ある公爵令嬢の生涯

ユウ

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最終章運命の先

13.守るモノ

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光がエステルを覆いつくし、ヘレンの放つ瘴気を遮断する。


「えっ…」

「何よこれ…きゃああ!」

光がヘレンのどす黒い魔力を浄化し、闇を消していく。

闇魔法を使う人間にとって光魔法は猛毒を体に受けるようなモノだった。



「これは聖剣!」

地下の秘密の部屋で見つけた錆びれた剣が光を放つ、形状が変わっていく。

「剣が呼んでいる」

光を放ちながら鞘を抜けと言われているかのようだった。


エステルはゆっくりと鞘から剣を抜きだすと、白銀に光る剣は強い光を放ち魔法陣が浮かびある。


「この紋章は王家の紋章と聖女の紋章!」

「うっ…苦しい。なんなの」

光魔法の影響を受け、苦しむ。
目がくらみ、体全体から力が抜け落ちて行く瞬間、背後から矢が放たれる。


「ああああ!!」

「よぉ?随分好き勝手してくれたな」

「クロード様!」


壁を壊し傷だらけで現れるクロードは矢を構えていた。


「散々好き放題言いやがって、ふざけんなよ?ああ?」

「兄上、ゴロツキのような振る舞いはお止めください」

「エドワード様!」

クロードに続きエドワードも側にいた。
二人だけでなくそのすぐ後ろを見れると、周りが凍っていた。


「この性悪阿婆擦れ女!よくもふざけた真似をしてくれたわね!あげく私のクロード様になんてこと言うのよ」

「お前、まだ諦めてなかったのかよ」

ミシェルの発言を呆れながらも通常通り突込みを入れる。

「僕も許しません!貴方は人としての道を踏み外しました」

「第一子爵家の血筋で愛人の娘ではしかない貴方が王妃になんて無理です。よしんば体を使って誘惑しても国を沈ませるだけです」

「貴女のような方に誰もついて来ません!貴方は何様何ですか!」

「へちゃむくれが!」


各々はヘレンの動きを止めるべく戦闘態勢に入る。


「皆さん、闇魔法は物的攻撃は意味がありませんが武器自体には効果があるはずです」

「なら武器をぶっ壊せばいい訳ね!」

「まかすぜよ!あんな鍬、粉々と!」


ミシェルとサブローが一番前に出て戦鎌を奪うべく攻撃をしかける。


「来るな!」

「ミシェル、頼むと!」

「任せて!」

氷の魔法で強大な薙刀を作りサブローに投げる。


「うぉぉぉぉ!!」


薙刀を振り回し瘴気を防ぎ、その間にミシェルがヘレンの周りを凍らせる。


「こんなもので…きゃあ!」

「甘いわ、これ以上進ませないわよ」


足元を氷漬けにして動けないようにする。


「この雑魚共が!!」


足元が動かなくとも手が動くので、闇魔法を放とうとするがミシェルは合図を送る。


「ルーク!」

「はい!」

炎の魔法を放ち、ミシェルの氷と重なり水しぶきとなりヘレンの瘴気を洗い流す。


「なっ…どうして!」

通常の四大要素では闇魔法を浄化できないはずだった。

「私もお忘れなく」


水しぶきの中に光魔法の力が込められていた。

その仕掛けは、アリスだった。


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