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序章
1.凡庸な公爵令嬢
しおりを挟む美しい海に囲まれた島国、アトランティス。
海の国と呼ばれる四大大陸の一つで、妖精がにより国は守られていた。
この国では精霊の加護を持つ者が存在する。
ただしすべての人間というわけではなく、一部だけだ。
特に王侯貴族は強い魔力に恵まれているのだが、例外もいる。
それが私だった。
トリアノン公爵家の長女でありながら私は魔力は味噌っかす。
一応あるにはあるけど緑の魔力の持ち主だった。
通常は、水・炎・風・地・光なのだけど。
それ以外の属性は存在するのだけど、緑の魔力とは植物が上手に育てられるという地味なものらしく、当初は公爵家に加護無しが生まれたと嘆かれたのだ。
けれどすぐ下の妹マリアンヌは光属性だった。
光属性は特殊で聖女候補にもなれる程価値が高く、将来有望視されていた。
その上、金髪に碧眼で、社交界一の美姫ともてはやされていた。
対する私は平凡な容姿で魔力は中の下で学問もイマイチであったことからお母様は嘆いていた。
「エリーゼ、お母様は悲しいわ」
「はい。今回も平均的で申し訳ありません」
「我が国は長子跡継ぎ候補となるのが決まりですが…貴女を跡継ぎにしたら」
「公爵家は没落します」
「自分で言うのはお止めなさい!」
頭を抱える母はこれでもかという程嘆いていた。
「せめて貴女が次女でマリアンヌが長女ならどれ程良かったか」
優秀な妹が長女ならばなんとでもなったが、公爵家の長女が底辺な魔力を保持している事は社交界では恥でしかなかった。
いや、別に自分の事を卑下するわけじゃないのだけど。
「いいじゃないか、エリーゼは元気に育ってくれたんだ!パパは嬉しいぞ」
「貴方!」
バシッと、扇を床に叩きつける。
「旦那様はエリーゼが社交界で笑いものにされている事を解っていまして?このままではエリーゼの嫁ぎ先が見つかりませんのよ…早くいい相手を探さなくては」
「しかし、こればかりはね?」
我が公爵家はかかあ天下だ。
優秀なお父様も邸に帰ればお母様に頭が上がらない。
公爵家の教育に関してはあまりうるさく言わないのだ。
「既にマリアンヌには多くの見合い話が来ていると言うのに」
「まぁ、そうだけどね」
「長女差し置いて婚約なんてできませんわ。公爵家の沽券に関わります」
これで何度目だろうか?
お説教部屋で同じことを言われるのは。
我が家の期待を一身に背負い重宝されるマリアンヌは王子妃になることも可能だと言われている。
それだけの美貌と才を持っているから、毎日のように見合い話は来るのに私は未だにそんな話はない。
平凡すごる容姿に頭も平凡だからだ。
仕方ないとはいえ、お母様も妥協して欲しいのだが。
公爵家の事を誰よりも思っている故に妥協はできないのだった。
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