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第九章辺境の聖女
17.同情
しおりを挟む噂の人物が生徒会にやって来た。
「ちょっと、貴方!」
「関係者がいは立ち入り禁止ですよ」
ミシェルとジークフリートが直ぐに重要書類を閉じる。
一般生徒に見せてはいけない個人情報もある故だった。
「そんなのおかしいです。生徒会室に生徒が入ってはいけないなんて…エステルさんに命じられたんですね」
「「「は?」」」
「皆さん、エステルさんに無理矢理従わされているなんて可愛そう」
憐れみの表情を浮かべるアリアナとその背後には三人の男子生徒がいる。
「アリアナ、君はなんて優しいんだ」
「本当に…」
その中にはもちろんラモールもいるのだが、まるで手下を従えた女王様の如く態度だった。
「生徒会は重要な書類が保管されています」
「万一の事も考え、許可がない場合は入っていただけません」
「ですが、許可を取ってくだされば出入りは可能です。それを無礼にもノックもしないとはなんと無礼な…お育ちを疑いますね」
アリスとルークは最もな理由を告げ、ジークフリートに至ってはマナーがなっていないことを咎める。
「貴様!無礼にも程があるだろうが…平民の癖に」
「ハッ、入学して三年間ランク上げもできない方に言われたくありませんね」
「貴様!」
ジークフリートはラモールを馬鹿にする。
元より貴族を毛嫌いしていたので、彼が最も毛嫌いする人種だったのだが…
「やめてください!私の為に争わないでください!」
(((馬鹿だ!馬鹿すぎる!)))
何をどうしたらアリアナの為に争っているように聞こえるのだろうか。
ここまで神経を逆なでする人間もあまりいないので呆れる。
「アンタ、本当に馬鹿ね」
「誰も君の為に争っていません。用事がないならすぐに去ってください…邪魔です。目障りです。不愉快です。ウザいです」
「ジークフリートさん…」
余りにも容赦の無い言葉を吐くジークフリートに冷や汗をかくルークだったが…
「エステルさんにそういうように言われているんですね!お可哀想に!」
「だからさっきから何を言っているんです!」
仮にもエステルは自分にとっても大切な友人だった。
過去に衝突はあれど、今は身分を越えた友情で結ばれ戦友でもある。
「あの方は身分をひけらかして、王子殿下との婚約を無理矢理押し通したと聞きます。あんまりですわ」
「は?アンタ妄想も大概にしなさいよ」
「そうです。エステル様がそんなことするわけありません!何も知らないで勝手なことを言わないでください!」
堪忍袋の緒が切れたミシェルとアリスは噛みつくも、ラモールはアリスを睨む。
「平民風情が貴族に口答えをするなんてなんて無礼なのだ!」
「流石不義を働いた母親から生まれただけはあるな」
「なっ!」
アリスを蔑むような目を向けるラモール達。
「やめてください皆さん、例えそうであっても彼女は可哀想な人ですもの」
「可哀想?」
アリスはアリアナが蔑み哀れむような目で見る意味が解らない。
「ええ、母親の不義で生まれ学園になじめず罪を犯しているのにも気づかないなんて哀れだわ。あげくあんな酷い方の取り巻きをしているのだから」
「アンタ!」
言っていい事と悪いことがる。
人を傷つけ貶しながらも自分はなんて立派で優しいのだろうかと酔いしれるアリアナにアリスは怒りを通り越して憐れみを感じる。
「アリアナ様…貴方はなんて可哀想な方なのでしょう」
「は?」
「哀れです…私は今、心から貴方が哀れだと思います」
エステルへの侮辱に度重なる暴言も許し難いが、今は別の感情を抱いていた。
アリアナの周りに侍る男に対しても同じく哀れだと感じている。
「貴方は自分を愛することしか知らないのですね…だから貴方の魔力は歪んでいる」
「なんですって?」
「人を愛せない…誰かに本当に愛してもらったことがないからです」
一歩、一歩前に進む。
「貴様!無礼にも程がある」
「そうだ!お前のような身分乏しき下等な者が口を聞いて許される方ではない!」
アリスを睨み敵意を向けようとするもアリスはまた一歩踏み出す。
「エステル様は誰よりも愛情深い方です。だからこそ他者への慈しみが強い…貴方と違って」
「アリス?」
男達が怯み身動きが取れなくなる。
アリスの瞳の色が変わっていく。
「この…っ!!」
アリアナは耐え切れなくなり手をあげようとした。
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