ある公爵令嬢の生涯

ユウ

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最終章運命の先

12.手放したモノ

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憎しみが負の情念を強くし、エステルの結界を飲み込んで行く。

闇と光は対にあるが、光を飲み込む力があまりにも強すぎてエステルの魔力は限界を超えていた。


「無様ね!お似合いよ!アンタさえいなければ…そうすれば私はヒロインだったのよ!シナリオ通り私は幸せになれるのよ!」


「何を言っているの!ヒロインだとかシナリオだとか…」

「アンタはここで死んで、すべてもと通りになるの!そしてあの時と同じようにあの女は断頭台で首を切り落としてやるわ!」

「首を切り落とす?」

「そうよ。民衆の前で断頭台に立たされ首を切り落とされるのよ…なのにあの女、泣きもしないで民衆を許すですって?馬鹿じゃないの!」


剣を握る手に力がこもり血が流れるが痛みよりも怒りが勝る。

「貴女は、アントワネット様になんということを!」

「何がアントワネット様よ。所詮は敵国の皇女で政略結婚の捨て駒じゃない!」

ザクッ!

腕や腹部を刺され血が流れるも、エステルは倒れることはなかった。


「ほら!死になさいよ。本当にゴキブリ並みにしぶといわね!惨めったらしいわね!」

「フッ…惨めね?」

怒りを抱きながらも感情的になることはなかった。

「あの方は決して惨めではなかったわ。あの方は王妃の器を持つ方。欲に溺れ、汚らわしい貴方とは違うのよ。あの方は国を背負い、覚悟を持って嫁いでこられた。でも貴方は何もない…何もないから嫉妬心を抱いたのでしょう」

「何を…」

「確かに貴方はずっと愛されて育って来た。でも、甘やかされるだけ、本当に愛しているわけじゃない…自分の地位を確実なものにする為の道具。操り人形に過ぎないわ」

「黙れ!!」

「黙らないわ。貴方もジュリエッタも私を恐れ、お母様を恐れた。だって敵わないのだから」


ずっと劣等感に苛まれてきたジュリエッタは、どうしてもヴィオラよりも上に行きたかった。

優れた世継ぎを生み、贅沢な暮らしと揺るぎない権力。
けれど、結局は砂の城と同じだった。

「権力なんて儚いモノだわ…一瞬で崩れる。貴方は何も持っていない。だって自ら手放したのだから」

「だまれぇぇ!」

ヘレンの体からどす黒い魔力がさらにあふれ出す。

「このまま殺してやる!ぐちゃぐちゃに殺して…クロード様を私のモノにしてやる!そうよ…アンタさえいなければクロード様もエドワード様も目を覚ますわ。だって愛されるのは私なんだから!」


「うっ…」

ヘレンの影から悪魔の姿が見える。
抵抗したくとも、既に限界に近づいているエステルは抵抗もできずに戦鎌が振り落とされそうになった。


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