乙女ゲームの悪役令嬢の兄の婚約者に転生しましたが傷物になったので退場を希望します!

ユウ

文字の大きさ
22 / 218

21昔の呼び名

しおりを挟む






ベルシュタイン家と懇意な人はこうやって私を揶揄う。
侍女さん達も私に生暖かい目で見て陰ではニヤニヤしているのだから。


「レオナルド様」

「レオだ」

「いえ…その」

「昔はそう呼んでくれたのにな」


子供の頃の話だ。
現世を思い出してから頭を抱えた。


何も知らず馬鹿だった私。
戦えない魔導士は価値がなく、他所の領地でも噂は流れていた。


嫌われ者の一族。
魔術を学ぶために編入した私は一人だった。


別に友達を作りに行ったわけじゃない。
元から引きこもって研究するのが好きだったから悲しくなかった。

でも、こんな私に優しくしてくれたことが嬉しかった。


けれどそんな時間は長くなかった。

幸福な時間はある日突然消えた。

レオナルド様の身分を知ったのは十年前の魔物襲撃事件の後だ。
彼が高貴な身分だと知らされた時、私は既に学園を退学し領地からも追放させれらた。


不幸な事故が重なった事件。
私があの領地に編入したのは結界師としての仕事も兼ねてだった。


役目を果たせない人間は不要。
魔力をほとんど失った私は用済みで、領地に戻ることになった。


その時に知らされたんだ。
レオナルド様の身分を。



「私は何も知らなかったんです」

「言わなかったからな」

「それでも全く気づけませんでした」


少し考えればわかったはずだ。
他の生徒と雰囲気が違うし、育ちが良さそうだった。


魔術の知識も半端ない。
地方出身者の貴族の子供は魔術に関心は薄い。


子供は魔法こそが最強だと信じて疑わないから。
成長する過程で魔術何なのかを知るのだから。


私の家系は物心つく前から魔術を学ばされるから特殊なだけ。


でも彼は違った。


「成長してリィデン学園で君と再会した時は余所余所しかった」

「私に死ねと?」



リィデン学園は上流階級の子供が通う学園だ。
社交界に出る前に基礎を叩き込み紳士、淑女の何たるかを学ぶのだ。


魔力がある生徒は魔術を学ぶ。
けれど、ほとんどが一般生徒だったのだけど。


レオナルド様は生徒の中でも強い魔力を持っていた。

欠くいう私は魔力はあれど使い物にならないと罵られていた。



「またレオと呼んでほしい」

「もう子供じゃありません」

「けれど学生時代は呼んでくれた」

「貴方が脅迫して無理やり呼ばせたんじゃないですか」


ほとんど強制的にだ。
幼い頃のように愛称で呼んでほしいと言われ、賭けで負けたからだ。

その所為で女子に恨まれたけど。



「夫婦同士で愛称を呼んでもいいだろ」


「節度を保った婚約者同士はちゃんと名前で呼び合ってます」


何だ?
今日はやたらとしつこいな。


今までレオナルド様って呼んでいたのに。
何で急に愛称呼びに拘り始めたんだろうか?


しおりを挟む
感想 112

あなたにおすすめの小説

処刑前夜に逃亡した悪役令嬢、五年後に氷の公爵様に捕まる〜冷徹旦那様が溺愛パパに豹変しましたが私の抱いている赤ちゃん実は人生2周目です〜

放浪人
恋愛
「処刑されるなんて真っ平ごめんです!」 無実の罪で投獄された悪役令嬢レティシア(中身は元社畜のアラサー日本人)は、処刑前夜、お腹の子供と共に脱獄し、辺境の田舎村へ逃亡した。 それから五年。薬師として穏やかに暮らしていた彼女のもとに、かつて自分を冷遇し、処刑を命じた夫――「氷の公爵」アレクセイが現れる。 殺される!と震えるレティシアだったが、再会した彼は地面に頭を擦り付け、まさかの溺愛キャラに豹変していて!? 「愛しているレティシア! 二度と離さない!」 「(顔が怖いです公爵様……!)」 不器用すぎて顔が怖い旦那様の暴走する溺愛。 そして、二人の息子であるシオン(1歳)は、実は前世で魔王を倒した「英雄」の生まれ変わりだった! 「パパとママは僕が守る(物理)」 最強の赤ちゃんが裏で暗躍し、聖女(自称)の陰謀も、帝国の侵略も、古代兵器も、ガラガラ一振りで粉砕していく。

