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帝の代替わり編
33 帝の第一后、麗様
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その日の夜。
「待っ……いい」
「待つ?やめる?」
「して……んっンンッ……イクッアッ」
腰を捕まれ押し込まれ、気持ちよくて朦朧としていた。僕のお尻は快感に溢れ出し、イケばさらに。翠の出したものとでグチュグチュと湿った音を立てる。
「夏樹かわいい……翠って呼んで」
背中に張りつき耳元で囁く翠。僕はそのエッチな声にゾクゾクして体が反る。
「すいぃ……気持ちよくておかしくなりそう」
「なればいい」
翠の股間はイッても萎えない。ずっと入れっぱなしで抜きもしない。知ってるけど強い快感に苦しくなっていた。逃げ場のない快感は苦しいに変わる。
「翠……一度抜いてぇ」
「いや。繋がっていたから」
「んんーっ」
イッても抜かれないから刺激て苦しい。そのうちまた気持ちよくなっての繰り返しで息も絶え絶えの僕。
「噛んでいい?」
「ふえ?」
ガブッと首筋を噛まれると全身がブルブル。中の快感に腰が砕けそうだ。アーッ
「グッ……いい締め付け」
「あ…ああ……翠これダメ……」
漏らした……噛まれるのダメなんだ。痛みが快感と結びついて激しく気持ちいい。発情期の翠を思い出すのか体が反応するんだ。
「やめ……ンッ」
「もっと乱れて」
強く噛まれ意識が保てない。ふわふわするよぉ。……僕は少し飛んでしまったらしく、翠の胸の上にいた。
「抜いてぇ」
「さっき抜いたよ。体位を変えるために」
「僕の記憶にはないよぉ」
何度かこんなやり取りをしながら抱かれていた。でもこうしてるの好き。苦しいとか思うけど、幸せな時間なのは間違いない。僕も大概だな。
「ハァハァ翠好き」
「俺もだ」
自分で腰を振ると、翠は嬉しそうに僕の腰を掴み深く押し込む。ゆっくりと入るところまで。さらに奥へ。
「む…ムリ……苦しッ」
「子種はこの先だ。慣れておけよ」
「慣れるとは……なに?」
「すごく気持ちいいだろ?」
「うん」
「初めての子作りの時苦しいらしいんだ。深くて意識が保てないらしい。俺はお前が意識ある状態でしたいんだ」
「そ、そう……」
たくさんした後なら苦しさも少ないかなって時々しているらしく慣れてくれと。慣れるのこれ?と思いながら彼のがびくびくとして溢れてくる。
「クソッ気持ちいいッこれ俺もダメだ。よすぎる」
「イヤーッ」
頬を染め彼も絶頂、そして幸せそうにしている。少しすると僕も快感が引き始めキスを求めた。
「僕ね……翠に抱かれるの好き。気持ちいいだけじゃなくて……分かんないけど好きなんだ」
「うん」
性欲の強い竜はこういう相手じゃないと妻に出来ない。竜同士なら問題は起きない、そりゃそうだよね。
「俺の目は確かだった。俺はお前の外見だけで惚れたのではないんだ。何かは分からないけど……」
「うん」
僕は疲れてこのまま寝てしまい、でもすぐに起こされた。謁見祭りですよーってわんわん二号。持ち込んだ装束に着替えるのに時間が掛かるからとバタバタとしている。早く風呂に入れ、飯を食え。そしてすぐに移動だとわんわん二号は叫ぶ。……そっくりだな。などと思ってると布団を剥がれた。
