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第一章婚約破棄事件
15.円満に
しおりを挟む私の作戦はシンプルな物でした。
婚約破棄を言い渡した方は侯爵家の子息でありましたが多額の借金を背負う名前だけの貴族。
息子はドラ息子。
両親も未だに大貴族を豪語しています。
チェルベロ子爵家の財産を欲しい余り、強引な手で婚約をしたのです。
今回の過失に関しても子供の戯言だ、それに浮気は男の甲斐性だとふざけた事を言ったので、逆手に取りました。
真実の愛を見つけたのなら、こちらは運命の愛で対抗するのです!
その結果。
「伯爵夫人!ありがとうございます」
「侯爵家とは婚約解消となり、本来娘が嫁ぐはずだった方と婚約を結ぶことができました」
私の計画は成功しました。
子爵家のお嬢様には将来の約束をしていた恋人がいらしたそうです。
相手は平民でありますが商家の子息だそうです。
お二人は身分違いでありましたが、今回の事でお相手の方も胸を痛めていたのです。
恋人が幸せになれるならと身を引いたのにこんなことになってしまって後悔していたそうですが、私が少しばかりシナリオを用意したのです。
そのシナリオ通りに彼に動いてもらい、二人は運命の愛で結ばれたと社交界にも噂を流しました。
「侯爵家から苦情は来ましたが、円満な婚約解消と噂を流しておきましたので文句をつけようもありません」
「婚約破棄になれば慰謝料を請求させられますし…まぁ、円満でも、世間はそう思わないでしょうね」
噂好きな奥様達は揃って侯爵家を攻撃するでしょう。
反対に子爵家への打撃は少ないですし、平民とそこまで変わらない身分の子爵家と高位貴族の侯爵家では攻撃の大きさが違います。
なんせ侯爵家を潰して我こそはと言う方は多いのです。
学園でも元婚約者に理不尽な言葉を投げかけているのですから。
「ここは、婚約破棄に持ち込まず円満に事を進めたのがお嬢様だと言う事にすれば、彼女はなんと懐が深いのかと言われるでしょう」
「ええ、学園でも復学が叶いましたわ。娘もすいた方と婚約できて…すべて伯爵夫人のおかげです!」
「いいえ、子爵夫妻の人徳です」
この作戦が上手くいくのは五分五分だったのです。
こうもあっさり上手く事が進んだのは子爵夫人の人脈と言えるでしょう。
「これは心ばかりの物でございます」
「いっ、いえ、頂くわけには」
「せめて、何かお礼を!でしたらこちらを」
使用人の方が持ってこられたの宝石の数々でした。
「え!」
「我が子爵家は鉱山を多く思っております。海の近くに船も出しておりますので真珠も多く取れまして」
「真珠…」
これは良い話を聞きました。
ビジネスチャンスではありませんか!
「お礼の代わりお願いがあるのですが」
「はい?」
真珠が取れる場所は帝国内では少ないのです。
見せていた真珠は、帝国内で出回っている真珠よりも二回り以上の大きさ。
ダイヤモンドの大きさも帝国内ではここまでの大きさはありません!
お礼の代わりに私は子爵夫妻に商談を持ち掛け新たな事業を展開する計画をした結果。
「奥様!貴女という人は!」
「レティー、君はなんて強運だ!」
我がブリチア商会は宝石商を営む計画が叶いました。
チェルベロ子爵家は何代か前に商人として成功した後に戦時中に多額の寄付を騎士団にしたことにより先代皇帝陛下に引き立てられて子爵家の爵位を頂いた家柄。
悪い噂はなく、常に社会貢献をしてこられたのです。
彼等を我が商会の参加にすれば海を越えて商売するのも簡単です。
聞けば船をお持ちだとか。
平民からも慕われていますし、今後商談では武器になります。
「チェルベロ子爵家は帝国一の宝石商とも呼ばれている。財力はあるがあくどい商売はしない事から信頼は厚い。彼等が傘下に入ればすごい戦力です」
「既に織物で我が商会に叶う商会はありません。ここで帝国一の宝石商を抱き込めば更に一歩前進です」
「人助けしてちゃっかり商談するなど…なんと恐ろしい奥様」
こうして新たな商売を始めることができて喜んだのも束の間。
とんでもないお客人がいらっしゃいました。
「困ります!勝手に入られては!」
廊下が騒がしく聞こえました。
商会員の方々が困っているような声をして何が…
「レティシア!」
「は?」
「迎えに来た!やり直そう」
とても厄介な予感がしました。
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