ある公爵令嬢の生涯

ユウ

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第九章辺境の聖女

閑話1王太子の秘密

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王宮内にある、エドワードの離宮にて。
諜報員となる者達が控え、報告をしていた。


「…以上にございます」

報告内容は、メトロ学園に時季外れに編入して来たアリアナのことが記されていた。


「ご苦労であった。下がっていい」

「「「ハッ!」」」

彼等は王族を陰から守る鳥と呼ばれる隠密部隊だった。
エドワードの直属でもあり、常に表に出ることなく動いていたのだ。


「アリアナ・ドリスター…」

写真を握りしめ、傍に置かれているランプの灯で写真を燃やす。

「小賢しい真似を」

普段の温和な瞳から感じられない程の憎悪を感じられる。


「あのまま生き恥を晒していれば死なずにすんだものを…ならば望み通り始末してくれよう」


燃えていくアリアナの写真。
エドワードは傍にあるナイフを投げ突き刺す。


「私の唯一の友を亡きものして、国を乱した罪は重い。その原因を作った愚か者も」


窓から国を見渡しながら胸元のペンダントを握る。

鍵の形をしたペンダントが光り輝き、夜の月の光を灯していた。


「私の愛する兄上の幸福も、友の未来も壊すならば…敵だ。もう情けはかけない」



その時風が靡き、誰かが入って来る気配を感じ取る。


「王太子殿下」


「ユラン」

「お呼びですか」

学園にいるはずのユランが、静かに窓から入る。


「お勤めご苦労様」

「本当ですよ…それで報告ですが」


「ああ、頼む」

鳥達とは別に探らせていたエドワードはユランの報告を待っていた。


「あの娘、やはり黒ですね」

「ほぉ?」

「光の魔力の保持者なんて真っ赤な嘘です」

ユランはこれまでアリアナのことを調べ周り、推測を並べていた。


「あの娘は、光なんかじゃなくむしろ闇ではないですかね」

「やはりな…」

数か月前から聖女が現れたと聞かされていたが、最初から疑っていた。

神殿の人間の中には貴族と手を組んでいる者も少なくないからだ。


「聖女を使って神殿の権力を取り戻したい馬鹿と貴族派の勢力を取り戻したい馬鹿がいるのだからありえることだ」

「俺からすればあの女、ヘレンじゃないかと思ったんですが」

「私もその可能性を考えたが、違和感を感じる」

魔法で姿を偽るのは簡単だった。
だとしても、そう簡単に領地から出ることも辺境伯爵に取り入ることもできるだろうか?

それに、学園でのエステルの接し方を見ても以前のヘレンとは異なっている。


敵意はあれど、何かが違う気がしてならない。


「なんにせよ、ヘレンが見つかっていない以上怪しい」

「ええ、今まで以上に警戒しようと思っています」

「頼んだよ」


――二度とエステルを死なせない!


そう心に誓うエドワードは、同じ過ちを繰り返さないためにも気を引き締めるのだった。
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