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24.二人の密談~ミハイルside
しおりを挟む学園の騒動は既に両陛下の耳に入っているだろう。
それでも加害者であるあいつ等は自分の非を認めず、屑男に至ってはジゼルの事を悪く言って噂を流し悪女説を流している。
全ては自分の気を引く為の行動だと。
「何所をどう考えたらジゼルががあの馬鹿を好いていると思うのかしら」
「ああ…」
「政略結婚で愛情の欠片もなく、幼少期から酷い仕打ちをされて来たのに。侯爵夫人もジゼルを蔑んできましたのに」
「あれに関しては父も申し訳なく思っていたがな」
本家から追い出され、出世にも縁がない父を蔑み、学問し才能がない魅力のない女だと散々馬鹿にして来た侯爵夫人。
だが逆に言えば彼女にとってコンプレックスなのだろう。
チェイス侯爵夫人は子爵家の二女で、学校も貴族院ではなかった。
対するジゼルは優秀で学問だけならばシャルロット嬢やアンリエット様よりも上だ。
三歳の頃から父上が傍でみっちり学問を教えていたから当然と言えば当然だったからかもしれないが。
「本当に物を知らない方です事。分家筋でありながら多くの資産を有しているのはセオドール様が優秀かつカリスマ性に優れている証拠ですのに」
「そう言って貰えると有難いよ」
父は昔、諜報員として働いていた。
今は現役を退いているが、生活力は極端だった。
富と名声にも興味がないし、大金があれば困っている友人にすべて与えてしまう事がある。
我が家にある確実や薬草も、価値を知らなかったのだが、当初はサンチェスト侯爵夫人が病床で臥していた時に差し入れた果実が病に利いたのですべて差し上げたぐらいだ。
「父上はなんというか…運が良い」
「ご本人は無自覚でしょうに」
そうだ。
見返りを求めることなく与えてしまうから倍になって帰って来るのだ。
サンチェスト侯爵様が父に一目置いているのはそこだろう。
ファミリア辺境伯爵様は根っからの武闘派で学があまりなかった頃に父上が家庭教師をした事で学校を卒業できたと聞く。
「王妃陛下はアルティシア様と親友でいらしたと聞いてますわ」
「今にして考えてみると恐ろしいな」
四大貴族のほとんどは父が握っている。
そして他国とも交流のある王妃陛下の心は亡き母が。
「今まで国盗りをされなかったのが不思議です」
「今さらだがな」
権力に一切執着しない人だからこそ余計に人が集まって来る。
ただし、色々と拗らせた連中だけどな。
「さぁて、これからどうなるか」
「あら?まずはチェイス侯爵家の公開処刑ではございません事?一番の加害者ですもの…新聞部が大々的に書いてくださいますわ。なんせ新聞部部長の実家は王都でも最大のジャーナリストを育てていますもの」
「広告の商売もしているからな?」
タイミングとして最高だな。
まずは学園で孤立するだろう。
そこからじわじわと噂という悪意に怯えなくてはならないだろう。
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