幼馴染に良い様に使われた、だから俺は彼女を見返す為にいい女と付き合う事にした。そして出会った女子はモデル活動をしていた隠れ美少女だった。

新名天生

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綾波明日菜の正体

瞬殺

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 一体何が起きたのだろうか……多分これがギャルゲーだったとしたら、何か最悪な選択をしてしまったのは確定的に明らかだ。

 俺は綾波と一緒に入る予定だった喫茶店で一人頭をかかえていた。

 さっき運ばれてきたアイスコーヒーには手をつけられずに、俺はずっと綾波との事を考え込んでいた。
 
 たっぷりと氷をかさましてあるグラスから時々カラリと氷の音が鳴る。コップの表面から、たらたらと水滴がしたたり落ちていく。
 
「やっぱり……どう考えても……あやぽんが原因だよな……」
 あやぽんの話をした直後、綾波の顔色が明らかに変わった。
 でも……何でだろう? 前に好きなラノベのヒロインの魅力を俺は調子に乗って切々と綾波に話した事があったけど……その時は笑顔で聞いてくれたのに……。

 だから一瞬、ほんの一瞬だけ思った……ひょっとして……綾波は……焼きもちを焼いたのかも? なーーんて思ってたみたけど……でも……違う気がする。そんな感じではなかった気がする。

 なんかこう、ショックを受けた? っていう感じが近い気がする。
 だから俺は思った。

「ひょっとして……綾波は…………あやぽんの事が嫌いなんじゃ?」
 自分の嫌いな物を友達が好きって、結構ショックだったりする……のかも?

 今一経験が無いのでなんとも言えない……そもそも女の子の友達って……今まで雪乃くらいだったし、雪乃と俺って趣味とか全然合わなかったし……いや、そもそも雪乃ってあまり自分の事話さないし……。

 折角会えたのに……ようやく会えたのに……やっとの思いで綾波に会えたのに……10分も一緒にいられなかった……。

 そういえば……今日の綾波……私服姿だったよな……えっと確か……白基調のワンピースで…………ストライプが入って……いたような……髪も少し整えていた……様な……。

「あああ、せっかく綾波がお洒落……っぽい格好で来てくれたのにいい」
 目を摘むってもう一度綾波の格好を思い出す……うん、駄目だろくに思い出せない……。

 ただどこかで見た様な格好だった気がする。


『身体は大丈夫? 暑さのせいかな? 治ったら連絡ください』
 とさっきメッセージを送ったけど……いまだに既読がつかない。
 心配だ……ひょっとしたら……本当に身体の調子が悪かったのかも……。
 でも既読にならないのではどうにも出来ない。勇気を出して通話をしようかと思ったけど……寝ていたら……余計に具合が悪くなってしまったらと思い、するのを控えた。

 こうなってみると……俺は綾波の事を何も知らない……。
 どこの中学なのか? どこに住んでいるのか? そして……どんな性格なのかも……。
 俺の知っている綾波……あいつは優しくて奥ゆかしくて……人見知りで本が何よりも大好きで……でも……そんな程度だ。
 綾波の本心を知りたい……そして……俺の事をどう思っているかを知りたい……。

 俺はようやく少し落ち着いてきたので、氷の溶けた薄いアイスコーヒーを一口飲んだ。

「──薄……」
 誰かさんの小説の様の中身の様に薄いコーヒーを飲み、再度綾波に送ったメッセージを確認する……が、いまだに既読はつかない……完全に未読スルーの状態だった。
「なるべくしないって言ったのに……嘘つき……」

 やっぱりあやぽんの事なんだろうか? いっそ、あやぽんに聞いてみるのは駄目だろうか?
 万が一の可能性が俺の頭を過った……綾波とあやぽんが……知り合いだったり、ひょっとしたら……親戚だったり? とか……。

 でも仮にそうだとして、それをあやぽんに聞くのはどうだろうか? 綾波の個人情報をあやぽんに明かすってのはさすがにまずいだろう……それが綾波に知れたら、大嫌いなあやぽんに自分の情報を流されたなんて知られたら、俺と綾波の友達関係は破綻するだろう……。
 いや、そもそも俺からあやぽんにメッセージを送るなんて出来るわけない……。

「神様の連絡先……か」
 某ラノベの様にスマホで気軽に通話出来たら……ラノベの様に出来たならって思う。

 綾波へ送ったメッセージはずっと未読のまま……俺はその画面をいつまでも見続けていた。

 
 






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