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ルークの初恋 1-1 

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意識が戻った時、ルークはシャルレに支えられて湯船に浸かっていた。
また、気絶したのだ。
「ご、ごめんなさい・・・」
恥しくて、慌てて姿勢を正して座り直すも、背中が縮こまる。しかし、
「あの、俺どうやってここに来たんでしょう?・・・まさか・・・姫が俺を抱き上げて!?」
ルークは脳裏に一瞬、自分を横抱き(いわゆるお姫様抱っこ)にして歩くシャルレ姫の姿を思い描いた。
が、
「・・・・お前、素になると自分の事俺って言うのね、そんなワケ無いじゃない筋肉着いちゃうもの。台車に乗せて運んだに決まってるでしょう。ルーク、お前湯船に落とされても起きないって、お前の野生は何処に行ったの?」
「・・・・ですよねー・・・」
シャルレ姫は基本女性として暮らしている、それはルークの前であっても殆ど徹底されていた。
基本的に様々なドレスが似合う体形で有る為に、シャルレ姫の体形を維持する為の努力はルークの想像を絶していた。
シャルレ・ジェイドは優性遺伝子の塊みたいな人で、骨格にも恵まれているが、戦う為の筋肉も着きやすい体質の持ち主だ。
そして一人歌劇には、発声音量の大小幅が広い事は必須なのだ。
つまり、発声に関する筋肉は着けないといけないが、それ以外の筋肉は着けてはいけない、という事になる。トレーニングは特殊で、相当キツイ物だった。
こんなに努力をする人をルークは他に知らない。ルークが何よりシャルレを尊敬する理由の一つだ。
かんばせが見たくなって、チロリと見上げたら、思いがけず目が合った。
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