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序章
3.天使のような弟
しおりを挟む急いでハイネの元に急ぐ。
約束の時間は過ぎてしまっているから待ちくたびれているだろう。
「ハイネ、私よ?入っていいかしら」
「姉様?」
ノックをする前に声をかけると扉が開かれる。
「どうしたの姉様、時間より遅いなんて…また嫌味を言われたの?」
「ハイネ…」
天使のように愛らしい顔でさらりととんでもない事を言い放つ我が弟。
「どうせ、毎日も飽きもせずに良く言えるよ。だから性格が歪んでいるんじゃない?顔だけは良くても性格ブスって言葉が良く似合うよ」
「ハイネ、あまりそんなことを言うんじゃないわ。言霊が汚れるでしょ?」
悪い言葉を吐けば自分に戻って来る。
だからこそ言霊には注意しないといけないし、ハイネにはそんな言葉を言って欲しくない。
「毎日のように、暇さえあれば姉様を見下し侮辱し…傍付きの侍女にも馬鹿にするような発言をさせながら、自分は姉を庇う優しい妹を演じる茶番劇は良いの?まぁ、お父様とお母様の前では猫を被っているけど。演技は三流だけど」
「ハイネ…」
我が公爵家で誰よりも優秀であるハイネは色々鋭い。
まだ成人していないのに既に、公爵家当主の勉強もしているのだから恐ろしい程優秀だ。
姉としては鼻が高いのだけど。
何故かハイネはマリアンヌを良く思っていない。
私には優しいけど。
もしや出来の悪い姉程可愛いと思うのかしら?
「姉様、人の優劣は容姿や魔力だけで決められないよ。僕は姉様が公爵家の恥だなんていう馬鹿は、所詮は劣等感故だと思う」
「ハイネ…」
「僕は姉様にもっと堂々として欲しい」
長女として情けなく思う一方で嬉しく思う。
「ハイネ、姉様は嬉しいわ。優しい素敵な子に育ってくれて」
「ねぇ、まるで孫の成長を喜ぶ祖母的な発言を止めてくれる?だから姉様は枯れているなんて言われるんだよ?」
時々毒舌であるけど根は優しいんだから。
「まぁ、姉様がいいなら僕はいいよ」
「ありがとう。さぁお茶にしましょう」
ハイネは私の手を取りエスコートをしてくれた。
まだ幼さは残るのにすっかり紳士だものだから、成長とは本当に早いと実感する。
まぁ、心境は隣に住んでいるおばさんかもしれない。
傍で成長を見守って来た的な。
周りからも私は枯れていると言われるのは理由がある。
なんと言いますか、私は見た目は子供中身は大人だからだ。
普通に言えば気でも触れたのかと思われるけど、私は転生者だった。
そしてこの世界は異世界。
しかもゲームの世界だったのだから。
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