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第四部帰省とお家事情
22.柔軟性
しおりを挟むサロンにて一息つく。
ただし、落ち着けない者もいるのだが。
「わぁ、すっごく美味しいです」
「よか紅茶と」
サロンに来てすぐにお茶の用意をしてもらいアリスとサブローはお茶とお菓子を食べてご満悦気味だった。
「なんて図太いのでしょう」
「すごいですねお二人共」
サロン到着してすぐ、ルークはさらに緊張してお茶の味なんて楽しめなかった。
ジークフリートも周りを見渡しながら緊張を解すことは出来なかったのだが、一番馴染んでいる人物がいる。
「美しいレディー、貴方に会えて光栄です」
「ユラン…」
離れた場所にて女性に囲まれるユランは早速ナンパをしている。
「呆れた」
「違和感がないな」
早速女性に声をかけ楽しくおしゃべりをして女性の人気者になっている。
このサロンは平民、貴族と関係ないので無礼講だったので問題は起きていない。
「あの馬鹿は口だけは上手いしね」
「ええ、口だけは上手いわね」
紅茶を片手に読書をするエステルはユランの話術には一目置いているが、女好きというのが少し問題だった。
「鼻の下伸びっぱなしね」
「蛇に噛まれてしまえばよかたい」
軽蔑するような視線を向けるサブローも冷たい視線を送る。
「エステル、そろそろ準備をしておけ」
「はい」
紅茶を飲んで休息を終えたエステルはクロードに返事をする。
「一年間サボってなかっただろうな?」
「ええ、当然ですわ」
二人は互いに不敵に微笑む。
サロンの中央では侍女達が舞台を整える準備をしている。
「エステルさん。どちらに?」
「皆はここにいて」
クロードが席を立つと同時にエステルも続く。
音楽家に声をかけて予備のバイオリンを用意してもらい二人は互いに視線を合わせアイコンタクトを取った。
しばらくして二人は音合わせを始めた。
「流石クロード様」
音合わせもしないでぶっつけ本番で二人は曲を弾くも完璧で、おしゃべりをしていた貴族達はすぐに二人の演奏に聞き惚れ立ち止る。
「すごい…」
「なんて綺麗な音色」
「ハーモニーがすごか」
メトロ学園の生徒は誰もが楽器が弾けるが、エステルの音楽家としての才能は別格だと思っていた。
ただしクロードはエステルよりも音楽センス、表現力、テクニックも上回っている。
「クロード様はまた一段と腕を上げられたのね」
「ええ、今日は特にすごいです」
以前聞いた時よりもさらに上手くなっていることに気づくが、少しだけ音色が変わったようにも聞こえた。
「なんだかダンスをしているみたいです」
「そうですね…甘くて優しい音色が重なっていて」
感受性の鋭いアリスは二人の奏でる音色を聞くと自分の魔力が共鳴するようだった。
(ここが、あったかい)
光魔法を持つアリスにだけ見えたのだ。
エステルの奏でる音色が光で包み込み聞く人すべての癒しを与えていることに。
音楽は癒し。
奏でる側の人間の心によって聴衆の心を癒すこともできる。
三分という短い時間。
その癒しの旋律は聴衆に癒しを与えていた。
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