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④
しおりを挟む「僕は悪くない!」
肩で息をしながら言い放つ言葉に弁護士は少しの間黙っていた。
「解りました。では先ほどの証言は嘘偽りがないと」
「ああ」
「リサさんが一人虐げられているのを黙って見ていたと、見て見ぬふりをして虐待を黙認していただけでなく姪が泣いていても無視をしていたということですね」
「は?」
何を言っているんだ?
僕は何もしていないだけだ。
それをさも僕も同罪のような言い回しをするんだ?
「馬鹿は何所までも馬鹿だわ。生まれつきの馬鹿はいるけど」
「彼の場合は大人になってからの馬鹿だね」
「何だと!」
グレイス夫人と義兄が蔑んだ目を向ける。
凡愚の癖にのこの僕を馬鹿にするとは何様だ。
「君は自分の証言が自分を追い詰めると解っていないのか」
「追い詰める?」
「そうだ。何もしていない。それは同罪だ…虐待をしている姉と同じことをしていると声高らかに宣言したんだ。そうだなジャン」
「ええ、精神的虐待に値すます。リサさんに関しては実家と縁を切れば慰謝料の発生はすべて貴方になりますね?全額貴方がお一人で支払うことになります」
「はぁ?」
「ご家族と縁を切るならばご両親、姉君には支払い義務がありません」
「そんな!」
馬鹿な。
そんなふざけた理由があるのか!
「それから、貴方はリサさんと復縁を望んでいるそうですが無理です」
「何故だ!」
「どこの世界に虐待をした夫に帰りたい人がいますか。いたら相当のマゾです。夫にそれだけの付加価値があれば別ですが、無職で自分勝手で、自分の罪を逃れるために家族を売る屑に何の価値がありましょうか」
「そんな…嘘だ!リサは僕を…」
「愛しているわけないでしょ?どれだけおめでたい頭をしているのかしら?姉と変わらないわね?」
「リサさんにどう詫びればいいか。とりあえず離縁で財産分与となるお金は全額リサさんに渡す。ミレイの教育費は期待していない。君が支払うとは思えないし約束を守る気はないだろ」
「待ってライアス!」
「あの家は売り払うことになった…持ち出した品は返してくれ。そうでないと君は窃盗罪として逮捕されるよ」
「窃盗…でも、あの家の品は私のものでもあるのよ」
「母さんのものだ!あの家の名義はまだ母さんのものなんだよ!」
こうなった以上逃げ場はないのか?
この家と縁を切ってリサとやり直すこともできず残ったのは多額の慰謝料だけ。
そう思っていた僕だったが、弁護士は追い打ちをかけるようなことを言ったのだった。
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