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第三章雇われ国王物語
14乙女心~リーシェside
しおりを挟む部屋で一人思い悩んでも答えは出ない。
「この婚約はいずれ終わる」
部屋に飾られているカモミールの花を見つめながら私は胸が痛む。
国が落ち着けばフィルは楽隠居する。
元から彼はエリンデール王国を立て直し、他国から守る為に引き受けてくれた。
「だけどどうしたらいいのかしら」
ポッポと話して少し気が楽になった。
少なからずこの婚約を望んでくれている人がいると言う事。
しかも彼は王都ではなくう違法となった後にフィル自らスカウトしたと聞く。
「色仕掛けってどうしたらいいのかしら?」
鏡を見てため息をつく。
マリアンナは私とは正反対の存在だった。
容姿鍛錬で、男性が好む外見だったわ。
私は背も低いし胸も小さい。
足だって短い。
「認めたくないけど容姿は彼女の方がいいわ」
別に彼女に劣っているとは思っていないけど。
「リーシェ」
「フィルベルト…何?入っていいわよ」
何でこのタイミングで入って来るのよ!
「少し今度の案件で…もしかして着替えようとしていたのか」
「別に」
「でもドレスが散乱して…」
「母上がドレスを着ろって言うから」
今の私の恰好は軍服が常だった。
男装の麗人とも言われてるぐらいだし。
「どうせ似合わないわ」
「うん、確かに」
「そっ…そうよね」
正直に言うなんて本当に空気が読めないわね!
「リーシェにはそんな胸元が空いたドレスは似合わない。君は凛々しくて美しい」
「は…」
「その、俺がどうこう言うのはどうかと思うが…俺は昔に来ていたドレスの方が似合っていると」
マリアンナが来ていたドレスとは正反対の可愛いけど、動きやすいものだった。
「私は…」
「華やかなドレスを着て愛想笑いをする君よりも国の為に戦う君の方がずっと素敵だと思う」
この男、何でこんな事をサラッと言うのよ!
昔からそうだった。
『王女らしくないわ』
『私は…』
『これではエリンデールの未来が心配ね。貴女も少しは考えるべきよ』
私が王女として相応しくない行動をしていると否定する言葉ばかりかけられていた。
解っていたけど傷ついた。
だけど私は軍人になりたかった。
国の為にと。
そう思っていたのに。
剣術の稽古をしても。
『王女が軍人なんてなれるわけないわ。そんなことをする暇があるならマナーを学ぶべきだわ』
私は彼女のようになれない。
だから剣術を磨き。
馬術を極めて来たけど否定の言葉が続いた。
でも…
『すごいなリーシェ姫は』
『えっ…』
『殿下!』
私を助けてくれたのはフィルだった。
マリアンナに比較され、彼女にも馬鹿にされている私を彼は。
『王女として民を守る為に頑張っている。見習うべきだろ?』
『ですが…』
『彼女は凛々しくて素晴らしい王女だ』
責められている私を助けてくれた。
女性らしいだけが王女の形ではないと言って彼は…
「じゃあ、凛々しい女性は嫌いじゃないわよね」
「えっ…」
私なりの色仕掛けをするわ。
あの女のようなやり方は私にできない。
だから真っ向から勝負するしかないのだから。
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