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第四部帰省とお家事情
60.腹黒王子と騎士
しおりを挟むラウルとジュリエッタは辺境の地での厳しい暮らしが待っている。
特にジュリエッタは誘拐、殺人未遂の罪は軽くないので二度と社交界に出ることは許されないだろう。
待っているの地獄だった。
名門貴族が辺境の地、しかも伯爵から男爵に降格されることはあまりない。
よほどの罪を犯さない限りないのだから。
領地に行っても今後待っているのは屈辱的なものばかり。
あげくの果て、財もない状態で生きて行かなくてはならないのだから想像を絶する。
「待て…私は関係ないだろう!!」
「十分大ありですよ」
罪を犯したのはジュリエッタだけであってラウルは関係ないと言っていたが、アクセレイが告げる。
「貴方は、税金を横領した罪もありますので」
「何…」
書類を差し出されてる。
既に外堀から固めているアクセレイは逃がすまいと証拠を突きつける。
「ああ、それから貴方に慰謝料の請求が来ております」
「慰謝料だと!」
「ミシュラン伯爵家からです…他にも多額の借金をされていたそうですので。お邸は全て差し押さえです」
「そっ…そんな」
放火事件により邸は全焼して立て直したのだが、かなりの赤字になっていたが、派手な生活は変わることなくされており借金は膨れ上がり領民から支払われる税金を横領していたが、それだけでは賄いきれず知人に借金していた金額は莫大だった。
「ラサールでは借金を背負った生活が待っておりますので覚悟してくださいね」
「あっ…ああ」
既に絶望しているラウルにさらに追い打ちをかけるアクセレイ。
「お前も十分鬼だろうが」
「おや?現実を教えてあげただけですが?」
「アクセレイ様…」
アルフォードの言葉にエステルは賛同した。
(真っ黒だわ…)
白の騎士として女性から熱い視線を受けていたが、見た目は白でも心は真っ黒だと思った。
「いいか、アイツの見た目に騙されるな」
「失礼ですね、私は紳士ですよ」
「何処がだ、フレッツ侯爵夫人に協力を頼み大勢で断罪を考えた腹黒騎士が」
(は?)
今回の騒ぎを考えた張本人と知らされ唖然とする。
「アクセレイ様…」
「どうか私の事はレイとお呼びください」
「えっ…あの」
また手を握られるエステルは表情が強張る。
(やたらと触って来るわね…それに気障すぎる)
これが他の令嬢なら頬を染めて喜ぶだろうが、エステルは喜ぶどころか嫌がっている。
「おい、いい加減にしたらどうだ」
「不良王子、ご無沙汰しております。相変わらずで」
「丁寧に無礼なことを言うな」
二人の間に割って入りアクセレイをを睨みつける。
「お前の女癖の悪さも大概にしろ」
「私は女性は平等に接しているつもりです…ただエステル嬢は私にとって特別なのです」
「あ?」
クロードに睨まれながらも、堂々と言い放つ。
アクセレイからすればクロードの威嚇なんて子猫が毛を逆立てる程度にしか思っていないのだった。
「私の乙女ですから」
「なっ!」
その表情は真剣そのものだった。
「お前…」
「それとも私がエステル嬢と懇意になっていけない理由がありますか?彼女は三騎士に選ばれた一人。いわば私達の同志ですよ」
遠まわしに仲に入って来るなと言っていた。
「アクセレイ様、何を…」
「私の乙女」
クロードを無視して公衆の面前で口説き始めるアクセレイに眩暈がするエステルだった。
拘束された彼等の存在など既に誰も気にも留めておらず、視線は得するに釘づけになっていた。
「ねぇ、これって何?」
「ああ、この場で良く口説けるな…つーか怖いんだけど」
ミシェルとユランが茶番劇の続きを見てげんなりする。
既にほったらかしにされた罪人一家は放置され、新たなバトルに発展していた。
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