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第三章時を超えた想い!純白の絆が奇跡を生む!
66誇り高き令嬢の覚悟
疲弊する兵士と共に戦場となったバイエル領地は持ちこたえるのが限界に達していた。
領民を避難をさせて最後の砦となっているバイエル伯爵家の邸にてエステリーゼは覚悟を決めた表情をしていた。
「お嬢様!すぐここまでワイバーンが!急いで非難を」
「領民やお父様は今の戦っているのです」
その横顔は既に覚悟を決めている。
まだ齢15歳というのに騎士さながらの覚悟だった。
「領主代行の私が領地を捨てて逃げるなど許されません」
「お嬢様…」
「逃げ場がないなら私は最後までここを守り果てます。それが貴族の娘として誇り高きバイエル一族としての務めです」
怖くないわけはない。
それでも貴族令嬢とし手の誇りの為に心を殺した。
(お姉様…)
ここで殺されるかもしれない。
恐怖は消えなかったエステリーゼは前世を思い出す。
国に殺された愛しい人を。
最後の最後まで誰かを恨むことなく神の元に召されたあの日を。
(私は誰も恨みません。だからどうか…)
ここで死んだらどうか今度こそはもう一度めぐり合わせて欲しい。
エステリーゼの心を支えるのはその願いだけだった。
「エルザ、貴女はお逃げなさい」
「何を…」
「私は貴族として、バイエル家の人間として役目を果たします」
平民であり侍女でもあるエルザは無理に従う必要はないと告げるも、エルザは応じなかった。
「いいえお嬢様。エルザはバイエル家に骨の髄まで忠誠を誓っております。バイエルが滅びるならご一緒に」
「ありがとう…」
バイエル領地の民は皆、義理堅い。
現段階でも避難したのは戦えない者だけで若い娘も武器を取り戦う道を選んでいるのは、戦士としての誇りだった。
国の為ではない。
「バイエル領地はかつて大賢者様が降臨された地です。この地が滅びることは国の終わりです。この地が滅びることは私達にとって死でございます」
彼らにとって国は重要ではない。
この領地こそが重要であるのだから。
「偉大なる大賢者様。領地を守り切れなかった非礼をお許しください」
「お嬢様…」
「ですが、私達は最後まで逃げません」
天に向かって祈りを捧げる最中、真上に迫ってきたのは邪竜だった。
「お嬢様!」
「邪竜…来なさい!」
逃げることはしなかった。
今まさに食い殺さんかと言わんばかりだったが睨みつける。
「私は怯えない…お前如きに」
人々を恐怖を与え、絶望させてから血を食らい、肉を食らうとされている邪竜に対して唯一の抵抗だった。
死んでも恐怖心を見せない。
涙を見せることは誇り高きバイエル一族の末裔として許さなかった。
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