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第十学園祭の騒動
8.意外な組み合わせ
しおりを挟む学園祭が開催された。
空に打ち上げられた花火と同時に始まり、普段は外部の人間が一切入れないように塀で囲まれた学園も今日だけはその塀は開かれていた。
十年前の出来事が脳内に浮かぶ。
まさかとは思うが、念のために聞いてみた。
生徒の家族や、学校に関係者に卒業者等も校門をくぐる。
「随分と盛況だな」
「流石ですね」
質素な馬車から降りて校門の前をくぐる二人は側に護衛騎士と連れている。
お忍びとは言えど二人だけと言うのは許可が出なかったので護衛付きという条件で二人は学園祭に来ることが許可された。
「セス!私はりんご飴食べたいです!」
「エーファ…」
護衛の白羽の矢が立ったのは、セスとエーファだった。
セスは元卒業生と言うこともあり勝手が解るだろうと言われ今回護衛に就くことになったのだが、押し付けられたに過ぎなかった。
ロバートとヴィオレットはモントワール侯爵夫人と一緒に別行動を取ることになっていた。
(大丈夫だろうか…)
問題児三人を抱えながら護衛なんてできるか不安で仕方ない。
エドワードもクロードも王子の嗜みとして剣術の心得がある。
特にクロードはかなりの手練れだったのだが、何が起きるか解らないのでセスが用心しなくてはならない。
肝心のエーファは剣術もそこそこだが、トラブルを起こさないか心配だった。
一番厄介な存在でもある。
「セス、見てください。エステルです」
「ん…は?」
「エステルとアリスさんのロマンス小説ですよ」
「「は?」」
表紙には際どい絵が描かれており、モデルはどう見てもエステルとアリスだった。
「何々?男装の麗人エステルと、平民の美しき少女アリスの道ならぬ恋…」
「何だこれは!」
エーファが買った本を奪い二人は声に出して読んで行く。
「しかも、際どいですね」
「これは…」
挿絵もクオリティーが高く、丁寧に書かれている。
問題は出来栄えではなく、挿絵がとにかく際どいものだった。
「エステル、かなり様になっていますね」
「アリスさんも可愛く書かれてます…でも王宮でも似たようなロマン小説ありましたよね」
「何!」
クロードはエーファに詰め寄る。
「ほら、これです」
鞄から出したのはロマンス小説だったが、今度は女性同士の恋愛ものではなく逆だった。
「ひっ!」
本を見開くと二人の男性が睦あっている挿絵。
しかもモデルになった男性の一人はクロードにそっくりでもう一人は…
「何で俺とユランが!」
ビリビリと本を破る。
「ああ…私の聖書」
「何だと!」
こんな危険な本が売られているなんて知らなかった。
しかも王宮に出入りする独身貴族の令嬢が聖書にしているとは知らなかった。
「ジャンルも受けと攻めがありますよ!私は断然ユラクロです!」
「何だ、ユラクロとは」
「ユランが攻めで、受けが兄上と言う意味では?」
「何でそんなことまで知っている!」
弟が危険な領域に踏み込もうとしているのに恐怖を抱く。
「王太子の嗜みです」
「「「どんな嗜み?」」」
さらりと受け流すエドワードに突込みを入れた。
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