「まだ繋がってましたか、抜け翠様。すぐに風呂に入れ。全裸で構いません、誰もいないから早く!」
「「はい……」」
朝日がまだなのに叩き起こされ、二人で大浴場にフラフラと向かう。眠い。
「ヤリ過ぎです。昨日時雨様が言ってたでしょう?もう!」
「うん……ついかわいくてやめられなかった」
言い訳はいいからと急かさらた。僕らは大浴場について扉を開けた。ウワーッすごい、モロ温泉宿のお風呂だ。伝統的なかけ流しで、竜の口から勢いよく浴槽に湯が注がれている。硫黄の臭いもして感動ものだ。
「すごい。広いし」
「まあな。人が重なるとたくさん人が入るから」
壁の洗い場にはヒノキ?の桶と椅子があって、シャワー完備。今どきのボトルに入ったシャンプーとコンディショナーにボディソープ。それとなぜか固形石けんもある。外観とのギャップが……やめよう。僕らは体を流し浴槽に浸かる。ちょうどいい温度だ。
「あー……眠い」
「ごめん。時雨のせいで止められなかった」
翠は、兄君たちが絡むと不安になるし苛立つし、幼い頃の気持ちに一瞬でなるそうだ。どうしょうもないんだと僕を抱き寄せる。
「なんか分かるよ。あのお祭りの時ね。久しぶりに雪斗に会って、子供の頃と同じような気分になったから」
「だろ?」
ゆっくり浸かってたらわんわん二号が飯!と呼びに来た。
「時間は少のうございます。ちゃちゃっと済ませて下さいませ。ここは温泉で気持ちいいのは分かりますが、明日以降にゆっくりして下さい。本日はお婆様ですので」
「……やはりか」
「ええ。息巻いてました」
二人はげんなりを隠さなかった。お婆様とは先代の妃様だよねと聞けばそうじゃないと否定された。あの人は帝の后、奥様だそうだ。俺をこよなく愛してくれる……と、ため息。なぜため息?
「親の兄弟だからお婆様じゃないんだが、みんなそう呼んでるんだ」
「ふーん」
他の人にはお婆様と言っていい年齢だそう。千年以上生きているから。帝が亡くなれば共にで後数十の命。彼女だけは帝の命の珠を交換してるの唯一の奥様。他の第二、第三后と呼ばれてる奥様方は側室で、だからなんだっけ?今生きてる方はと翠が言い淀むと、わんわん二号が、
「今はお婆様と第八妃のみが生きておいでです」
「そうそう、ウグイスの春姫様だな。付き合いはないけど」
そんな話は後でいい、急げと慌ただしく支度して謁見の間に到着。待っていると美しいお婆様?が静々と歩き、御簾の上がっている玉座に着席した。僕らは座礼をする。
「翠、面を上げなさい」
「ハッご無沙汰しております。麗様」
僕はここに来る間に簡単な説明を受けていた。彼女は親戚の竜の姫で、先代帝のゆかりの人。絶世の美人で絶倫。当然力も強く、そこらの姫など太刀打ち出来ない。才色兼備とはこの方のための言葉だと言われる方。でも。
「いや~ん夏樹かわいいぃ」
「え……」
僕らが顔を上げると、トコトコと御簾の奥から降りて僕の前に座り手を取る。
「あなたらしい妻ですわ。なんてかわいらしい」
「ありがとう存じます。麗様」
僕は面食らっていた。帝の正妻の方でしょ?どっかのギャルみたいな反応ですが?
