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ルークの初恋 4ー1

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城についたらシャルレ姫はこの騒ぎの詳細を直ぐ話せと国王陛下に呼び出しを受けていた。
王子が消え、シャルレ姫が単身馬に乗って飛び出して行ったのだ、城内は大騒ぎだっただろう 。
非公式の呼び出しの為、身支度もそこそこに謁見室に向かって行った。

シャルレはルークが国王陛下の前に出る事をとても嫌がっており、ルークは先に姫の部屋に帰されて、湯浴みの支度をする事になった。

ルークが部屋で着替えや湯上がりに使用するボディオイルを用意していると、窓の外にルークが作った『妖精』と呼ばれる魔法の人形、使い魔の様な物なのだが、それがルークの所に戻ってきた。
ルークはいつも、この『妖精』に匿名でシャルレ姫にファンレターを届けさせていた
「ルー」
「行ってまいりましたぁ♪」
『妖精』の出来は術者の力量によってとても左右される。
ルークの技量では簡単な用事を済ませたら場所を選ばず消滅するはずなのだが、事シャルレ姫へのファンレターを送る仕事を言いつけた『妖精』だけは必ずルークのところに戻ってきて、報告等済ませてから消滅する。
最初は違った。
ファンレターを受け付けに届けてそこで力尽きて消滅していた筈だ。
少なくともルークの所には戻って来ていなかった。
それが次第に回数を重ねる毎に必ず戻ってきてから消える様になった。
理由は不明だ。
しかも、次に同じ仕事を頼む為に作った『妖精』は前回の記憶を引き継いでいるのだ。
はっきり言ってルークにそんな力量は無い。
しかし、不都合は無いのでそのまま作っては利用している。
名前は必ず『ルー』この国の古代語で『灯り』と言う意味だ。
人工的な灯りに使用する言葉らしい。
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