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間章
11.いい旅は船で
しおりを挟む一夜明けて、私達は馬でクレセント公爵領に向かった。
陸路では時間がかかるので港までは早馬を飛ばしその後は船で向かった。
「よぉ!姫さん!」
「船長さん!お久しぶりです!」
白い髭を生やした大柄のご老人こと、エドワード・スミス船長。
船に関しては右に出る者がいないと言われる程の凄腕だったが、五年前に引退を余儀なくさるはずだったが、私がスカウトをした。
我が家は外交を主に行っており貿易商も活発にしている。
その中で船をいくつか持っているのだが、海難事故等も多発しているので腕のいい船長が必要だった。
しかし腕のいい船長と数少なく、そこで目を付けたのが引退前の彼だ。
彼の最後の航海に私達はお客として乗ったのだけど、船の話や外国の話を色々聞かせてもらっている内に意気投合した。
そこで私は我儘を言ったのだ。
船長を雇いたいと。
お父様は普段何か欲しいと言わない私の我儘を快く聞いてくれた。
その所為か、船長を尊敬する船員までも付いて来たので手間も省けたのだ。
「船長、急なお願いをしてごめんなさい」
「いやいや、光栄ですな」
「わぁ!」
小さい頃のようにひょいっと抱き上げられてしまう。
「おや、少し大きくなりましたな」
「遠回しに太ったと」
「はははっ!」
豪快に笑う船長だったが私は隠れてお腹のぜい肉を摘まむ。
確かに太ったかもしれない。
「いやいや、気にしなくてもいいですぞ。アザラシも寒さをしのぐために贅肉と分厚い皮があるからこそ極寒でも生きて行けます」
「アザラシ…」
私を動物に例えるとそうなのか。
「船長、流石に失礼ですよ。せめて海豚にしては」
「いやいや、お嬢はスナメリですよ」
例えがぽっちゃり系なのか!
人魚とか他にも可愛い生き物がいるだろうに!
「そうだな!確かに」
「うんうん…」
「泣いていい?」
船員揃って頷くな!
「エリーゼさん、貴女は何処でもこんな扱いなのですね。可哀そうに。本当に哀れで涙が流れますよ」
「今すぐ馬に投げ飛ばしていい?目薬を何処で用意した!」
スコット、その内ぶん殴ってやる。
私のハッピーエンド計画にお前は徐がしてやる。
「ハハハッ!エリーゼ。泣くな」
「お前は本当にデリカシーの欠片もないな。エリーゼ、君は美女には程遠いが愛嬌があるからいいではないか!美人なんて飽きるぞ」
スザンナ様、貴女の方が酷いです。
「エリーゼ、気にするな。俺は見た目だけ綺麗な人魚よりも人々の癒しを与え海を美しくしてくれるスナメリの方が好きだ。君のように…」
「ロミオ様!」
ああ、なんて優しい人だろうか。
無理をして私をフォローしてくれるなんて。
「お兄様、ちゃっかりお義姉様を美しいと言いましたわね」
「ああ!なのにお可哀想なロミオ様。エリーゼ様に一ミリたりとも伝わってませんわ」
後ろでシルビアとジュリア様が何か話していたが会話の内容まで聞こえなかった。
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