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最終章運命の先
36.未来へ続く扉
しおりを挟む季節が移り替わり、花が満開になる春。
「ううっ…お嬢ざばぁー」
「いい加減に涙を拭かないか」
涙を流し続けるセレナは隣でクニッツにハンカチで涙を拭かれていた。
「ああ、こんなに早くお嬢様が嫁がれる日が来るなんて悲しゅうございます」
「嫁ぐと言っても侍女としてお供をするのだし、第一、公爵邸からすぐ近くだろ」
「旦那様は黙っていてください!本当にデリカシーの欠片もないのですから!」
毛を逆立てた猫のように怒るが大事な日まで二人は変わらなかった。
「お二人共、おやめください。こんな日まで」
「そうよ、一応今日は人生で一度の晴れ舞台なんだから」
「一度とは限らねぇだろ」
「おだまりユラン!独り身のアンタはだまらっしゃい!」
何処から取り出したのか、指揮棒でユラン叩く。
「ちょっ…痛い!」
「本当にデリカシーの欠片もありませんねユランさん。だから一生独身貴族のままなんですよ」
「哀れとね」
「ええ、女性に対しての気遣いが足りません」
この場にいる全員が白い目で見るがユランは恨みがましく睨んでいた。
「大体なんだよ!俺が知らない間にちゃっかり子供作ったり婚約したり…まじねぇだろ!」
「被害妄想も大概にしてください。僕は未来の宰相として後ろ盾は必要ですから」
「何でルークがあの美人なローニャちゃんの婚約者に収まってんだよ」
「勝手に僕の婚約者を馴れ馴れしく呼ばないでください」
冷たい視線で射抜くルーク。
あの事件の後ルークの功績は認められメサイヤ家とは隣近所の領地を与えられ、貴族としても男としても評判がいいルークに縁談が舞い込んだ。
元よりルークに高感度を持っていたローニャだったが、不器用な性格ゆえに困っていたが両親が縁談を進め、ルークも受け入れ婿養子になることとなった。
ジークフリートに関しては勤務中に知り合った侍女と恋人同士になりスピード結婚を果たした。
相手は子爵家であるが父親が優れた官僚でもあり、跡取りを欲していたので条件も良かった。
「サブローはまだいいとして何でミシェルとアリスくっついてんだよ!しかも孕ませやがって」
「アンタね、めでたい日に嫌な良い方しないでくれる?」
「俺だけ独り身とか酷くねぇか!」
ある意味一番の功労者であるユランは事件の後も後始末の為に奔走していたが、その間に彼等は恋人を作ったり婚約関係を結んでいた。
「俺だけこんな目に…あんまりだ」
「だから、私の楽団の可愛い子紹介してあげるわよ」
「全員おネェじゃねぇか!」
どんなに可愛かろうが中身は男、しかもおっさんだったので嬉しくない。
「このまま仕事と結婚したらどうですかユランさん!」
「可愛い顔で言うなよ!絶対俺は諦めないからな!ボンキュッボンの可愛い子を!」
諦めの悪いユランはまだ希望を捨ててなかった。
「結婚式とくれば出会いの場!さっそくナンパだ!へーい彼女!」
切り替えの速さは流石と言うべきか、ユランは速攻でナンパに向かい、冷めた目で見ていた一同はどうせフラれるだろうと予想した。
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