「麗様、夏樹が」
「あらそうね。あなたがどんな想像をしていたかは分かりませんが、わたくしはこんなです。非公式の場ではこれが普通です。ねえ翠」
「ええ。俺の後ろ盾になって下さった方だ」
翠の説明によると、母君とこの方は元々お友だち。だから母君の苦悩をよく知っていた。帝のお傍に上がると、表情が日増しに暗くなっていったのを覚えているそうだ。そして二人とも亡くなった後、陰に日向に兄君たちと共に翠を助けてくださってたそうだ。
「えっと……奥様が増えるの…は」
「気にして生きている妻はいません。そんなものと捉えてますから。人とは違います」
「そうですか」
反射的に失礼なことを聞いてしまった僕。でも気にされてない。ニコニコしながら特にここはそうなのと。竜は奔放だし自分も竜。妻同士もそこそこ仲もいい。人の世界の大奥みたいのじゃないのよって。
妻であろうが側室であろうが、次の帝を産んでもそれによって家が栄えるもない。その人個人の力と能力に比例する。出世を望む人もいない。向くからやってねの世界である。性欲以外で揉めることはほとんどないと言う。この話は本当なんだと僕は驚いた。
「聞いてるでしょ?我ら獣は伴侶選びの時にキレるのみですわ」
「は、はい」
この世界を維持するためにこうしなさいと天帝に言われやっている。帝だから偉いも本来はない。「天帝以外に頭を下げる獣はいないというのが建前である」と麗様。
「でもね。長い年月で御所にいる竜にはみんな頭を下げるわね」
「麗様、夏樹の手は……」
「あらいやだわ。おほほっ」
笑顔の絶えない麗様は、三十代後半くらいの見た目で若々しく美しい。ここ最近年齢が進み始めたそうだ。帝も同様で、それで測定会となった。ここからは人と同じように歳を取るそうだ。
「夏樹はかわいらしいわ。翠にどこか似てるような雰囲気ですね」
「ええ。たぶんそこに惹かれたのだと思います」
「優しいあなたにぴったりだわ」
麗様がパンパンと手を叩くと、屏風とテーブル座椅子などがサッと用意され茶の間が出来上がり。お菓子や果物、お茶が用意されさあ座りなさいと促された。
「ここの方が人が聞き耳立てないからいいのよ」
本当は別の部屋でもいいけど人通りがあり、誰かに話を聞かれてしまう。それが嫌だったと麗様は楽しそうに微笑む。家臣たちは聞こえた話をあちこちで話してしまう。ここなら帝や私たち(妻たち)しか使わないからその心配はないらしい。(側近らは口がかたい)
「夜はどう?赤ちゃんはいつになる?」
「伯母様……年取りましたね」
「あらいやだ、当たり前ですわ。時は後少ししかないのよ?あなたの赤ちゃんを見たいし、してるか確認もするでしょ」
下世話な話である。人の世界では嫌がられる発言ですな。
「赤ちゃんは発情期にすればいずれ出来ますが、まだ二人でいたいので」
「そっか。翠飲んでいるのね」
「もちろんです。夏樹の気持ちが整ったらですよ」
「ふーん」
飲んでいる?とはと聞けば避妊薬だそう。こちらでは男性(子種を渡す方)が避妊薬を飲むそうだ。それを飲むと子種が子宮に到達する前に死滅し、初期に飲めば期間中有効だそう。へえ……知らんかった。何年もいたしてたのに出来ないなとは思ってたけど。竜の子は妊娠しづらいけど、若い内は確率が高いそうだ。初めて知った事実。
「今訓練中です。俺は夏樹が幸せそうにしてくれるのがいいので」
「あら。翠らしいことを」
麗様は楽しそうに笑い、私は三人産みましたが意識はなかったわねえ。そう言えばと。
「夏樹、翠は飄々としてますが嫉妬深く愛情過多です。年々ウザくなるはずですから注意してね」
「え?」
「やめて伯母様……それ言わなくていいです」
