25 / 27
最後の片付け
しおりを挟む
それからの日々は、あっという間だった。
リドさまの王位継承権の剥奪、グラッド殿下の帰国と王太子への叙任式は速やかに行われた。
叙任式でグラッド殿下は諸国を外遊してきた経験から、力を増してきている外国列強への懸念を述べ、急ぎ国力を高める必要があると訴えた。
貴族政治への疑問を隠さず、広く有能な官吏を募ることを始め革新的な政策を打ち出した彼の演説は、参列した貴族たちに激震を走らせたらしい。
わたしは叙任式には行けなかったが、天族の使者として参列したルールーさんやシャラからその様子を聞いた。
「ルミシカも参加すればよかったのに! 新しい王太子の話を聞きながらどんどん顔色が悪くなっていく貴族連中の顔は、とっっっても見ものだったよ!」
シャラはそう言って楽しそうに笑っていたが、新しい王太子殿下が持ち込んだ大きな爆弾は、まだしばらくこの国に混乱をもたらしそうだった。
シェンブルク家はというと、醜聞の責任をとって爵位を返上することになった。
貴族としての身分はかろうじて残るが、領地は返上、財産も多くを没収されるという重い処分だ。
つまり、もうこのシェンブルクの屋敷では何人たりとも暮らしていくことが許されない。
それがわかった途端、使用人たちは蜘蛛の子を散らす勢いであいさつもそこそこに去っていった。
薄情な、と罵るのは難しい。
我が家は義理を感じてもらえるほど恵まれた職場ではなかっただろうから。
「感情労働が多すぎたのよね、きっと」
仕えるべき家族間の仲が険悪で、ともすればそれに巻き込まれて職を失う恐れもある中で、今まで働き続けてくれたのだ。それだけでもありがたいと思おう。
もう、両親も妹もこの屋敷を去った。
父は爵位を返上したあと文官となり、城に勤めることになったようだ。
陛下の側近に近い立場で、今後とも治世を支えていくらしい。
爵位もないのに陛下の側に仕えるなんて、二人の間によっぽど強い絆がないと難しい。
陛下と父がこれほど親しいだなんて思わなかったので、それを知ったときは随分驚いた。
今まで父と胸襟を開いて話すことなんてなかったから、当然なのかもしれないけれど。
父は別れ際に、「すまなかった」とわたしに謝ってくれた。
家の中に問題があることに気づきながら、放置していたこと。
仕事が忙しいことを言い訳にして、わたしの言葉に耳を貸さずに盟約を果たすために婚約を実現させようとしたこと。
「言い訳に過ぎないが、家を継がないおまえに盟約のすべてを打ち明けていいものか迷っていた」
そう告げた顔には、葛藤の跡が刻まれていたように思う。
天族とシェンブルク家と王家との関係は、ひたすらずっとこうやって隠されていたのだろう。
家を継ぐ者だけがそれを教えられ、古の聖女から続く天族たちとの交流を守ってきたのだ。
それもわたしたちの代で途絶えることになってしまったけれど、父とてシェンブルクの血筋である。
したたかな父はそれを存分に生かして天族と交渉していくと言っていたので、もしかしたら今後は違う形でこの国と天族が関係を結べる日がくるのかもしれない。
母は、コーライル子爵の家に身を寄せることになった。ムールカも一緒だ。
以前はあれほどたくさんの人に囲まれて社交界で活躍していたというのに、醜聞が明らかになると巻き込まれてたまるものか、とでも言うように、母と妹を庇おうとする人は誰もいなかった。
愛人を抱える貴族なんて掃いて捨てるほどいるのに、不義密通が公になった途端に地位のすべてを失うほど追い詰められるのは何故なのだろう。
何が違うのかわたしには理解が及ばないが、連日わざわざ家まで来てまで非難や罵声を浴びせかける人々に晒されることになった二人は、まるで夜逃げするかのようにこの屋敷を去って行ってしまった。
その後コーライル子爵の家に匿われたと教えてくれたのもシャラだった。
天族の情報網を使って、どこにいるのか探り当ててくれたらしい。
コーライル子爵が本当に母を愛してくれているなら安全かと思うが、子爵にも当然妻がいて、子どももいる。
自分の味方になってくれない人々に囲まれて暮らしていくのは、つらいことだろうとも思う。
わたしもずっと、そうだったから。
婚約披露宴の騒動を見た人の中には「今までさぞやお辛かったでしょう」とわたしに声をかける人もいる。
しかし、わたしはこうなってしまった後も、母も妹も恨んではいなかった。
母にとって、わたしは政略結婚の一環として産んだ娘で、ムールカは愛した男性との間に授けられた娘だった。