王子様への置き手紙

あおた卵
恋愛
フィオナは王太子ジェラルドの婚約者。王宮で暮らしながら王太子妃教育を受けていた。そんなある日、ジェラルドと侯爵家令嬢のマデリーンがキスをする所を目撃してしまう。ショックを受けたフィオナは自ら修道院に行くことを決意し、護衛騎士のエルマーとともに王宮を逃げ出した。置き手紙を読んだ皇太子が追いかけてくるとは思いもせずに⋯⋯

婚約破棄をしておけば

あんど もあ
ファンタジー
王太子アントワーヌの婚約者のレアリゼは、アントワーヌに嫌われていた。男を立てぬ女らしくないレアリゼが悪い、と皆に思われて孤立無援なレアリゼ。彼女は報われぬままひたすら国のために働いた……と思われていたが実は……。

「君はカビ臭い」と婚約破棄されましたが、辺境伯様いわく、私の知識が辺境を救うのだそうです

水上
恋愛
【全11話完結】 「カビ臭い女だ」と婚約破棄されたレティシア。 だが王都は知らなかった。 彼女こそが国の産業を裏で支える重要人物だったことを! そして、追放先の地で待っていたのは、周囲から恐れられる強面の辺境伯。 しかし彼は、レティシアの知識を称え、美味しい料理と共に不器用に溺愛してくれて……? ペニシリンから絶品ワインまで。 菌の力で辺境を大改革! 一方、レティシアがいなくなったことで、王都では様々な問題が起き始め……。

魔力ゼロと捨てられた私を、王子がなぜか離してくれません ――無自覚聖女の王宮生活――

ムラサメ
恋愛
伯爵家で使用人同然に扱われてきた少女、エリナ。 魔力も才能もないとされ、義妹アリシアの影で静かに生きていた。 ある日、王国第一王子カイルの視察で運命が動き出す。 誰も気づかなかった“違和感”に、彼だけが目を留めて――。

【完結】亡くなった婚約者の弟と婚約させられたけど⋯⋯【正しい婚約破棄計画】

との
恋愛
「彼が亡くなった?」 突然の悲報に青褪めたライラは婚約者の葬儀の直後、彼の弟と婚約させられてしまった。 「あり得ないわ⋯⋯あんな粗野で自分勝手な奴と婚約だなんて! 家の為だからと言われても、優しかった婚約者の面影が消えないうちに決めるなんて耐えられない」 次々に変わる恋人を腕に抱いて暴言を吐く新婚約者に苛立ちが募っていく。 家と会社の不正、生徒会での横領事件。 「わたくしは⋯⋯完全なる婚約破棄を準備致します!」 『彼』がいるから、そして『彼』がいたから⋯⋯ずっと前を向いていられる。 人が亡くなるシーンの描写がちょっとあります。グロくはないと思います⋯⋯。 ーーーーーー ゆるふわの中世ヨーロッパ、幻の国の設定です。 完結迄予約投稿済。 R15は念の為・・

追放されましたが、辺境で土壌改革をしたら領民からの感謝が止まりません。~今更戻ってきてと言われても、王都の地盤はもうボロボロですよ?~

水上
恋愛
【全11話完結】 「君は泥臭くて可愛くない」と婚約破棄されたセレナ。 そんな王太子に見切りをつけ、彼女は辺境へ。 そこで待っていたのは、強面だけど実は過保護な辺境伯だった。 セレナは持ち前の知識と技術で不毛の大地を大改革。 荒野は豊作、領民は大歓喜。 一方、彼女を追放した王都は、特産品のワインが作れなくなったり、土壌が腐って悪臭を放ったり、他国との同盟に亀裂が入り始めたりと大惨事に。 戻ってきてと縋られても、もう手遅れですよ?

冤罪を受けたため、隣国へ亡命します

しろねこ。
恋愛
「お父様が投獄?!」 呼び出されたレナンとミューズは驚きに顔を真っ青にする。 「冤罪よ。でも事は一刻も争うわ。申し訳ないけど、今すぐ荷づくりをして頂戴。すぐにこの国を出るわ」 突如母から言われたのは生活を一変させる言葉だった。 友人、婚約者、国、屋敷、それまでの生活をすべて捨て、令嬢達は手を差し伸べてくれた隣国へと逃げる。 冤罪を晴らすため、奮闘していく。 同名主人公にて様々な話を書いています。 立場やシチュエーションを変えたりしていますが、他作品とリンクする場所も多々あります。 サブキャラについてはスピンオフ的に書いた話もあったりします。 変わった作風かと思いますが、楽しんで頂けたらと思います。 ハピエンが好きなので、最後は必ずそこに繋げます! 小説家になろうさん、カクヨムさんでも投稿中。

処理中です...