そのうち誰と話しても相手を殺すって目で見つめるはず。安心させてあげてねって。
「そうなの?翠」
「う……うん。否定はしない。俺はお前しか見えてないから」
少し恥ずかしそうに、前に言った心変わりなど俺は起こさない。その自信がある。竜としては出来損ないなんだと苦笑いを浮かべた。
「母君のユイ由来かしらね。いえ、東雲様がそうだったから似ちゃっただけよ。悪くはないと思います」
ふしだらが普通じゃなくてもいい。まあ、獣にふしだらもあったものじゃないけど、伴侶はひとりだけもいいと言う。
「純愛かあ……人の世界の物語のようで……うふふっ」
「相変わらずそういうの好きですね」
「女ですもの、夢は見ますわよ。本能が許しませんけどね」
麗様は若い頃は目麗しい方を見かけると連れ込んでいたそうだ。我慢は毒。竜の姫は成人したら遊び放題で、それを気にする殿方もいない。結婚後も子供さえ作らなきゃ好きにってのがお互いだそうだ。もう……なんだろ。何度聞いても人とは相容れぬ価値観です。
「まあ、文化的に同じことをしたら人の世界は崩壊しそうですけどね」
「ええ……確実に今のシステムでは無理ですね。男も女も」
などとあられもない話で盛り上がった。それと翠の小さい頃の話もたくさん聞いて、楽しい謁見は終わったのであった。
「待っ……いい」
「待つ?やめる?」
「して……んっンンッ……イクッアッ」
腰を捕まれ押し込まれ、気持ちよくて朦朧としていた。僕のお尻は快感に溢れ出し、イケばさらに。翠の出したものとでグチュグチュと湿った音を立てる。
「夏樹かわいい……翠って呼んで」
背中に張りつき耳元で囁く翠。僕はそのエッチな声にゾクゾクして体が反る。
「すいぃ……気持ちよくておかしくなりそう」
「なればいい」
翠の股間はイッても萎えない。ずっと入れっぱなしで抜きもしない。知ってるけど強い快感に苦しくなっていた。逃げ場のない快感は苦しいに変わる。
「翠……一度抜いてぇ」
「いや。繋がっていたから」
「んんーっ」
イッても抜かれないから刺激て苦しい。そのうちまた気持ちよくなっての繰り返しで息も絶え絶えの僕。
「噛んでいい?」
「ふえ?」
ガブッと首筋を噛まれると全身がブルブル。中の快感に腰が砕けそうだ。アーッ
「グッ……いい締め付け」
「あ…ああ……翠これダメ……」
漏らした……噛まれるのダメなんだ。痛みが快感と結びついて激しく気持ちいい。発情期の翠を思い出すのか体が反応するんだ。
「やめ……ンッ」
「もっと乱れて」
強く噛まれ意識が保てない。ふわふわするよぉ。……僕は少し飛んでしまったらしく、翠の胸の上にいた。
「抜いてぇ」
「さっき抜いたよ。体位を変えるために」
「僕の記憶にはないよぉ」
何度かこんなやり取りをしながら抱かれていた。でもこうしてるの好き。苦しいとか思うけど、幸せな時間なのは間違いない。僕も大概だな。
「ハァハァ翠好き」
「俺もだ」
自分で腰を振ると、翠は嬉しそうに僕の腰を掴み深く押し込む。ゆっくりと入るところまで。さらに奥へ。
「む…ムリ……苦しッ」
「子種はこの先だ。慣れておけよ」
「慣れるとは……なに?」
「すごく気持ちいいだろ?」
「うん」
「初めての子作りの時苦しいらしいんだ。深くて意識が保てないらしい。俺はお前が意識ある状態でしたいんだ」
「そ、そう……」
たくさんした後なら苦しさも少ないかなって時々しているらしく慣れてくれと。慣れるのこれ?と思いながら彼のがびくびくとして溢れてくる。
「クソッ気持ちいいッこれ俺もダメだ。よすぎる」
「イヤーッ」
頬を染め彼も絶頂、そして幸せそうにしている。少しすると僕も快感が引き始めキスを求めた。
「僕ね……翠に抱かれるの好き。気持ちいいだけじゃなくて……分かんないけど好きなんだ」