恋をすると、理屈の通らない行動をしてしまう。
今回の件でそれを知ったわたしは、母が妹ばかりに愛情を向けるのも当然だったのだと深く納得してしまった。
妹のことは、むしろ可哀想だと思う。
ムールカの方が優秀であるのは明らかなのに、王太子の婚約者に選ばれ、未来の王妃と呼ばれるのはわたしだった。
わたしが重荷に思っていたその立場を、あの子はずっと欲しがっていた。
自分だってシェンブルクの娘で、盟約を果たすことができると自負していただろうに。
だが母の不義密通という、自分の努力と才能とは関連のないところで、道を阻まれてしまった。
集まるべき賞賛を自分のもとに集めようとした結果、集まったのは汚名と醜聞だった。
ここまで深く皆の印象に刻まれるような醜態を晒した以上、今後社交界に再び出て行くのは難しいだろう。
あの子がこれからどうなるのか心配だが、どれほど心配したところで、わたしにはどうすることもできない。
だけど、いつかまた、ゆっくり話ができる日がくればいいと願っている。
そうすれば今度は、以前より姉妹らしく振舞えるだろうか。
空っぽになった家の中で物思いにふけりながら、最後の片づけを終えてわたしは立ち上がった。
天領へ出発するのはもう明日だ。この屋敷に入れるのも、今日が最後になるだろう。
この家の中で一番居場所がなかったのはわたしだったはずなのに、最後に残ったのがわたしだなんて不思議な気分だ。
片付けと言ってもわたしの持ち物なんてほんの少しだ。
荷物にならない質素なドレスと生活用品、祖母の形見の手鏡ひとつ。
トランクひとつに詰め込んでもまだ余裕がある。
あとは、ルールーさんに貰った化粧品。これは、天領にも持って行こうと思う。
たとえルールーさんがわたしから離れて行っても、これがあればいつでも思い出すことができるから。
思い出を確かめるように化粧品の入った瓶を手に取ったとき、玄関の方で物音がした。
シャラが迎えに来てくれたのだと思って玄関に向かったのに、そこに立っていたのは、ルールーさんだった。
リドさまの王位継承権の剥奪、グラッド殿下の帰国と王太子への叙任式は速やかに行われた。
叙任式でグラッド殿下は諸国を外遊してきた経験から、力を増してきている外国列強への懸念を述べ、急ぎ国力を高める必要があると訴えた。
貴族政治への疑問を隠さず、広く有能な官吏を募ることを始め革新的な政策を打ち出した彼の演説は、参列した貴族たちに激震を走らせたらしい。
わたしは叙任式には行けなかったが、天族の使者として参列したルールーさんやシャラからその様子を聞いた。
「ルミシカも参加すればよかったのに! 新しい王太子の話を聞きながらどんどん顔色が悪くなっていく貴族連中の顔は、とっっっても見ものだったよ!」
シャラはそう言って楽しそうに笑っていたが、新しい王太子殿下が持ち込んだ大きな爆弾は、まだしばらくこの国に混乱をもたらしそうだった。
シェンブルク家はというと、醜聞の責任をとって爵位を返上することになった。
貴族としての身分はかろうじて残るが、領地は返上、財産も多くを没収されるという重い処分だ。
つまり、もうこのシェンブルクの屋敷では何人たりとも暮らしていくことが許されない。
それがわかった途端、使用人たちは蜘蛛の子を散らす勢いであいさつもそこそこに去っていった。
薄情な、と罵るのは難しい。
我が家は義理を感じてもらえるほど恵まれた職場ではなかっただろうから。
「感情労働が多すぎたのよね、きっと」
仕えるべき家族間の仲が険悪で、ともすればそれに巻き込まれて職を失う恐れもある中で、今まで働き続けてくれたのだ。それだけでもありがたいと思おう。
もう、両親も妹もこの屋敷を去った。
父は爵位を返上したあと文官となり、城に勤めることになったようだ。
陛下の側近に近い立場で、今後とも治世を支えていくらしい。
爵位もないのに陛下の側に仕えるなんて、二人の間によっぽど強い絆がないと難しい。
陛下と父がこれほど親しいだなんて思わなかったので、それを知ったときは随分驚いた。
今まで父と胸襟を開いて話すことなんてなかったから、当然なのかもしれないけれど。
父は別れ際に、「すまなかった」とわたしに謝ってくれた。
家の中に問題があることに気づきながら、放置していたこと。
仕事が忙しいことを言い訳にして、わたしの言葉に耳を貸さずに盟約を果たすために婚約を実現させようとしたこと。
「言い訳に過ぎないが、家を継がないおまえに盟約のすべてを打ち明けていいものか迷っていた」
そう告げた顔には、葛藤の跡が刻まれていたように思う。
