ある公爵令嬢の生涯

ユウ

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最終章運命の先

閑話1ヘレンの歯車➁

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ある舞踏会のでのことだった。


「失礼、貴方がヘレン嬢ですな」

「はい…どなたですの?」


ヘレンに声をかけたの年老いた老人だったが、貫禄があり装いは王族に匹敵する程立派だった。


「社交界の華と呼ばれる君に興味があっては」

「バルトーク公爵様」

側にいる男が名前を呼ぶと、ヘレンは驚く。

(バルトーク公爵様ですって!)

ヘレンも名前ぐらいは聞いたことがある。
王族の親族にあたり、貴族派筆頭でもある人物だった。

伯爵家の令嬢でしかないヘレンからすれば雲の上の存在だったが、この場で声をかけられるということは期待してもいいはずだと思った。


(私に運が向いてきたのよ…あのバルトーク公爵様が私に声をかけたのだから!)


カルロと正式に婚約してすぐの頃、ヘレンは次の段階に進むべきだと思っていた。
このままカルロと婚約してもたいした地位に上ることはできず、公爵家を継ぐことは難しいと察した。

未だ公爵家はジェームズとガブリエルのもの。
二人は長女のエステルを跡継ぎに望んでおり、今回の婚約破棄があってもヘレンを認めるどころかさらに厳し目で見た。


誰からも愛され続けたヘレンにとってあの二人は最初からヘレンを受け入れなかった。

その代わりにエステルを可愛がっていた。
そのことについて不満をぶつけるも、礼儀知らずだとさらに厳しい言葉を浴びせられたのだ。

以降、ヘレンは祖父母を目の敵にした。


(お祖母様が後ろ盾になってもらえないなら…他の公爵家を利用すればいいわ)


ニヤリと笑いながらバルトーク公爵を見つめる。
ヘレンにとって利用する価値がある人物だと思い、近づくことを決めた。


自分がのし上がる為ならば美しい容姿も最大限に利用してみせる。
カルロをタラシ込めたように、目の前の男だって少し微笑めば簡単に落ちる。


(だって私は誰からも愛されるんだから…私を愛さない人は要らないわ)

すべてが自分の思うがまま。
思い通りにならないならば切り捨ててしまえばいい。

歪んな考えがエスカレートして行くヘレンは気づいていなかった。

利用できると思って近づいた男がヘレンを利用しようとしていることを。

「少し貴方にお話があります」

「喜んで」


ヘレン以上に歪んだ表情で笑う男が何をしようとているか気づきもせず、人目のないバルコニーに出て行くのだった。


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