ある公爵令嬢の生涯

ユウ

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最終章運命の先

21.自業自得

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今まで幾度なく怒りを感じたことはあったが、ヘレンに対して手を上げたことはない。


暴力で仕返しても何の意味もないと解っていたが、もう我慢の限界だった。


「いい加減にしなさい!」


「きゃあ!」

胸倉を掴み、思いっきり平手打ちをするエステル。
引っ叩かれたヘレンは痛みが走り、殴られたことに気づく。

「なっ…な!」

頬を抑えながらエステルを睨む。

「出来損ない風情が…この私を殴るなんて何様よ!」

「口を慎みなさい。貴方には既に人としての心も存在しないのね。あの時からずっと貴方は…誇りも責任もなく貴族としての矜持すらなかった」

「離しなさいよ!」


胸倉を掴みもう一発殴る。

「お前ごときが!」

ヘレンはこれまで馬鹿にしていたエステルが自分に説教をすることが許せなかったが、魔力がなければ非力でしかないので何もできない。


「殺してやる!!偉そうに…老婆姫の癖に!誰からもお前は愛されないのよ!私の引き立て役にならないから国も、王族も破滅したのはアンタの所為よ!アンタなんて死ねばよかったのよ!」

「私はかつて貴方が羨ましいと思ったけど、私の目が曇っていたわ」

今ならハッキリ解る。
ヘレンは自分が望むものをすべて手に入れながら一度だけって責任を持つことはなかった。

人のモノを奪い、踏みにじった以上はそれなりの覚悟が必要なのに、覚悟もなかったのだから。

「貴族としての責任も果たせず、仕えるべき主に弓引き忠誠心もない貴方はただの亡者と同じ…私から奪ってまで得ようとしたなら責任を持ちなさい!今の現状は全て貴方の自業自得よ!」

「何よ!操り人形風情が調子に乗ってんじゃないわ!殺してやる…アンタを殺してやる…お母様早くこの女を殺して!」


背後にいるダイモーンに命じるヘレンは苛立ちながら再度告げる。

「何やっているのよ!早くしなさいよ。それぐらいしかできないでしょ…アンタなんてただの娼婦風情じゃない!それぐらいできるでしょ!この役立たずが!」


動こうともしないダイモーンに苛立つをぶつけようとした時だった。


「えっ…」


ヘレンの胸を貫いたのはダイモーンの爪だった。


「なっ…ゲホッ!」

胸から大量の血が流れ、吐血する。


「何を…」

何故言うことを聞かないのか。
どうしてエステルを殺さず自分が殺されそうになっているのか理解できなかった。


「うっ…ぐっ!」

痛みに耐えきれないでいるヘレンをバルトーク公爵はあざ笑う。


「何処までも愚かな娘よ…このダイモーンはお前に悪魔にされたのだ。殺す理由があっても言うことを聞くはずはなかろう…お前には相応しい最期だがな」

「そんな…」

ずっと他者を踏みにじりあざ笑ってきたヘレンの最期は、実の母親に殺されてしまうという結末だった。



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