぐったりしているエステルと対照的だった。
「とりあえず手をお離しくださいませんか」
無駄な抵抗は止めよう。
とにかく手を離して貰おうと思ったが叶うことはない。
「断る」
「何故…」
どうしてかと尋ねようとしたが、エステルの言葉はかき消されることになった。
「ハーッ、ハッハッ!!奇遇だな愚民共!!」
高笑いをするある男によって。
「貴様達もサンマルクに来ていたか!芸術が解らんと思ってたがな!」
「ちょっと何なのよアンタ!」
「何で馬鹿男がいるんだよ」
離れた場所からでも聞こえる。
絵の近くにヒューバートがいて、また馬鹿をしていることが。
「何だ、あれは」
「さぁ」
「高笑いをして馬鹿か?アイツ」
(馬鹿です)
クロードから逃げたいが、そこには行きたくない。
絶対に行きたくない。
「何だ?あの女はいないのか?」
ヒューバートはキョロキョロと何かを探している。
「ハッ、ディスられたか」
「まぁいい、さっそく聖女様を拝むとするか。我が一族は信仰心が強く、特に聖女様には誠心誠意尽くすのだ」
何も知らないヒューバートは早速絵を拝もうとした。
「アイツ知らねぇんだろうな」
「ええ、馬鹿よね」
「馬鹿ですね」
「そうですね」
「アホたい」
「馬鹿以外の何者でもありませんね」
一行はヒューバートを馬鹿馬鹿と言い続けた。
「さて聖女様を…なんだこれは!!」
絵を拝見すると案の定声をあげて驚く。
天敵でもる人物に瓜二つの聖女が描かれていたのだから当然だろう。
「良かったな。ヒューバート」
「アンタのお望みの聖女様よ。モデルはあの子だけど」
「なぜだぁぁぁ!!」
床に手をつき悔しがる。
「愛しのエルキネス様が…麗しの聖女様がぁぁぁ!」
悔し涙を流す。
「アンタそんなに熱心だったのね」
ミシェルは意外だった。
普段の素行から信仰心が厚いとはどうしても思えなかったのだ。
「そういや、こいつ哲学や宗教を選択してたな」
ユランはヒューバートの選択科目を思い出す。
「図書室でも聖女様の絵を食い入るように見ては愛を語ってましたね」
「変態だっちゃ」
ルークも度々図書室でヒューバートを見かけたことがあった。
彼は熱心な聖女の信者。
特に聖女エルキネスを崇拝していたのだ。
「ありえん。聖女と謳われたエルキネス様と生意気な小娘がモデルだなんて」
「現実逃避してんじゃないわよ。それから補足するとアンタの敬愛する聖女様は優れた騎士でもあったそうよ?敵を剣で切り刻んでいたらしいわ」
「うぉぉぉ!やめろぉぉ!」
「男を踏んづけたこともあるんじゃない?」
「俺の聖女様を汚すな!」
ミシェルが意地の悪い笑みを浮かべ、現実を思い知らせる。
何故なら聖女として見出された少女は後に女神に聖剣を与えられ聖騎士とよばれたのだから。
実際そう言った記述もあるのだ。
「ミシェル様、ヒューバートさんが」
アリスは流石に可哀想になった。
憧れの人の理想を潰されればショックだろう。
「いいのよ、この馬鹿には現実を思い知らせるべきよ。それにしても、あの子ったら何しているのかしら?」
「まだトイレか?腹でも壊したのか」
「ユランさん、もう少し節度を持ちたまえ」
エステルが中々戻ってこないのを心配する一同。
柱の影に隠れている本人はというと。
(行きたくない!!)
彼等の元に行きたくなかった。
「エステル、随分と個性的な友人ができたな」
「殿下…」
「あの、アホな男もお前の友人か?」
公衆の面前の前で叫んでいるヒューバートを指さす。
「同じ学校に通うことになりたまたま同じクラスになった人です」
(二回も言ったな…)
よっぽど嫌なのだと察したクロードは王都を出ても巻き込まれているのは変わらないのだと察した。
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