ある公爵令嬢の生涯

ユウ

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第四部帰省とお家事情

21.嵐去る

護衛騎士に無理矢理連行されて行ったヘレンを一同は見送りなんとも言えない気分になった。


「兄上、あれは」

「俺の部下だ。万一の為に備えた」

「きゃああ!流石ですわ!」

用意周到のクロードに感銘の声を上げる。

「あそこまで馬鹿とは思わなかったがな」

「それ以前に教会に立ち入り禁止をされたとはどういうことです?」

「ああ、お前は知らなかったな」


展示会ので騒ぎはちょっとした事件となり細かく話す。


***



「馬鹿だろ」

「アホとね」

ユランとサブローは迷うことなく告げた。


「そういえば、彼女はアルスター家令嬢と言ってましたが。分家の方ですよね」

「ええ」

「貴方は本家の、しかも跡継ぎで公爵令嬢でもあるのにあの態度は不自然ですね」

さっきまでのやり取りを見ていたら誰だって違和感を感じてもおかしくない。

「私の妹なんです」

「「「は?」」」

「私の生みの親が伯爵夫妻で、私は伯父夫婦に養女に迎えられておりますので血が繋がっております」

ややこしい家庭環境になっているのでざっくり説明する。

「#あれが___あいの_#姉さん姐さん対するしゅる態度か!」

「あれが通常運転だ。本人は悪いなんて思ってないし当然だと思っているから質が悪い」

「性格の悪か!」

「今更だ」

興奮するサブローにもさらりと答えるクロードだったが、既に方言が飛び通っている。


「何言っているか解んねぇ」

「とりあえず、妖怪…妖精姫のことを怒っているのは解りました」

眼鏡をかけ直しながら納得するジークフリートだが、さりげなくヘレンを妖怪姫と言いかけていた。


「つーか、お前等仲が悪いのか?」

「親しくないと言うのが正しいわ」

ついでにいえば元両親の関心のすべてはヘレンだけでエステルには一切の関心もない。


「アイツ等は…」

「ミシェル」

何も知らない彼等につい話してしまいそうになるが、クロードが制止する。


「申し訳ありません、軽率でしたわ」

「お前の気持ちも解らないでもない」

不用意に他人の過去を話すなんてことはをすべきではないのにカッとなって口が滑りそうになった。


「何だ?」

「いいえ、私の家庭のことですから」

エステルは自分の家庭環境を話して気分を悪くさせたくなかった。

特にアリスとサブローは家族を大事にしていることからエステルの事情を知れば胸を痛めるのは確実なのでできるだけ避けたかった。


「けれどエレニー様、大丈夫かしら」

「大丈夫よ、ミシュラン伯爵家は北を納める貴族よ?敵に回せばどうなるか解らないし、あの一族は王族も魅了する芸術家の一族だもの」

ヘレンがまた食って掛かったとしても分が悪いのはヘレンか両親だろう。


「後でローニャ様とリズベット様にお詫びに行かなくては」

「とりあえず腹減ったな…早くサロンに行こうぜ」

「アンタって人は!」

ヘレンの登場で予定が狂ったが、小腹が空いたので早くサロンに行きたいと言いう。


「そういえばお婆様がいませんが」

「本当だわ、いつの間にか」

ヘレンが騒動を起こしているのにガブリエルが大人しいと思ったが、いなくなっていた。



「どこに行ったんだ?」

「ここですわ」

「わぁ!」

音もなく背後から現れるガブリエルに驚く。


「何で背後から声をかけるんですか」

「騎士たるもの、何時いかなる時も油断大敵ですわ」

エステルはユランに同情した。
ガブリエルはユランを随分気に入ったようだ。


(ああ、可哀想なユラン)

ガブリエルは根っからの腹黒で苦労人であるユランを弄り倒すことにが悦を感じているようだ。

「どこに行っていたのですお祖母様」

「少々、害虫ヘレンの駆除をお願いしてましたの」

「はい?」


ふふっと笑みを浮かべるガブリエルの目はとても怪しく光っているが深く聞いてはいけないような気がした。


「さぁ、お茶をしにまいりましょうか」

「はいお祖母様」


この時エステルは気づいていなかった。

何故現場にガブリエルが居合わせなかった本当の理由を。


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