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ルークの初恋 3-1
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劇場から城へ向かう道のりは、今日はシャルレが歌うという事で、劇場に入れないファンまで詰めかけて水商売系の店が多い繁華街だというのに真昼間から大層な賑わいだった。
露店まで出てまるで祭り会場だ。
中には時間を早めて店を開けている娼館まで有る。周囲は人込みでごった返していて、劇場近くの乗り合い馬車の停留所は臨時休業になっていた。
「予想以上に時間がかかりそうだな。」
急ぎ足で、人の波に飲まれない様に気を使いながら、暫く大通りを進んでいた時だった。
ふと、一つの輸入雑貨屋に目が行った。
綺麗な薄桃色の布が店頭でそよ風に揺れていた、特に執着の有る色では無いけど、先ほどのシャルレが着たドレスに近い色なので目が行った。
光沢が有って滑らかな手触りの、とても路肩で吊るし売りをする様な安物には見えない上等そうな織物だった。
ルーク一人くらい軽く包めそうな程大きいが、敷物にしては薄い、縦糸の両端が組紐状に編まれ細かい房になっており、結び目をガラスビーズが彩っていた。
風で揺れるたびにシャラリと微かな音を立てるのが又、布の美しさを際立たせている気がした。
近くで見ると、小さな小花と蔦を象った上品な織模様が入っていて光の加減でそれが浮かび上がる。
「姫に似合いそう・・・」
何に使う物か分からないが、シャルレ姫が身に着けたらさぞや映えるだろうと思った。
露店まで出てまるで祭り会場だ。
中には時間を早めて店を開けている娼館まで有る。周囲は人込みでごった返していて、劇場近くの乗り合い馬車の停留所は臨時休業になっていた。
「予想以上に時間がかかりそうだな。」
急ぎ足で、人の波に飲まれない様に気を使いながら、暫く大通りを進んでいた時だった。
ふと、一つの輸入雑貨屋に目が行った。
綺麗な薄桃色の布が店頭でそよ風に揺れていた、特に執着の有る色では無いけど、先ほどのシャルレが着たドレスに近い色なので目が行った。
光沢が有って滑らかな手触りの、とても路肩で吊るし売りをする様な安物には見えない上等そうな織物だった。
ルーク一人くらい軽く包めそうな程大きいが、敷物にしては薄い、縦糸の両端が組紐状に編まれ細かい房になっており、結び目をガラスビーズが彩っていた。
風で揺れるたびにシャラリと微かな音を立てるのが又、布の美しさを際立たせている気がした。
近くで見ると、小さな小花と蔦を象った上品な織模様が入っていて光の加減でそれが浮かび上がる。
「姫に似合いそう・・・」
何に使う物か分からないが、シャルレ姫が身に着けたらさぞや映えるだろうと思った。
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