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◆◆◆

灯りの付いた室内からはいい匂いが漂っている。今日も夕飯を作ってくれたらしい。頬が思わず緩んだ。
彼は働かざる者食うべからずなどといい、ただ世話されることを良しとしない。魔法も使えず大変だろうに家の中のことを細々としてくれる。上司が何かと『結婚はいいぞ』と押し付けてきて常々うんざりしていたのだが、今はそう言いたくなる気持ちがよく分かった。

「おかえり!」
「ただいま帰りました」

すっかり馴染んだやり取りだが、未だに家に迎え入れてくれる人がいることが何だかくすぐったい。

「料理を作ってくれたんですね。他には今日は何してたんですか?」
「えーと、今日は家の中の掃除だろ?あとこの前買ってきてくれた変な肉!初めてあれを使った料理に挑戦したんだぜ?あと中庭の木にちっちゃい実がなってた!一個もいでみたんだけど、食べれるの?それから……」

嬉しそうな報告に頬が緩む。
快活な彼をこの家から出さないでいることに、チクリと良心が痛んだ。それでも外に出すことはできない。彼の人となりなら協力者や仕事もきっとすぐに見つけられるに違いない。そうしたら私の家に帰って来るだろうか?自由を求めて私を置いて行ってしまうのでは?その想像をしただけで首筋がひやりと冷たくなった。

「それはお疲れ様です。料理もありがとうございます。美味しそうですね」
「えっとすぐ食べる?」

少年がもじりと体を揺らしながら、こちらを伺うように覗き込んでくる。
上目遣いのその表情に煽られ、あまりに簡単に私の体に情欲に火が灯る。私は戸惑う彼を抱き上げると寝室へと足を進めた。

「え、あっ?ご、ご飯は?」
「食事は後でゆっくり頂きます。まずは貴方に触れないと無理です」
「ちょっと待っ…んう!」

ベッドに降ろした彼に覆いかぶさるように顔を重ね、開いていた口に齧り付いた。舌を絡めとると次第に動きに応えてくれる。
この口づけも彼が教えてくれたものだ。初めは口どうしを合わせることに何の意味があるのか分からなかったが、何度もかわす内に堪らなく甘美な行為なのだと納得した。今もこれだけで下腹がズンと重くなるのが自分でわかる。
どれだけ貪っても名残惜しさを感じる唇を離す。

彼も感じ入ってくれたようだ。閉じられていない口から唾液を垂らし頬を赤くしている様はひどく淫らだ。
くたりと力が抜けた体に手を伸ばし、腰ひもを解いていく。
すると私の動きに反応をして抵抗を見せてきた。

「ま、待ってってば!」
「待てません。今日も一日がどれだけ長く感じたか。貴方だって嫌ではないのでしょう?」

寛げた下穿きから覗いた、彼のものにつぅっと指を這わせるとぴくんと体を跳ねさせた。
口づけしかしていないが、彼のものは首を擡げびっしょりと濡らしている。

「んぅ…ッ、ちがくてッ。じょ、浄化を…」
「ああ…」

体をもじもじとくねらせる彼のしぐさに私の口が弧を描く。
やはり今日も彼は『溜水』を放つのを我慢していたらしい。
昼の休憩で一度家に帰り抜いてあげているが、その時以来していないとしたらもう限界だろう。

「後で浄化をすれば済むのでどこでしても構わないと言ったでしょう?我慢は体によくありませんよ」
「そんな、部屋でするなんて絶対無理だから」
「だからと言ってまた外でしてないでしょうね?」

そう問うと、おびえたように首を横に振った。

彼は粗相で部屋を汚すことにどうしても抵抗があるようで、初めて会った時のように軒下でしようとするのだ。もしそんな彼の無防備な姿を誰かに見られたら?ただ彼の存在を知られるだけでも恐ろしいのに、とてもじゃないが許せるものではない。
一度どうしても我慢ができず外でしたと聞いた時は酷いお仕置きをしてしまった。私の問いにおびえていたのはそれを思い出したのだろう。

「は、早く浄化してッ。お願い」

涙目で懇願してくる表情は見ているだけでゾクリと血をたぎらせてくれる。
彼の願いなら何でも聞きたいがこの願いを聞くのはなかなか難しい。
彼の声に応えずに、私は彼の穴に指を差し入れた。毎日穿っているせいか、始めの頃の頑なさはすでにない。今も言葉とは裏腹にくちゅりと水音を立てて嬉しそうに迎え入れてくれた。

「ああ、今朝出したものがまだ残っていますね。それにまだ柔らかい」
「ッ」

彼は男同士での営みにはまるで興味がなかったらしい。その名残か未だに自分が組み敷かれることにひどく抵抗があるようで、それらを示唆する言葉に酷くうろたえる。始まってしまえば快楽に溶かされ積極的にねだってくれるのに。
現に指で中を少し弄っただけで無意識に腰を揺らしている。いけない、もっと彼の抵抗する姿を愛でていたいが、こちらも限界だ。自分も急ぎ局部を晒し、膝裏に手を当て足を大きく開かせると、すでに十分綻んでいるそこに自身の熱を押し当てた。
ちゅっと健気に先端に吸い付いてくれる様が堪らない。念のため魔法で出した粘度の高い水を自らの棒に纏わせると、グッと一気に熱い内部に入れた。
ずぷん!

「ひぃっ!」
「はァッ」

絡みついてくる内壁の気持ちよさに腰の動きを止めることができない。
本当ならもっと余裕をもって可愛がりたいのにこの圧倒的な快楽の前ではいつも無様に腰を振るだけの情けない男に成り下がってしまう。

ぐっちゅぐっちゅ

「あっあっあっ!」

コリコリした部分に擦り付けるを狙って抜き差しをすると彼の体が大きく跳ねた。
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