幼馴染に良い様に使われた、だから俺は彼女を見返す為にいい女と付き合う事にした。そして出会った女子はモデル活動をしていた隠れ美少女だった。

新名天生

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役不足と役者不足

応援してくれる!

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「負けたくない……」
 お姉ちゃんには……綾には……負けたくない。

 今度こそは……負けたくない。

 いつも負けていた……いつも……。
 子供の頃、少し、いいなって思っていた人は……皆お姉ちゃんの方が良いって言う……明るくて、社交的で……例え容姿が似ていても……皆お姉ちゃんを選ぶ。

 でも……今度は……今度こそは……。
 日下部君と……もっと仲良くなりたい……。

 だから……ずるいかも知れないけど……私は綾の振りをして日下部君に会う事に決めた。

 私は正式には綾じゃ無いけど……でも、綾として活動しているんだから……良いよね?

 ただ問題は……もし、もしも日下部君が学校やクラスの人達に言っちゃったら……。
 私が綾として活動している事を知って……日下部君がどういう反応をするのか……。
 日下部君は言っていた……綾は神様だって……。
 まさかそこまでとは……そもそも日下部君が綾を知っていて、しかもファンだったなんて……予想外だった。

 しかも……既にお姉ちゃんとも面識があって……。

「どうしよう……もうお姉ちゃんの事を好きになってたら……」
 しかも……お姉ちゃんも満更では無い様子……。
 ただ、さっき届いた日下部君の妹さんからのメッセージでは買い物に付き合ってただけと……。

「──まだ間に合う、今なら……まだ」

 信用しよう……信用するしかない……。
 日下部君なら……きっと大丈夫、きっと……。


◈◈◈

 そして翌日……。

「はうううう、服どうしようか迷ってたら遅れたあ」
 私は小走りに待ち合わせの喫茶店にむかっていた。

 お姉ちゃんが仕事で朝早く出発だったので、それまで衣装部屋に入れなかった……。
 
 とりあえずお姉ちゃんが出掛けたのを確認して私も衣装部屋に入り、綾として着る服を選ぶ、日下部君に直ぐにわかって貰える服を選ぶ。

 髪も、この間SNSにアップした時と同じ髪型にした。

「いざ勝負!」

 私は待ち合わせの喫茶店の前で眼鏡を外し、一度気合いを入れて中に入る。
 
 日下部君は私を見て驚いていた。
 
 でも……内緒にしてくれるって……応援してくれるって……言ってくれた

 ああ、日下部君……やっぱり日下部君は最高の人……私は日下部君が……。


◈◈◈

 
「大勝利!」
 私は意気揚々と家路に付く

 あの後、喫茶店で、日下部君がどれだけ綾が好きなのか、綾のどういう所が素敵なのかって、私に延々と語ってくれた……けど、私は嬉しくて……あまり聞いてなかった……。

 
「でも……私の事を応援してくれるって……」
 嬉しい、もうそれだけで幸せ……。

 私は綾じゃ無いけど、お姉ちゃんに協力してるだけだけど、応援してくれるって。
 やっぱり日下部君はとてもいい人、ううん、なんかいい人って、良い意味じゃないってお父さんの小説に書いてあったな。

 だから……日下部君は素敵な人……かな?

「ふふふ、うふふふ」
 笑いが止まらない……ああ、どうしよう、こんなにニコニコしてたらお姉ちゃんにバレちゃう。

「あんた気持ち悪いよ?」

「ひううう!」
 突然後ろからそう言われ振り向くと、そこにはお姉ちゃんの姿が!

「そんな驚く? って明日菜その格好!」
 家の直ぐ近くで仕事帰りのお姉ちゃんに後ろから声をかけられた。

「ふえ?」

「その格好で出歩いて大丈夫なの?」

「あ、うん駅の近くの喫茶店迄だったから……一応眼鏡だけは……」
 
「駅の喫茶店?」
 お姉ちゃんは怪訝な顔をする。

「誰かと会ってきたの? あ、まさか……」

「うへへへ、日下部君に会ってきたの」

「ええ!」
 そんなに驚く? あ、やっぱりお姉ちゃん……うふふ、でもねえ、今回は私の方が一歩リードしてるんだもんね~~。

「えへへへ」

「えへへって……まさか言っちゃったの?」

「うん!」

「あああ……、はあああああ……バカ……」

「え? バカ? 誰が?」

「……わかって無いか……まあ……そうだよね……」


「え? な、何? なんなの?」

「まあ、良いよ……遅かれ早かれバレるんだから……後はあの子次第……」

「?」

「良いよ、今さら考えても仕方ない……さあ、帰ろう」

「あ、うん……」
 お姉ちゃんはそれ以上何も言わず、そして何も教えてくれなかった。
 お姉ちゃんは一体何を言っているのか? 
 あの子って……日下部君の事? 日下部君次第って一体どういう事?

 嬉しい気分は一転、お姉ちゃんの言葉を聞いて、私の心に……一抹の不安が過り始めていた。
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