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第一章
11幸福の上の犠牲
しおりを挟む「そうよね!きっとそうだわ」
一人が私に賛同してくれた。
他の二人もうんうんと頷いていくれて安堵する。
「リーゼロッテ様を思う余りの行動です。きっとお許しくださいますわ」
「本当?」
「ええ、だからもうこんな真似しないでくださいね?今回は報告しませんので」
私の言葉に驚く。
さっきまでは敵対していたけど、彼女達と私は同じ穴の貉だ。
「ありがとう…」
「その代わり、もうこんな事をなさらないでくださいね。好きな人を思う余りに行き過ぎただけなんですから」
「ええ…こんな卑怯な真似は良くないわね」
うんうん。
これで平和的解決ができる。
「でも、王太子妃となるリーゼロッテ様を侮辱しようとしたことは許せないわ。はっきりしてくださらないと私は謝れません」
「そうよ」
「貴女はリーゼロッテ様を追い落とすつもりなの!」
穏やかには終われないな。
でも、私も同意見だから困ったわ。
「シェリルさん。貴女はリーゼロッテ様を踏みつけようとしたんですか?」
「えっ…」
「貴族の婚約は国王陛下が決めた物です。貴女はリーゼロッテ様を側妃にしてご自分が王妃になるつもりだったのですか?それともリーゼロッテ様を憎んで…」
「違います!私は…」
「ならば何故正々堂々と戦おうともしないんですか!殿下が好きならばこんな手を使うのは卑怯です」
「「「「は?」」」」
私が気に入らないのは男に守られ悲劇のヒロインぶっている事だ。
「貴女のしている事は不倫と同じです。妻のいる男性と不義を働き夫に為に尽くしいる妻を侮辱して陰で笑う悪女と思われても仕方ありません…」
「そっ…そんな。私はそんなつもりは」
ガタガタと震えるシェリルさん。
もしかしたら彼女は深く考えていなかったのかもしれない。
「そこまで言う?」
「えげつないわね」
「酷すぎる」
外野でコソコソ言う声はしっかり聞こえてますけどね!
「一部ではお二人を仲を引き裂く悪女として叩かれているんです。一人の人生を潰す覚悟はありますか?いいえ下手すれば一人だけで済みません」
リーゼロッテ様は公爵令嬢。
国にも関わる大問題と発展するのだから。
「リーゼロッテ様はお一人で悪意と戦っています。守られているだけのお姫様なんて小説の中だけです」
誰かを犠牲の上で得る幸福に耐えられるか。
その覚悟があるなら真正面から戦うべきなのだから。
「貴女自身が戦わなくてはいけないのだから」
そう言い残して私は去った。
だけど。
「しまったぁぁぁ!」
何背中を押すような事を言ってんの!
相手は敵なのに。
後悔後に絶たずと言う言葉に襲われた私は頭を抱えたのだった。
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