真夜中の太陽 ルークの初恋

悪夢の後 １－２

国が国益を上げるには、国外とのやり取りは必須だ。
貿易、交流、通貨交換、軍事協力、医療協力、学術的な同盟、時として災害時の救援等。中には、交渉の最後の決め手は担当大臣等、責任者の心一つ次第という時も少なく無い、そんな時の取引の代償として、指名されれば応じるのが、シャルレの役目だった。
一夜の褥しとねの遊び相手として・・・。
それは、シャルレに良くない精神的負荷を与え続けていた。
崔淫剤を使用しなくては相手をする事も出来ない程の嫌悪感、この国では売春は法律上認められた行為なのに、罪悪感が異常に募った。
最も辛いのは、仕事終えた後の、無理やり自分を立たせるために使った催淫剤が切れるまでのダウンタイムだった。
断れるものなら断ってしまいたい、しかし、そんな事出来る訳が無かった。
女として生きる事、国賓相手に体を売る事、その二つがシャルレがこの国で王族としての責務を捨てて、生きていく為の条件だったから。シャルレには、たとえ自分を切り売りしてでも、政略結婚をしたくない理由が有るらしい。
理由はとうとう本人の口から語られる事はなかったが。
どうやら、心に決めた人が居るというのがもっぱらの噂だった。
仕事が有った日と次の日のシャルレは次第に荒れる様になった。
あの日、ルークが催淫剤を盛られてしまったシャルレを介抱するまでは。