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春秋花壇

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霧に霞む古都

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霧に霞む古都

薄暗い路地裏を、一人の老婆が駆け抜けていく。足元は石畳で、雨に濡れて滑りやすい。後ろを振り返ると、黒い影が迫ってくるのが見える。老婆は息を切らしながら、必死に逃げ続ける。

息が切れる。このままだと追いつかれる><

老婆の名前は、花衣(かい)。17歳。古都に住む孤児だ。彼女は、ある日偶然、街の古書店で禁断の書を見つけてしまう。その書には、古都に眠る秘宝の伝説が記されていた。

秘宝を手に入れようと目論む者たちが、花衣を狙い始めたのだ。花衣は、唯一の頼りである幼馴染のお孫さんの青年、アキラと共に、秘宝を守り、街を救わなければならない。

花衣とアキラは、古都の迷路のような路地裏を駆け抜け、古びた寺院にたどり着く。寺院の奥深くには、秘宝が隠されているという。

寺院の扉を開けると、中は霧に包まれていた。薄暗い空間を進みながら、花衣とアキラは、謎の壁画や奇妙な石像を見つける。壁画には、古代の文字が刻まれており、石像は、まるで生きているようにこちらを見つめている。

霧が濃くなり、花衣とアキラは互いの姿を見失ってしまう。花衣は、恐怖に震えながら、名前を呼び続ける。

「アキラ…!?」

突然、背後から声が聞こえた。

「花衣さん、こっちだ!」

振り返ると、アキラが立っていた。しかし、彼の顔は、どこか異様だった。目は金色に輝き、口元には不気味な笑みが浮かんでいる。

「アキラ…あなた…?」

花衣が声をかけようとすると、アキラは素早く手を伸ばし、花衣の首を掴んだ。

「花衣さん、ババアは邪魔だ。秘宝は俺のものだ!」

アキラは、花衣を壁に押し付け、首を絞め始めた。花衣は、必死に抵抗するが、アキラの力は強すぎる。

意識が遠のき、花衣は死を覚悟した。

思えば、花衣の一生は小説のように悲惨なものだった。

5才で、芸者置屋に売られ、仕込みっことして小学校まで過ごしてきた。

小学校を卒業すると、舞妓見習いとしてお座敷に出た。

勝手に着物や帯を買われ、借金は膨れ上がっていった。

舞妓見習いから、舞妓としてお披露目するころには

膨大な額の借金で抜けることなどかなわないように思えた。

年季が明けたらなんて、昔のお姉さん芸者たちは希望を口にしていたが、

この世界しか知らない花衣には借金が奇跡のように消えたとしても、

他に生きるすべを知らないから時期に体を売る

どこかの温泉芸者になるしかないような気さえしていた。

花衣の知り合いの芸者さんの中にも、紐と一緒に暮らしている人。

その人は、紐となった男が刑務所の中で知り合った人にこの街を紹介されたらしいのだが、

それでも好きな人と一緒に暮らせるだけ幸せなのではと思っていた。

何とか、一本の芸者になれたのだが、置屋への看板料、

着物やおけいこごとの借金を返すのに必死で今日まで生きてきた。

「それでも、わたしはしあわせでした……」

「ありがとうございました」

と、観念して目を閉じた。

その時、寺院の奥から光が差し込んだ。光は、霧を吹き飛ばし、アキラを包み込んだ。

「何…これは…?」

アキラは、苦悶の表情を浮かべ、光の中で消えていった。

花衣は、力なく床に倒れ込んだ。意識が朦朧とする中、花衣は、誰かの声が聞こえた。

「よくやった、花衣。君は秘宝を守ったのだ。」

花衣は、目を上げると、美しい女性が立っているのを見た。女性は、微笑みながら、花衣に手を差し伸べた。

「私は、この古都の守護者。君は、選ばれし者なのだ。」

花衣は、女性の手に触れ、立ち上がった。

「これから、君は古都の新たな守護者となる。街の平和を守り、人々を導くのだ。」

花衣は、決意を込めて頷いた。

「はい、必ず守ります。」

霧が晴れた。寺院の奥には、美しい光に包まれた秘宝が置かれていた。

花衣は、秘宝に近づき、そっと触れた。

その瞬間、花衣の体内に、不思議な力がみなぎってくるのを感じた。

花衣は、古都の新たな守護者となった。

そして、秘宝の力を借りて、街の平和を守り、人々を導いていく。

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