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3.よくある舞台で魔女は微笑む
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「残念だよ、ソフィア。ソフィーリア・バルドー公爵令嬢。まさか、こんなかたちで君と終わるなんて。」
艶やかに整えられたオールバックから、こぼれた前髪を指先で払い、皇族の証のミルキーブロンドとミルキーアイが美しい、ジャック・ギデオン第一皇太子殿下。
その傍には彼の手が腰に回された、ストロベリーブロンドにストロベリーアイの、キャンディス・ノラック男爵令嬢は、くす、と笑んだ。
時はギデオン魔法学院修了式及び任地授与祭典。
優秀な成績を残して卒業を迎える、生徒の皇宮での任命を讃える祭典。
四年制の学院のソフィアは四年、ジャックは三年、キャンディスは一年。
ソフィアの卒業に合わせてジャックと正式に婚約発表、結婚行事予定発表、それに伴う第一皇太子派閥の政党変更など、目紛しく国が生まれ変わる、まさしく、今日は、この国にとって転換点となる日である。
そのような歴史的祭典の真っ只中、ソフィアが壇上で修了証書を受け取り、学院長長官が任命証書を読み上げている最中に、ジャックはそれを遮るように発言したのである。
「ど、どうしたのかね、ジャック・ギデオン皇太子殿下。座りたまえ。」
学院長長官が狼狽えつつ、賓客席の貴族達をチラチラ見ている。
高位貴族はサプライズは大好きだがハプニングを嫌う。これはどちらなのか品定めのような視線が飛び交っている。
他人のハプニングは大好物だからだ。
「学院長長官。すまないが、この機を逃せば私は不本意な相手との婚姻を発表されてしまうのでな、それだけはどうしても受け入れ難いのだ。」
ジャックは痛む胸の内を渋々吐露しているという仕草で、眉間の皺を中指でおさえた。
「ソフィア、誓って私は君を嫌いになったわけではない。そうではないが、私は、真実、愛する者と出会ってしまったのだ。」
三年の席に聳え立つジャックに、誇らしそうに並び立つキャンディス。
会場は静まりかえっている。高位貴族達がヒソヒソと囁く以外、皆誰もが俯いて口を閉じていた。
学院長長官はそんな中、何かに気付き、任命証書とソフィアとジャックを二度見。
ソフィアが「困った坊やでしょう?」、という視線で長官に微笑みかけると、長官はポケットからハンカチを取り出して汗を拭った。
「聞こえているのか、ソフィア。私が話しているのだぞ、こちらを向かないか。」
ソフィアは壇上で長官に向いたまま、ジャックはソフィアの背を睨む。
「私の目を見られないか……そうだろう。それだけのことをしてきたのだからな。嫉妬に狂った数々の、君の恥ずべき行為は全て報告を受けているよ。」
大きく身振り手振り、まるで舞台俳優、悲劇の主人公ジャックは、かつて愛した婚約者の悪事に、心掻きむしるような胸の痛みに耐え、震える手がゆっくりと拳を握りしめていく。
完璧なセリフを吐き終え、ちらとソフィアの様子を見ると、微動だにしない凛々しい、背中が大きく開かれた大胆なドレス姿が見えた。
ジャックは違和感を覚えた。
けれど隣のキャンディスから腕を引っ張られて何とかセリフを続ける。
「……いつまでそうして背筋をのばしていられるかな?」
「ジャック、私、怖いです。今日も机に脅迫状が入っていました。」
うるうる。
「キャンディー。」
ジャックはハッとして可哀想なキャンディを抱き寄せた。
「大丈夫だ。私がそばにいる。」
「ジャックを信じてる。」
何やら二人の世界に浸っている様子。
艶やかに整えられたオールバックから、こぼれた前髪を指先で払い、皇族の証のミルキーブロンドとミルキーアイが美しい、ジャック・ギデオン第一皇太子殿下。
その傍には彼の手が腰に回された、ストロベリーブロンドにストロベリーアイの、キャンディス・ノラック男爵令嬢は、くす、と笑んだ。
時はギデオン魔法学院修了式及び任地授与祭典。
優秀な成績を残して卒業を迎える、生徒の皇宮での任命を讃える祭典。
四年制の学院のソフィアは四年、ジャックは三年、キャンディスは一年。
ソフィアの卒業に合わせてジャックと正式に婚約発表、結婚行事予定発表、それに伴う第一皇太子派閥の政党変更など、目紛しく国が生まれ変わる、まさしく、今日は、この国にとって転換点となる日である。
そのような歴史的祭典の真っ只中、ソフィアが壇上で修了証書を受け取り、学院長長官が任命証書を読み上げている最中に、ジャックはそれを遮るように発言したのである。
「ど、どうしたのかね、ジャック・ギデオン皇太子殿下。座りたまえ。」
学院長長官が狼狽えつつ、賓客席の貴族達をチラチラ見ている。
高位貴族はサプライズは大好きだがハプニングを嫌う。これはどちらなのか品定めのような視線が飛び交っている。
他人のハプニングは大好物だからだ。
「学院長長官。すまないが、この機を逃せば私は不本意な相手との婚姻を発表されてしまうのでな、それだけはどうしても受け入れ難いのだ。」
ジャックは痛む胸の内を渋々吐露しているという仕草で、眉間の皺を中指でおさえた。
「ソフィア、誓って私は君を嫌いになったわけではない。そうではないが、私は、真実、愛する者と出会ってしまったのだ。」
三年の席に聳え立つジャックに、誇らしそうに並び立つキャンディス。
会場は静まりかえっている。高位貴族達がヒソヒソと囁く以外、皆誰もが俯いて口を閉じていた。
学院長長官はそんな中、何かに気付き、任命証書とソフィアとジャックを二度見。
ソフィアが「困った坊やでしょう?」、という視線で長官に微笑みかけると、長官はポケットからハンカチを取り出して汗を拭った。
「聞こえているのか、ソフィア。私が話しているのだぞ、こちらを向かないか。」
ソフィアは壇上で長官に向いたまま、ジャックはソフィアの背を睨む。
「私の目を見られないか……そうだろう。それだけのことをしてきたのだからな。嫉妬に狂った数々の、君の恥ずべき行為は全て報告を受けているよ。」
大きく身振り手振り、まるで舞台俳優、悲劇の主人公ジャックは、かつて愛した婚約者の悪事に、心掻きむしるような胸の痛みに耐え、震える手がゆっくりと拳を握りしめていく。
完璧なセリフを吐き終え、ちらとソフィアの様子を見ると、微動だにしない凛々しい、背中が大きく開かれた大胆なドレス姿が見えた。
ジャックは違和感を覚えた。
けれど隣のキャンディスから腕を引っ張られて何とかセリフを続ける。
「……いつまでそうして背筋をのばしていられるかな?」
「ジャック、私、怖いです。今日も机に脅迫状が入っていました。」
うるうる。
「キャンディー。」
ジャックはハッとして可哀想なキャンディを抱き寄せた。
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「ジャックを信じてる。」
何やら二人の世界に浸っている様子。
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