19 / 48
第一章婚約破棄事件
7.小さな悪役令嬢
しおりを挟む私を使用人と間違えていた彼女は真っ青な表情をしました。
ですが、更に失言を零したのです。
「奥方って…愛人では?」
この状況で空気を読めないのでしょうか。
ただでさえ、怒っている旦那様に火に油を注ぐような言い方をする等。
「どうみても伯爵夫人は若すぎますし、愛人にしか…」
「奥様正真正銘、アスガルト伯爵家の奥方様でいらっしゃいます。お若いですが奥様は二児の母君でもありますよ」
「は?」
旦那様以上に怖い顔をしているマーク。
その隣では腕を組み仁王立ちするヴィルマも戦闘態勢した。
「伯爵夫人を侮辱するぐらいなのですから、それ以上の家柄でしょうね?ちなみに奥様の父君のご友人は公爵閣下ですが」
「ひっ!」
「貴女は公爵よりも上の方に後見人がいらっしゃるのでしょうか?そうなると皇族ですね」
「あっ…ああ」
少々苛め過ぎではないかと思いますが、彼女には少しお仕置きが必要かと存じます。
「失礼ですが、侯爵令嬢の健康管理は何方が?」
「普段は乳母がしているのですが、今は腰を痛めて、侍女が」
「そうですか。貴女はお嬢様を見つけた時、すぐに安否を気遣うことをしなかったのですか?」
「何を…」
解せません。
自分の失態でお嬢様がいなくなったのなら真っ先にかけより心配するのというのに。
「貴女は最初にお嬢様を責めました。責める前にご自分の失態を詫びて、お嬢様に謝罪した後に無事を喜ぶのに、お嬢様を責め、罵倒しました。これは職務怠慢です。今すぐ謝罪した後に始末書を書きなさい」
「伯爵夫人…それは」
「侯爵様、差し出がましいようですが、お嬢様はご病気でもなければ食が細いわけではありません」
私の見たところ小食だなんてとんでもありません。
息子よりも食欲旺盛でいらっしゃいます。
「先ほどパンを食べた時に味がすると仰せでした。侯爵家では味のしないパンを食べているのでしょう」
「何だと?」
「しかも瞼を見たところ、彼女は貧血にもなってます…栄養が滞っているのでは?」
同年代の子供よりも痩せて小柄で、貧血を患う程とは。
侯爵家で酷い扱いを受けている可能性も考えられますし、すぐに対処すべきかと。
「侯爵夫人はいずこに」
「妻は、病気で療養をしていまして…」
この言葉を聞いて奥様の様態は芳しくないと思いました。
もしあの夢の通りだとしたら?
ゲームでは孤独な悪悪令嬢として登場した彼女は早くにお母様を亡くされている設定でした。
幼い頃病にて。
その所為で寂しい幼少期を過ごした後に伯爵夫人が家庭教師として傍にいました。
ですが、彼女の孤独な心を救えなかった。
ならば悲しい過去を塗り替えれば良いのではありませんか?
「侯爵様、ご無礼を承知でお願い申し上げます」
何ができるか解りません。
私はいわゆる脇役でしかないのですから。
ですが、最悪の状況を変えるべく動く事は出来ます。
そして後に孤高の悪役令嬢の結末が悲しい物にならないようにしたいと思います。
浮気男に振り回され傷つくことがないように。
断じて許しません。
あんな最低な似非王子、正確には皇子ですが。
4
あなたにおすすめの小説
【完結】離縁ですか…では、私が出掛けている間に出ていって下さいね♪
山葵
恋愛
突然、カイルから離縁して欲しいと言われ、戸惑いながらも理由を聞いた。
「俺は真実の愛に目覚めたのだ。マリアこそ俺の運命の相手!」
そうですか…。
私は離婚届にサインをする。
私は、直ぐに役所に届ける様に使用人に渡した。
使用人が出掛けるのを確認してから
「私とアスベスが旅行に行っている間に荷物を纏めて出ていって下さいね♪」
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
【完結】私が誰だか、分かってますか?
美麗
恋愛
アスターテ皇国
時の皇太子は、皇太子妃とその侍女を妾妃とし他の妃を娶ることはなかった
出産時の出血により一時病床にあったもののゆっくり回復した。
皇太子は皇帝となり、皇太子妃は皇后となった。
そして、皇后との間に産まれた男児を皇太子とした。
以降の子は妾妃との娘のみであった。
表向きは皇帝と皇后の仲は睦まじく、皇后は妾妃を受け入れていた。
ただ、皇帝と皇后より、皇后と妾妃の仲はより睦まじくあったとの話もあるようだ。
残念ながら、この妾妃は産まれも育ちも定かではなかった。
また、後ろ盾も何もないために何故皇后の侍女となったかも不明であった。
そして、この妾妃の娘マリアーナははたしてどのような娘なのか…
17話完結予定です。
完結まで書き終わっております。
よろしくお願いいたします。
遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。
沼野 花
恋愛
夫と子供たちに、選ばれなかったイネス。
すべてを愛人に奪われ、彼女は限界を迎え、屋敷を去る。
だが、その先に待っていたのは、救いではなかった。
イネスを襲った、取り返しのつかない出来事。
変わり果てた現実を前に、
夫はようやく、自分が何を失ったのかを思い知る。
深い後悔と悲しみに苛まれながら、
失ったイネスの心を取り戻そうとする夫。
しかし、彼女の心はすでに、外の世界へと向かっていた。
贖罪を背負いながらもイネスを求め続ける夫。
そして、母の心を知っていく子供たち。
イネスが求める愛とは、
そして、幸せとは――。
学園では婚約者に冷遇されていますが、有能なので全く気になりません。〜学園でお山の大将されてても、王宮では私の方が有能ですから〜
織り子
恋愛
王都カラディナにある国立魔術学園では、満十六歳の生徒たちの社交界デビューを兼ねた盛大なパーティーが開かれていた。
侯爵令嬢タレイア・オルトランは、婚約者である第二王子アスラン・オグセリアの迎えを待つも、結局ひとりで会場へ向かうことになる。
学園では身分の差がないとはいえ、アスランが公然とタレイアを侮辱し続けてきたことで、彼女は生徒たちから冷笑と蔑視の的となっていた。しかしタレイアは、王城で政務を担ってきた聡明さと矜持を失わず、毅然と振る舞う。
王妃の仕事なんて知りません、今から逃げます!
gacchi(がっち)
恋愛
側妃を迎えるって、え?聞いてないよ?
王妃の仕事が大変でも頑張ってたのは、レオルドが好きだから。
国への責任感?そんなの無いよ。もういい。私、逃げるから!
12/16加筆修正したものをカクヨムに投稿しました。
「お幸せに」と微笑んだ悪役令嬢は、二度と戻らなかった。
パリパリかぷちーの
恋愛
王太子から婚約破棄を告げられたその日、
クラリーチェ=ヴァレンティナは微笑んでこう言った。
「どうか、お幸せに」──そして姿を消した。
完璧すぎる令嬢。誰にも本心を明かさなかった彼女が、
“何も持たずに”去ったその先にあったものとは。
これは誰かのために生きることをやめ、
「私自身の幸せ」を選びなおした、
ひとりの元・悪役令嬢の再生と静かな愛の物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる