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嵐の後の片付けとこれからの課題
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翌日昼頃から小雨になり夜には月が見えるほどに空は晴れ渡った。
「お~い!こっちだ!」
「はあ~道が……雨が止んでもこれは……」
板垣と盛山が崩れた箇所を調べながら書き付けていく。
「幸三郎様ここは我ら二人で山は調べてまいります。お二方がついていても数が多すぎてちょっとで何とかなる感じじゃありません」
弦之助と見合って、
「済まぬ頼むぞ。足元が悪いから気を付けてな」
「はい!」
と良い返事が二人から返って来たゆえ弦之助と山を下り家の裏山などが崩れてないか見回った。
「兄上村は何とか……でしたね」
「ああ前回はお前の屋敷の裏か?崩れたのは」
「あはは。我が家ではございません。山に一番近い喜久右衛門の家ですよ」
「そうか……喜久右衛門は大平から移住してくれた……頭のおかし……げふん。奇特な者だからな」
クックッと弦之助が笑う。
「兄上……心の声が漏れてますよ」
「仕方なかろう。こんな大平に比べたら住みにくく人も居らぬこんな若造が管理してる村に来るなんて」
あはは!と大笑いした。
「あの者は人嫌いなんですよ。黙々と田畑を耕してるのが性に合うそうです。クックッ」
「其方は話すのか?私が話しかけてもはいしかいえ……しか言わぬぞ?」
「兄上は顔が整ってて怖いんだそうです」
え……何なんだそれは?
「意味が分からぬが?」
「睨まれてるように感じるそうです」
「はあ……まあ好かれてないんだな」
アワアワして、
「違いますよ!睨まれても綺麗だと見惚れて声が出ないんだそうです」
「男が好きなのか?」
あ~ははは!と笑う。おかしな事言ったか?
「嫁のお藤がいるでしょう?綺麗な物が好きなだけだと言ってました」
「そうか。なら今度は笑顔で近づいて見るか」
「ぐふふっ笑い死ぬ……兄上面白いです……」
「なんなんだ其方は!」
いいのですよ兄上はそのままで……と笑い続けている。腹立つ。
「ほれ、弦之助まだ回るのだから笑うのは終わりにしろ」
「はあ……畏まりました。ふふっ」
それから大平に向かう道を確認に行った。最悪な事に道は寸断されていた。かなり上から崩れ川に流れ出て堤が出来ていた。
「兄上これはかなりまずいですね……」
「ああ大平には水のない川が出来ているはずた」
丁度大平からも見に来ていた大勝の手下がお~いと声を張り上げている。
「そちらはどうだ?」
「あちこち土砂崩れで大変で~す!そちらもですかぁ?」
「そうだ!この川は早急になんとかしたいと思っている。川に近づかないように大勝様に伝えてくれ!!」
「分かりました!道が繋がったらまた!」
「おお!そちらも大変だろうが頑張ってくれ」
「ありがとう存じます~!!」
むふ……何処もかしこもか。取り敢えずこの川だな。
「弦之助人工を集めてここを先にやろう。大平との峠道は病人が出たら通れないでは済まないからな」
「はい。では戻りましょうか兄上」
それから人工を集めて堰き止められている川の太い枝や葉っぱ、大きめな石を退かし取り敢えず流れるようにするだけで一日が過ぎた。この時期はもう陽が陰るのが早い。遅くなれば危険が増す。
「御苦労であった!明日も頼むぞ!」
村人の一人が、
「幸三郎様自ら泥だらけに……」
「何を言っておる?村の一大事に座敷に座ってはおれぬからな」
私の返答に皆の顔が綻ぶ。
「こんな名主様だから……俺たちは頑張れるのだな」
「だな……」
そんな声が聞こえた。嬉しいものだな、ならばこれからもっと精進せねばと襟を正した。
「帰るぞ!」
「おお!」
翌日もこの堤が出来た上の峠道の泥を除ける作業を昨日とは違う人工と共にした。田畑の方もあるから交代でしなければ立ち行かない。
水分の多い泥は腰にも腕にも負担が来るがしなければ困るのは我が村人なのだ。気合を入れ直し泥を除けた。
「兄上!握り飯をお持ちしました。これだけの重労働では腹も空きましょう。皆もひと休みしろ!」
「悪いな。ウメか?」
「はい。野良仕事とは違いますからと。後兄上の様子も見に来ようかと私は思ってましたから」
「其方の山はどうだ?」
「はい………」
弦之助の話では田んぼの幾つかが崩れ下の田んぼにと。段々田んぼの作りに影響された崩れが多く小さいものから大きく熊がひと掻きしたような崩れ方と様々だと。
「米や畑をしなから冬までに何とかしたいが……」
「無理でしょうね。小さい被害ならまだしも全部は。伝次郎の所は来年の作付けは無理か、被害のないところだけで作付けるかですね」
「クソッ……だがやれるだけはやらねばな」
「はい、兄上」
弦之助の報告は胸が痛む。今年は何とかなっても来季は……天気はどうにもならぬが。下を向いても何も始まらない。村の長の私が気落ちしているのは見せる訳にはいかぬ。
「食べ終わったら続きを頼む。私は少し戻るゆえ怪我のないようにな!!」
「おお!分かってます!!」
男衆のいい声が谷に響いた。
「お~い!こっちだ!」
「はあ~道が……雨が止んでもこれは……」
板垣と盛山が崩れた箇所を調べながら書き付けていく。
「幸三郎様ここは我ら二人で山は調べてまいります。お二方がついていても数が多すぎてちょっとで何とかなる感じじゃありません」
弦之助と見合って、
「済まぬ頼むぞ。足元が悪いから気を付けてな」
「はい!」
と良い返事が二人から返って来たゆえ弦之助と山を下り家の裏山などが崩れてないか見回った。
「兄上村は何とか……でしたね」
「ああ前回はお前の屋敷の裏か?崩れたのは」
「あはは。我が家ではございません。山に一番近い喜久右衛門の家ですよ」
「そうか……喜久右衛門は大平から移住してくれた……頭のおかし……げふん。奇特な者だからな」
クックッと弦之助が笑う。
「兄上……心の声が漏れてますよ」
「仕方なかろう。こんな大平に比べたら住みにくく人も居らぬこんな若造が管理してる村に来るなんて」
あはは!と大笑いした。
「あの者は人嫌いなんですよ。黙々と田畑を耕してるのが性に合うそうです。クックッ」
「其方は話すのか?私が話しかけてもはいしかいえ……しか言わぬぞ?」
「兄上は顔が整ってて怖いんだそうです」
え……何なんだそれは?
