訳あり伯爵夫人の憂鬱な溜息~旦那様が今日もブチ切れそうで困っています!

ユウ

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第一章婚約破棄事件

18.希望は半殺しで~リゼットside

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十年前の事は死んでも忘れない。
お嬢様があのクソ婚約者に裏切られ、財産を追剥のように奪われた過去は消えないのだから。


一番最悪なのは、ジャスパーの母親だ。
息子が不義を働いているのに、それを諫めることなく同意してお嬢様の財産をすべて奪おうとしたのだから。


旦那様な生前の頃に婚約を結び、借金で困っていたので工面したのは後にお嬢様が嫁ぐ家だったからなのに、旦那様が無くなったら手の平を返したようにお嬢様に酷い仕打ちをしていた。


花嫁修業と言いながらお嬢様を侮辱していた事は私も知っている。
だけど私は使用人でメイドでしかない為何もできなかったし、あの性悪な姑は馬鹿息子が浮気した女が貴族の娘であると解ったら手のひらを返した。


本来なら慰謝料と、新居は返し、支度金も返すのに、花嫁道具ですらそのまま使おうとしたと言うではないか。


知っていれば…とも思ったけど。
お嬢様は私が思う以上に聡明な方で、亡き奥様の形見である花嫁道具は取り返し、新居も分配したのだ。


大事な家具や価値のある調度品は全て手元に戻し、残ったのは建物だけ。
建物だけで何も残っていない新居で暮らすならば一から買いそろえなくてはいけないし、土地の所有者はお嬢様なので土地代を支払わなくてはならない。

建物の維持費だってあの馬鹿男が支払えるはずもない。
火を見るよりも明らかで家が傾くのは時間の問題だったし、後から噂が流れたけど。


浮気相手は貴族であるけど、愛人の子で実家とは疎遠だったらしい。
しかも婚約者をいる男に言い寄った事で父親の実家からは今後は他人だと縁まで断たれてしまった。


同情はしない。
お嬢様に長い間、酷い仕打ちをして最後は何もかも奪おうとしたのだから。


だからこそ、家が傾き借金地獄にあっても自業自得なのよ。


「今すぐ消えなさい!」

「ぶわっ!」


「奥様の目の前に現れるな!厄病神!汚らわしい!」


ありったけの塩を投げ、追い出す。
奥様の傍に近づけるわけにはいかない!

「奥様、汚れますわ」

「リゼット…」


奥様の幸せをこんな屑男に壊されてたまるものですか!

ようやく幸せになれたのだから。

「マークさん、この男は奥様からお金をむしり取りに来たのですわ!」

「やはりそうですか。何と愚かで浅ましい事でしょう」

「おい、アンタ!すぐに出て行かないと私が料理するよ」


この幸せを壊させるものですか!


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