「うん」
性欲の強い竜はこういう相手じゃないと妻に出来ない。竜同士なら問題は起きない、そりゃそうだよね。
「俺の目は確かだった。俺はお前の外見だけで惚れたのではないんだ。何かは分からないけど……」
「うん」
僕は疲れてこのまま寝てしまい、でもすぐに起こされた。謁見祭りですよーってわんわん二号。持ち込んだ装束に着替えるのに時間が掛かるからとバタバタとしている。早く風呂に入れ、飯を食え。そしてすぐに移動だとわんわん二号は叫ぶ。……そっくりだな。などと思ってると布団を剥がれた。
「まだ繋がってましたか、抜け翠様。すぐに風呂に入れ。全裸で構いません、誰もいないから早く!」
「「はい……」」
朝日がまだなのに叩き起こされ、二人で大浴場にフラフラと向かう。眠い。
「ヤリ過ぎです。昨日時雨様が言ってたでしょう?もう!」
「うん……ついかわいくてやめられなかった」
言い訳はいいからと急かさらた。僕らは大浴場について扉を開けた。ウワーッすごい、モロ温泉宿のお風呂だ。伝統的なかけ流しで、竜の口から勢いよく浴槽に湯が注がれている。硫黄の臭いもして感動ものだ。
「すごい。広いし」
「まあな。人が重なるとたくさん人が入るから」
壁の洗い場にはヒノキ?の桶と椅子があって、シャワー完備。今どきのボトルに入ったシャンプーとコンディショナーにボディソープ。それとなぜか固形石けんもある。外観とのギャップが……やめよう。僕らは体を流し浴槽に浸かる。ちょうどいい温度だ。
「あー……眠い」
「ごめん。時雨のせいで止められなかった」
翠は、兄君たちが絡むと不安になるし苛立つし、幼い頃の気持ちに一瞬でなるそうだ。どうしょうもないんだと僕を抱き寄せる。
「なんか分かるよ。あのお祭りの時ね。久しぶりに雪斗に会って、子供の頃と同じような気分になったから」
「だろ?」
ゆっくり浸かってたらわんわん二号が飯!と呼びに来た。
「時間は少のうございます。ちゃちゃっと済ませて下さいませ。ここは温泉で気持ちいいのは分かりますが、明日以降にゆっくりして下さい。本日はお婆様ですので」
「……やはりか」
「ええ。息巻いてました」
二人はげんなりを隠さなかった。お婆様とは先代の妃様だよねと聞けばそうじゃないと否定された。あの人は帝の后、奥様だそうだ。俺をこよなく愛してくれる……と、ため息。なぜため息?
「親の兄弟だからお婆様じゃないんだが、みんなそう呼んでるんだ」
「ふーん」
他の人にはお婆様と言っていい年齢だそう。千年以上生きているから。帝が亡くなれば共にで後数十の命。彼女だけは帝の命の珠を交換してるの唯一の奥様。他の第二、第三后と呼ばれてる奥様方は側室で、だからなんだっけ?今生きてる方はと翠が言い淀むと、わんわん二号が、
「今はお婆様と第八妃のみが生きておいでです」
「そうそう、ウグイスの春姫様だな。付き合いはないけど」
そんな話は後でいい、急げと慌ただしく支度して謁見の間に到着。待っていると美しいお婆様?が静々と歩き、御簾の上がっている玉座に着席した。僕らは座礼をする。
「翠、面を上げなさい」
「ハッご無沙汰しております。麗様」
僕はここに来る間に簡単な説明を受けていた。彼女は親戚の竜の姫で、先代帝のゆかりの人。絶世の美人で絶倫。当然力も強く、そこらの姫など太刀打ち出来ない。才色兼備とはこの方のための言葉だと言われる方。でも。
「いや~ん夏樹かわいいぃ」
「え……」
僕らが顔を上げると、トコトコと御簾の奥から降りて僕の前に座り手を取る。
「あなたらしい妻ですわ。なんてかわいらしい」
「ありがとう存じます。麗様」
僕は面食らっていた。帝の正妻の方でしょ?どっかのギャルみたいな反応ですが?