「意味が分からぬが?」
「睨まれてるように感じるそうです」
「はあ……まあ好かれてないんだな」
アワアワして、
「違いますよ!睨まれても綺麗だと見惚れて声が出ないんだそうです」
「男が好きなのか?」
あ~ははは!と笑う。おかしな事言ったか?
「嫁のお藤がいるでしょう?綺麗な物が好きなだけだと言ってました」
「そうか。なら今度は笑顔で近づいて見るか」
「ぐふふっ笑い死ぬ……兄上面白いです……」
「なんなんだ其方は!」
いいのですよ兄上はそのままで……と笑い続けている。腹立つ。
「ほれ、弦之助まだ回るのだから笑うのは終わりにしろ」
「はあ……畏まりました。ふふっ」
それから大平に向かう道を確認に行った。最悪な事に道は寸断されていた。かなり上から崩れ川に流れ出て堤が出来ていた。
「兄上これはかなりまずいですね……」
「ああ大平には水のない川が出来ているはずた」
丁度大平からも見に来ていた大勝の手下がお~いと声を張り上げている。
「そちらはどうだ?」
「あちこち土砂崩れで大変で~す!そちらもですかぁ?」
「そうだ!この川は早急になんとかしたいと思っている。川に近づかないように大勝様に伝えてくれ!!」
「分かりました!道が繋がったらまた!」
「おお!そちらも大変だろうが頑張ってくれ」
「ありがとう存じます~!!」
むふ……何処もかしこもか。取り敢えずこの川だな。
「弦之助人工を集めてここを先にやろう。大平との峠道は病人が出たら通れないでは済まないからな」
「はい。では戻りましょうか兄上」
それから人工を集めて堰き止められている川の太い枝や葉っぱ、大きめな石を退かし取り敢えず流れるようにするだけで一日が過ぎた。この時期はもう陽が陰るのが早い。遅くなれば危険が増す。
「御苦労であった!明日も頼むぞ!」
村人の一人が、
「幸三郎様自ら泥だらけに……」
「何を言っておる?村の一大事に座敷に座ってはおれぬからな」
私の返答に皆の顔が綻ぶ。
「こんな名主様だから……俺たちは頑張れるのだな」
「だな……」
そんな声が聞こえた。嬉しいものだな、ならばこれからもっと精進せねばと襟を正した。
「帰るぞ!」
「おお!」
翌日もこの堤が出来た上の峠道の泥を除ける作業を昨日とは違う人工と共にした。田畑の方もあるから交代でしなければ立ち行かない。
水分の多い泥は腰にも腕にも負担が来るがしなければ困るのは我が村人なのだ。気合を入れ直し泥を除けた。
「兄上!握り飯をお持ちしました。これだけの重労働では腹も空きましょう。皆もひと休みしろ!」
「悪いな。ウメか?」
「はい。野良仕事とは違いますからと。後兄上の様子も見に来ようかと私は思ってましたから」
「其方の山はどうだ?」
「はい………」
弦之助の話では田んぼの幾つかが崩れ下の田んぼにと。段々田んぼの作りに影響された崩れが多く小さいものから大きく熊がひと掻きしたような崩れ方と様々だと。
「米や畑をしなから冬までに何とかしたいが……」
「無理でしょうね。小さい被害ならまだしも全部は。伝次郎の所は来年の作付けは無理か、被害のないところだけで作付けるかですね」
「クソッ……だがやれるだけはやらねばな」
「はい、兄上」
弦之助の報告は胸が痛む。今年は何とかなっても来季は……天気はどうにもならぬが。下を向いても何も始まらない。村の長の私が気落ちしているのは見せる訳にはいかぬ。
「食べ終わったら続きを頼む。私は少し戻るゆえ怪我のないようにな!!」
「おお!分かってます!!」
男衆のいい声が谷に響いた。
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