天族とシェンブルク家と王家との関係は、ひたすらずっとこうやって隠されていたのだろう。
家を継ぐ者だけがそれを教えられ、古の聖女から続く天族たちとの交流を守ってきたのだ。
それもわたしたちの代で途絶えることになってしまったけれど、父とてシェンブルクの血筋である。
したたかな父はそれを存分に生かして天族と交渉していくと言っていたので、もしかしたら今後は違う形でこの国と天族が関係を結べる日がくるのかもしれない。
母は、コーライル子爵の家に身を寄せることになった。ムールカも一緒だ。
以前はあれほどたくさんの人に囲まれて社交界で活躍していたというのに、醜聞が明らかになると巻き込まれてたまるものか、とでも言うように、母と妹を庇おうとする人は誰もいなかった。
愛人を抱える貴族なんて掃いて捨てるほどいるのに、不義密通が公になった途端に地位のすべてを失うほど追い詰められるのは何故なのだろう。
何が違うのかわたしには理解が及ばないが、連日わざわざ家まで来てまで非難や罵声を浴びせかける人々に晒されることになった二人は、まるで夜逃げするかのようにこの屋敷を去って行ってしまった。
その後コーライル子爵の家に匿われたと教えてくれたのもシャラだった。
天族の情報網を使って、どこにいるのか探り当ててくれたらしい。
コーライル子爵が本当に母を愛してくれているなら安全かと思うが、子爵にも当然妻がいて、子どももいる。
自分の味方になってくれない人々に囲まれて暮らしていくのは、つらいことだろうとも思う。
わたしもずっと、そうだったから。
婚約披露宴の騒動を見た人の中には「今までさぞやお辛かったでしょう」とわたしに声をかける人もいる。
しかし、わたしはこうなってしまった後も、母も妹も恨んではいなかった。
母にとって、わたしは政略結婚の一環として産んだ娘で、ムールカは愛した男性との間に授けられた娘だった。
恋をすると、理屈の通らない行動をしてしまう。
今回の件でそれを知ったわたしは、母が妹ばかりに愛情を向けるのも当然だったのだと深く納得してしまった。
妹のことは、むしろ可哀想だと思う。
ムールカの方が優秀であるのは明らかなのに、王太子の婚約者に選ばれ、未来の王妃と呼ばれるのはわたしだった。
わたしが重荷に思っていたその立場を、あの子はずっと欲しがっていた。
自分だってシェンブルクの娘で、盟約を果たすことができると自負していただろうに。
だが母の不義密通という、自分の努力と才能とは関連のないところで、道を阻まれてしまった。
集まるべき賞賛を自分のもとに集めようとした結果、集まったのは汚名と醜聞だった。
ここまで深く皆の印象に刻まれるような醜態を晒した以上、今後社交界に再び出て行くのは難しいだろう。
あの子がこれからどうなるのか心配だが、どれほど心配したところで、わたしにはどうすることもできない。
だけど、いつかまた、ゆっくり話ができる日がくればいいと願っている。
そうすれば今度は、以前より姉妹らしく振舞えるだろうか。
空っぽになった家の中で物思いにふけりながら、最後の片づけを終えてわたしは立ち上がった。
天領へ出発するのはもう明日だ。この屋敷に入れるのも、今日が最後になるだろう。
この家の中で一番居場所がなかったのはわたしだったはずなのに、最後に残ったのがわたしだなんて不思議な気分だ。
片付けと言ってもわたしの持ち物なんてほんの少しだ。
荷物にならない質素なドレスと生活用品、祖母の形見の手鏡ひとつ。
トランクひとつに詰め込んでもまだ余裕がある。
あとは、ルールーさんに貰った化粧品。これは、天領にも持って行こうと思う。
たとえルールーさんがわたしから離れて行っても、これがあればいつでも思い出すことができるから。
思い出を確かめるように化粧品の入った瓶を手に取ったとき、玄関の方で物音がした。
シャラが迎えに来てくれたのだと思って玄関に向かったのに、そこに立っていたのは、ルールーさんだった。
0
あなたにおすすめの小説
冷遇され続けた私、悪魔公爵と結婚して社交界の花形になりました~妹と継母の陰謀は全てお見通しです~
深山きらら
恋愛
名門貴族フォンティーヌ家の長女エリアナは、継母と美しい義妹リリアーナに虐げられ、自分の価値を見失っていた。ある日、「悪魔公爵」と恐れられるアレクシス・ヴァルモントとの縁談が持ち込まれる。厄介者を押し付けたい家族の思惑により、エリアナは北の城へ嫁ぐことに。
灰色だった薔薇が、愛によって真紅に咲く物語。
居候と婚約者が手を組んでいた!