「麗様、夏樹が」
「あらそうね。あなたがどんな想像をしていたかは分かりませんが、わたくしはこんなです。非公式の場ではこれが普通です。ねえ翠」
「ええ。俺の後ろ盾になって下さった方だ」
翠の説明によると、母君とこの方は元々お友だち。だから母君の苦悩をよく知っていた。帝のお傍に上がると、表情が日増しに暗くなっていったのを覚えているそうだ。そして二人とも亡くなった後、陰に日向に兄君たちと共に翠を助けてくださってたそうだ。
「えっと……奥様が増えるの…は」
「気にして生きている妻はいません。そんなものと捉えてますから。人とは違います」
「そうですか」
反射的に失礼なことを聞いてしまった僕。でも気にされてない。ニコニコしながら特にここはそうなのと。竜は奔放だし自分も竜。妻同士もそこそこ仲もいい。人の世界の大奥みたいのじゃないのよって。
妻であろうが側室であろうが、次の帝を産んでもそれによって家が栄えるもない。その人個人の力と能力に比例する。出世を望む人もいない。向くからやってねの世界である。性欲以外で揉めることはほとんどないと言う。この話は本当なんだと僕は驚いた。
「聞いてるでしょ?我ら獣は伴侶選びの時にキレるのみですわ」
「は、はい」
この世界を維持するためにこうしなさいと天帝に言われやっている。帝だから偉いも本来はない。「天帝以外に頭を下げる獣はいないというのが建前である」と麗様。
「でもね。長い年月で御所にいる竜にはみんな頭を下げるわね」
「麗様、夏樹の手は……」
「あらいやだわ。おほほっ」
笑顔の絶えない麗様は、三十代後半くらいの見た目で若々しく美しい。ここ最近年齢が進み始めたそうだ。帝も同様で、それで測定会となった。ここからは人と同じように歳を取るそうだ。
「夏樹はかわいらしいわ。翠にどこか似てるような雰囲気ですね」
「ええ。たぶんそこに惹かれたのだと思います」
「優しいあなたにぴったりだわ」
麗様がパンパンと手を叩くと、屏風とテーブル座椅子などがサッと用意され茶の間が出来上がり。お菓子や果物、お茶が用意されさあ座りなさいと促された。
「ここの方が人が聞き耳立てないからいいのよ」
本当は別の部屋でもいいけど人通りがあり、誰かに話を聞かれてしまう。それが嫌だったと麗様は楽しそうに微笑む。家臣たちは聞こえた話をあちこちで話してしまう。ここなら帝や私たち(妻たち)しか使わないからその心配はないらしい。(側近らは口がかたい)
「夜はどう?赤ちゃんはいつになる?」
「伯母様……年取りましたね」
「あらいやだ、当たり前ですわ。時は後少ししかないのよ?あなたの赤ちゃんを見たいし、してるか確認もするでしょ」
下世話な話である。人の世界では嫌がられる発言ですな。
「赤ちゃんは発情期にすればいずれ出来ますが、まだ二人でいたいので」
「そっか。翠飲んでいるのね」
「もちろんです。夏樹の気持ちが整ったらですよ」
「ふーん」
飲んでいる?とはと聞けば避妊薬だそう。こちらでは男性(子種を渡す方)が避妊薬を飲むそうだ。それを飲むと子種が子宮に到達する前に死滅し、初期に飲めば期間中有効だそう。へえ……知らんかった。何年もいたしてたのに出来ないなとは思ってたけど。竜の子は妊娠しづらいけど、若い内は確率が高いそうだ。初めて知った事実。
「今訓練中です。俺は夏樹が幸せそうにしてくれるのがいいので」
「あら。翠らしいことを」
麗様は楽しそうに笑い、私は三人産みましたが意識はなかったわねえ。そう言えばと。
「夏樹、翠は飄々としてますが嫉妬深く愛情過多です。年々ウザくなるはずですから注意してね」
「え?」
「やめて伯母様……それ言わなくていいです」
そのうち誰と話しても相手を殺すって目で見つめるはず。安心させてあげてねって。
「そうなの?翠」
「う……うん。否定はしない。俺はお前しか見えてないから」
少し恥ずかしそうに、前に言った心変わりなど俺は起こさない。その自信がある。竜としては出来損ないなんだと苦笑いを浮かべた。
「母君のユイ由来かしらね。いえ、東雲様がそうだったから似ちゃっただけよ。悪くはないと思います」
ふしだらが普通じゃなくてもいい。まあ、獣にふしだらもあったものじゃないけど、伴侶はひとりだけもいいと言う。
「純愛かあ……人の世界の物語のようで……うふふっ」
「相変わらずそういうの好きですね」
「女ですもの、夢は見ますわよ。本能が許しませんけどね」
麗様は若い頃は目麗しい方を見かけると連れ込んでいたそうだ。我慢は毒。竜の姫は成人したら遊び放題で、それを気にする殿方もいない。結婚後も子供さえ作らなきゃ好きにってのがお互いだそうだ。もう……なんだろ。何度聞いても人とは相容れぬ価値観です。
「まあ、文化的に同じことをしたら人の世界は崩壊しそうですけどね」
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