エデンの園を作ろう

春秋花壇

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枯れ葉の散る頃

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枯れ葉の散る頃

木枯らしが吹き荒れ、落ち葉が舞い散る晩秋。薄暗いアパートの一室で、老人の男が静かに座っていた。男の名前は、田中正夫。78歳。独り暮らし。

正夫は、テレビもつけずに、ただ窓の外を眺めている。枯れ葉が風に翻弄される様子は、まるで彼の孤独な人生を映しているかのようだった。

部屋は埃まみれで、生活用品は散乱している。冷蔵庫の中は空っぽ。正夫はここ数ヶ月、ろくに食事も取らず、風呂にも入っていない。

正夫には、妻も子供もいない。かつては会社員として働いていたが、定年退職後は孤独な生活を送っていた。唯一の趣味だった囲碁も、最近はやる気にならなくなった。

近頃は、死について考えることが多くなった。このまま孤独に死んでいくのだろうか。誰も気づかずに、腐敗していくのだろうか。

そんなある日、正夫の部屋のドアがノックされた。訪れたのは、地域の福祉センターの職員だった。職員は、正夫の変わりように驚き、声をかけた。

「田中さん、お元気ですか?何かお困りのことがありませんか?」

正夫は、何も答えられなかった。ただ、職員の優しい声に、涙が溢れてきた。

職員は、正夫に手を差し伸べた。

「大丈夫ですよ、田中さん。私たちが力になりますよ。一緒に何か楽しいことを見つけましょう。」

正夫は、職員の手に触れた。初めて感じる温もり。その瞬間、正夫は決心した。

「…助けて…」

小さな声で、正夫は助けを求めた。

職員は、正夫を優しく抱きしめた。

「大丈夫ですよ、田中さん。もう大丈夫。」

職員は、正夫をアパートの外へ連れ出した。

久しぶりの外の世界は、眩しかった。しかし、正夫は怖くなかった。職員の温かい手は、正夫に勇気を与えてくれた。

正夫は、一歩ずつ、外の世界へと歩き出した。

長い道のりの始まりだった。

正夫は、これから様々な困難に直面するだろう。しかし、職員や周りの人の助けを借りながら、少しずつ克服していくことができるはず。

正夫は、もう一人ではない。

彼の心には、小さな希望の光が灯っていた。

終わり
セルフネグレクトは、子供だけでなく、大人も陥る可能性があります。特に、高齢者は孤独死のリスクが高くなります。

もし、自分がセルフネグレクトの状態かもしれないと感じたら、一人で抱え込まず、周囲に助けを求めてください。

あなたを助けてくれる人は必ずいます。

この小説が、セルフネグレクトという問題を考えるきっかけになれば幸いです。


今、田中正夫さんは、毒子の経営する『エデンの園』で、小動物の飼育のお世話をしていただいている。

まだまだ、孤独死予定ではないのだが、少しでも社会の役に立ちたいという本人のたっての希望で働いてもらうことにした。

彼の貴重な経験が、分かち合うという名の宝石に変わりますように。

エデンの園も、少しずつ小動物が増えている。

犬、猫、うさぎ、鶏。優しい癒しが広がりますように
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