すみ 小桜(sumitan)
恋愛
グリンマトル伯爵家の一人娘のレネットは、前世の記憶を持っていた。前世は体が弱く入院しそのまま亡くなった。その為、病気に苦しむ人を助けたいと思い薬師になる事に。幸いの事に、家業は薬師だったので、いざ学校へ。本来は17歳から通う学校へ7歳から行く事に。ほらそこは、転生者だから!
って、王都の学校だったので寮生活で、数年後に帰ってみると居候がいるではないですか!
父親の妹家族のウルミーシュ子爵家だった。同じ年の従姉妹アンナがこれまたわがまま。
アンアの母親で父親の妹のエルダがこれまたくせ者で。
最悪な事態が起き、レネットの思い描いていた未来は消え去った。家族と末永く幸せと願った未来が――。
【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます
まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。
貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。
そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。
☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。
☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。
初耳なのですが…、本当ですか?
あおくん
恋愛
侯爵令嬢の次女として、父親の仕事を手伝ったり、邸の管理をしたりと忙しくしているアニーに公爵家から婚約の申し込みが来た!
でも実際に公爵家に訪れると、異世界から来たという少女が婚約者の隣に立っていて…。
そんなに妹が好きなら死んであげます。
克全
恋愛
「アルファポリス」「カクヨム」「小説家になろう」に同時投稿しています。
『思い詰めて毒を飲んだら周りが動き出しました』
フィアル公爵家の長女オードリーは、父や母、弟や妹に苛め抜かれていた。
それどころか婚約者であるはずのジェイムズ第一王子や国王王妃にも邪魔者扱いにされていた。
そもそもオードリーはフィアル公爵家の娘ではない。
イルフランド王国を救った大恩人、大賢者ルーパスの娘だ。
異世界に逃げた大魔王を追って勇者と共にこの世界を去った大賢者ルーパス。
何の音沙汰もない勇者達が死んだと思った王達は……
地味で器量の悪い公爵令嬢は政略結婚を拒んでいたのだが
克全
恋愛
「アルファポリス」「カクヨム」「小説家になろう」に同時投稿しています。
心優しいエヴァンズ公爵家の長女アマーリエは自ら王太子との婚約を辞退した。幼馴染でもある王太子の「ブスの癖に図々しく何時までも婚約者の座にいるんじゃない、絶世の美女である妹に婚約者の座を譲れ」という雄弁な視線に耐えられなかったのだ。それにアマーリエにも自覚があった。自分が社交界で悪口陰口を言われるほどブスであることを。だから王太子との婚約を辞退してからは、壁の花に徹していた。エヴァンズ公爵家てもつながりが欲しい貴族家からの政略結婚の申し込みも断り続けていた。このまま静かに領地に籠って暮らしていこうと思っていた。それなのに、常勝無敗、騎士の中の騎士と称えられる王弟で大将軍でもあるアラステアから結婚を申し込まれたのだ。
本物の『神託の花嫁』は妹ではなく私なんですが、興味はないのでバックレさせていただいてもよろしいでしょうか?王太子殿下?
神崎 ルナ
恋愛
このシステバン王国では神託が降りて花嫁が決まることがある。カーラもその例の一人で王太子の神託の花嫁として選ばれたはずだった。「お姉様より私の方がふさわしいわ!!」妹――エリスのひと声がなければ。地味な茶色の髪の姉と輝く金髪と美貌の妹。傍から見ても一目瞭然、とばかりに男爵夫妻は妹エリスを『神託の花嫁のカーラ・マルボーロ男爵令嬢』として差し出すことにした。姉カーラは修道院へ厄介払いされることになる。修道院への馬車が盗賊の襲撃に遭うが、カーラは少しも動じず、盗賊に立ち向かった。カーラは何となく予感していた。いつか、自分がお払い箱にされる日が来るのではないか、と。キツい日課の合間に体も魔術も鍛えていたのだ。盗賊たちは魔術には不慣れなようで、カーラの力でも何とかなった。そこでカーラは木々の奥へ声を掛ける。「いい加減、出て来て下さらない?」その声に応じたのは一人の青年。ジェイドと名乗る彼は旅をしている吟遊詩人らしく、腕っぷしに自信がなかったから隠れていた、と謝罪した。が、カーラは不審に感じた。今使った魔術の範囲内にいたはずなのに、普通に話している? カーラが使ったのは『思っていることとは反対のことを言ってしまう魔術』だった。その魔術に掛かっているのならリュートを持った自分を『吟遊詩人』と正直に言えるはずがなかった。
カーラは思案する。このまま家に戻る訳にはいかない。かといって『神託の花嫁』になるのもごめんである。カーラは以前考えていた通り、この国を出ようと決心する。だが、「女性の一人旅は危ない」とジェイドに同行を申し出られる。
(※注 今回、いつもにもまして時代考証がゆるいですm(__)m ゆるふわでもOKだよ、という方のみお進み下さいm(__)m
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる