異世界の英雄は美少女達と現実世界へと帰還するも、ダンジョン配信してバズったり特殊部隊として活躍するようです。

椿紅颯

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第三章

第15話『初任務を遂行するためにダンジョンへ』

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「ダンジョンに入るための登録手続きは特別に終わらせておきました」

 さくら秋兎あきと一行はダンジョン管理施設内の一角にて、机で向かい合っている。

「今の皆さんは住所などが不特定となってしまっているため、諸々の手続きと一緒に終わらせておきました」
「じゃあ、これからの住所はあの場所ということなんですね」
「はいそうなります。後で住所などの情報をポストに投函しておきますので、ご確認のほどよろしくお願いします」
「わかりました」
「あとは、こちらのデバイスを常に携帯しておいてください」
「これは?」

 桜からそれぞれ手渡されたイヤーカフ型のデバイス。
 外観はアクセサリーそのもので、それぞれの髪色と同じデザインになっている。

「こちらは最新の技術で開発されたAR技術を取り入れたものとなっております」
「ごめんなさい、そのAR技術とはなんですか?」
「拡張現実と認識してもらって構いません。ぜひ、まずは装着してみてください」

 言われた通りに4人は耳に装着する。

「両耳で操作が違うようになっております。左側を摘まんでみてください」

 4人共指示に従ってみると、あら不思議、視界にパソコンのブラウザみたいなウィンドウが展開した。

「わわわ、アキト様、変なのが目の前に出てきました。しかも顔を動かしても追従してきます」
「ああ、こりゃあ凄い」
「そこからは様々な操作方法があります。そのウィンドウをタッチしてみてください」

 指示通りに指で触ってみると、ウィンドウが反応。『次の操作を選択してください』と様々な項目が表示された。

「この拡張現実を搭載したデバイスは、モンスターを討伐したら自動で加算され口座へ直接報酬が振り込まれます」
「それはあまりにも便利ですね」
「あとは討伐数に応じたクエストがありまして、例えば10体毎に小ボーナスが付与されるみたいな感じです」
「上層に出現しているようなモンスターは30体ぐらい討伐して反映されるけど、下の階層へ行くにつれて10体、ボスなら1体という感じですか?」
「はい、まさにその通りです」

 4人はそれぞれ、いろいろと空中に出現しているウィンドウをタッチ、タップ、スワイプしてみる。
 デバイスにはインターネットが接続できており、他の人間にも配布はされてある物ではあるが、4人の物は特別性となっていた。

「ちなみに音声で起動も操作もできるので、戦闘中にも使用できます」
「便利すぎますね、これ」
「一応、皆様のデバイスは他の方々とは別物となっておりまして、私たちへ連絡できたりできる特別回線を使用することができます」
「互いの位置を確認できたりするということは、ダンジョン内ではどこに居るのか把握されているということでもありますよね」
「はい。それに関しては皆様以外の全員も対象となっておりますので、ご了承いただけましたら幸いです」
「郷に入っては郷に従え、と言いますから、わかりました」
「懸念材料としてインターネットの範囲が気になると思いますが、そちらに関しましても安心してください。各移動用に使用する階段はモンスターが出現しませんので、そこに中継地点の危機が設置されています。各階層を繋ぐものがあれば、10階層単位で繋いであったりもするので万全です」
「なるほど」

 秋兎はこの世界で生まれ育ったとはいえ、このような技術に触れることはなかった。
 そのため操作感はすぐに対応できても、直観的に操作を行うことはまだまだ厳しい。現にいろいろと説明されているが、「時間をかけて慣れていこう」と決めている。

 3人に関しては何がなんだかわかっていないが、「とりあえずこういうものに慣れていかないとダメなんだな」と、難しいながらもこちらの世界に順応していこうと心に決めていた。
 しかし秋兎とは違い、目新しい技術や景色を存分に楽しんでいる。

「それで、です。皆様には手始めにダンジョン配信をしていただこうと思ってりまして」
「配信と言いますと、テレビとかの生放送的な感じですか?」
「はい、その通りです。最初はいろいろと不慣れかと思いますので、ダンジョンを深く潜る必要もありません。試行錯誤をしながら、配信者として活動を開始していただけたらと思っております」
「攻略者の人口を増やすきっかけ作り、と言ったところですか。でも俺は兎も角、3人は目立つ外見をしていますし、多くの目に触れたら地上での生活に影響が出ませんか?」

 秋兎は、興味津々にいろいろとウィンドウ操作しているセシル・マリー・フォルの方へ視線を移す。

 彼女たちはすれ違う人々がすれ違うほどの容姿をしているが、それよりも圧倒的に目立つ要因としてあるのは、その目立つ髪色。
 外国ならいざ知らず、お国柄として黒や茶色の髪色が一般的な場所ではあまりにも目立ちすぎる。日常生活なら気にしなくていいものの、話題の伝染する速度が速い学園では支障をきたすに違いない。

 かといって、生死を分ける戦いをするダンジョンへカツラなどを装着していくわけにもいかず。

「最初は特殊メイクなどを案として挙げていたのですが、さすがに邪魔だと判断しました。ですので、顔半分を覆う仮面などはいかがでしょうか」
「ふむ、ならば妾の出番じゃの」
「フォルの魔法でどうにかできるのか?」
「仮面だけじゃと、結局は外れる心配をしなくてはならぬからの。外れないよう仮面に付与しっぱなしかつ髪色の偽装も簡単じゃ。目立たぬよう、全員がアキトと同じような髪色にしてしまえばいいのじゃろ?」
「さすがフォル」
「アキトよ、もっと褒めてくれてもいいのじゃぞ」
「それはまた後で」

 もはやなんでもありな一行を前に、どうやってツッコミを入れたらいいか迷う桜。
 しかしそんな困惑中の桜へさらなる非常識が起きてしまう。

「そういえば、俺たちがあっちで使用してた仮面の装備があるので――これなんですけど」

 秋兎は腕を少し上げたと思ったら、手首より前が空中で消え、4枚の黒いハーフマスクを取り出した。

「え、なんですか今の」
「アキト様、それは私たちが暗躍していたときの物ではありませんか」
「あんまり時間が経っていないのに、なんだか懐かしいねぇ。ボク、何度か怒れてたよね」
「マリーは『正体を隠す』という意味を全く理解しておらぬかったからの」
「と、まあこんな感じで慣れていますので大丈夫です」
「あ、あはは……」

 目の前に居る少年少女たちが改めて未知の存在を前にしていることを再確認した桜。
 文字通り人間離れした力を発揮する面と年相応な面を両方目の当たりにしたからこそ、混乱する情緒で乾いた笑いしかできなかった。

「……と、とりあえず。配信に関してはわからないことの方が多いと思いますので、いろいろと操作してみてください。初めての配信ですから、たぶんあまり視聴されないと思いますので」
「わかりました。その辺は体を動かしつつ模索してみようと思います」
「よろしくお願いします」

 秋兎一行の強さは自身の目で確認していたから把握しているものの、『ここまで釘を刺しておけば無茶はしないだろう』、と冷静な応答から心を安堵させる。

「そのデバイスがあれば、探索者として融通が利くようになりますので」
「わかりました。じゃあ、手始めに軽くダンジョン攻略をしてきます」
「お気をつけて――とお声掛けするのはあまり意味が無さそうですね」
「いえいえ。それでは行ってきます」
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