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90母として~サリアside③
モニーク夫人の言いたいことは解っている。
「姫巫女の存在は国にとっては絶対必要です」
「王家も竜を敵に回したくないでしょうな」
私も夫も姫巫女が優れた眼を持っていることを知っていた。
そして脅威と取れるのは竜族にとって彼女は主従関係以上の信頼がある。
「竜は姫巫女の魂を持っていても無条件に従うわけではありません。彼らは常にその魂の持ち主を見定めています。聖女同様に」
「聖女も常に天が見定めていたということでしょうね」
聖女候補だからといって、時が立てばふさわしくないと思われればその能力を奪われる。
サーシャは姫巫女の存在を知らなかったし、意図していたわけでもない。
皮肉すぎる運命だわ。
聖女の資格を持ち権力も持っていながらも弱い立場の者を助けようともしなかったジャネット。
対するサーシャは何も持ってなくとも弱い立場の者に手を差し伸べることを辞めなかった。
思えな幼少期からサーシャは優しい娘だった。
できることは少なくとも本当におもいやりのある娘だった。
きっと領地でもそうだったのかもしれない。
「姉は自分の愛を、妹は他者への愛を」
「貴方…」
「私はこのような結果になった事が悲しくてなりません。サーシャ様があまりにも不憫で」
モニーク夫人はきっとサーシャの思いをくみ取ってくれたのでしょう。
「領地に来て当初は、姉君の事をよく話してくださったのです」
「そうだったのですか」
「ええ、姉君を慕っておられました。それ故に」
モニーク夫人も困ったでしょうね。
社交界でもサーシャの事を悪く言っていたのだから。
出来の悪い妹を庇う優しい姉として振舞っていたのでしょうけど。
モニーク夫人は聡明な方故に意図する行動を理解していたはずだわ。
サーシャは気づいていなかったのだけど。
「だけど今回の事やマリア様に対する事で、距離を置かれています」
「はい」
「王家はサーシャ様を重宝するでしょう。最悪の場合・・・」
姫巫女の力は利用できる。
リシュフェール家の財力も欲しいと考えるなら婚約者を変えるように言うだろうけど。
「そんなことは許されません」
「ええ、陛下には先に釘を刺しましたの?いつまでも聖女や巫女に丸投げする気なのかと…まぁ陛下はそんな気はないようでですが」
現在闘病中の陛下が弱気にならないようにと釘を刺してくださるのは流石だわ。
けれど陛下がしっかり否定してくださっても、従わない馬鹿をなんとかしなくては。
「親として最後の務めを果たします」
「無傷ではいられません。そのお覚悟は」
「もちろんです」
ジャネットを諫めることができなかった私達の罪なのだから。
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