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序章
2.可憐な妹
しおりを挟む一時間ほど過ぎて私はお説教部屋から解放された。
毎回の事なのだけど、少し気が滅入るので早く部屋に戻ってハイネの部屋に行こう。
ハイネとこの時間にお茶をするのは何時もの事だった。
ついでに後で勉強を見てもらうつもりだった。
姉としての立場は皆無に等しいが、ハイネは神童と言われる程に優秀で勉強だけでなく剣術も優れていた。
マリアンヌもそれなにりできるのだけど運動神経はあまり良くなかったのだ。
まぁ、貴族令嬢だから運動神経はそこまで良くなくても問題ないのだけど…その時だった。
私の目の前を歩いているのはマリアンヌだった。
「またお母様にお説教部屋に呼ばれたの?」
「ええ…」
「本当に情けないわね。恥ずかしくて仕方ないわ」
美しい金髪を振り乱しながら私を見る目はあまり良くない。
「エリーゼ様、マリアンヌ様は社交界の華でありリーダーです。こう申してはなんですが…ご自分の立場をもう少しご理解された方がよろしいかと」
「そこまで言っては気の毒よイズラ」
「マリアンヌ様は本当に聖女のようにい優しい方ですわね。不出来な姉君を庇われて」
クスクス笑いながら私を馬鹿にする二人にも怒る気にもならない。
「あまりにも無礼ではありませんか!」
「まぁ、なんて野蛮なのかしら?声を荒げるなんて」
「ラン…」
私の侍女のランは代わりに怒る。
「これだから下級貴族の出身は」
「彼女はお父様が選んで私の侍女にしてくれたのよ」
「ですが…」
「いいわ。早く支度を…これから舞踏会に行くのに間に合わなくなるわ」
「そうですね、時間の無駄ですわ」
自分からふっかけていながらそれはないだろと思ったが、何を言っても聞かないだろうと思い諦めたのだ。
…が。
「お嬢様」
「はいはい、大丈夫よ?こんなの右から左よちくわになればいいのよ」
「ちくわなるものは存じませんが、イズラは使用人であることを忘れておりますわ!あのような…」
涙目で訴えるランは私の扱いを怒っているのだろう。
五歳の頃から私に仕えてくれているから主従関係というよりも姉のような存在だった。
「私が平凡であるのは事実だし。色々心もとないのは仕方ないわ」
「そんなことありません。お嬢様はピアノが堪能ですわ。音楽家の皆様の覚えもめでたく」
「でも、公爵令嬢としての評価はイマイチだけど」
「音楽だって立派な才能でありませんか!」
私の為に泣いてくれるランの気持ちが有難かった。
でも、そこまで傷ついていないし。
何より、態々言い返す程子供じゃないというのは私の秘密が関係していた。
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