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13.真相の究明②
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頭に浮かんだのは愛する人達。
まだ間に合うかもしれないわ。
元に戻れたらガイアだって……。
私に掛けられた術が無事に解けたら優しい両親、可愛い妹、そして愛する人がまた私のところに戻ってきてくれる。
婚約だって正しい形に戻るはず。
その時になって変な誤解をされたくはない。
『他国から来た留学生と親密のようだ』と噂が立っていたら、ガイアだっていい気はしないだろう。
愛する人の心をやっと取り戻せたあとに、疑われ仲違いなどしたくない。
術が解けずに無用の心配に終わるかもしれない。
だけどそれでも…と思わずにはいられない。
まだ愛しているから…。
「ルカ様。これから私と会う時は人目のない場所でお願いしたいのです。頻繁に会っていたら私達の仲を噂する人達が出てくるでしょう。別にルカ様と噂されることが嫌だと思っているわけではありません。
…でも絶対に誤解されたくない人がいるのです!申し訳ありません、勝手な事を言って…」
誤魔化すことなく正直に伝える。
嫌な顔をされるかもと思っていたが、そんなことはなかった。
「分かった、そうしよう。もともと目立たないように人目を避けるつもりだったから問題ない。それに君が誤解されたくない人って元婚約者だろう?
気を使って当然だ、術が解けたら彼は君の隣に戻ってくることになるのだから」
さらりと『戻ってくる』という断定の言葉を使ってくれていた。
淡い期待に必死に縋っている私を励まそうとしてくれているのが分かる、そんな言い方だった。
彼は本当に大人で、私の弱りきった心をさり気ない優しさで包んでくれる。
学園や社交界でも男性と接する機会はあったけれども、ルカ様のような人は初めてだった。
一見すると鋭い目つきから冷たい雰囲気を纏っているように思えるが、その中身は押し付けることのない優しさと気遣いで満ちている。
この人と友人になれた私は幸運だわ。
彼には感謝してもしきれない。
ルカ様、ありがとう。
彼と出会えたことで私の運命が動き出した。
それから私とルカ様は次に会う約束や、急に連絡を取りたくなった時の方法などを決めてからその場をあとにした。
◇◇◇
遅くに屋敷に戻ったが、家族はそれさえ気にしていないようだった。
拒絶のあとからは『無関心』が続いている。
いつもなら夕食の時間になるまで自分の部屋で過ごしているが、今日は自然と家族がいるであろう居間へと向かった。
挨拶だけならいいわよね…?
何も変わってはいないけど、それでも気持ちは前向きになっていたから。
居間の中からは楽しそうな笑い声が聞こえてくる。
一瞬だけ開けるのを躊躇った。
でも勇気を出して扉を開けるとそこには家族だけでなく妹の婚約者となったガイアの姿もあった。
何も変わっていないわ。
あの頃と同じ…。
久しぶりに会う彼だった。
ガイアは私の婚約者だった時も頻繁にゲート家を訪ねていた。それは妹の婚約者になってからも変わらなかった。
だから会う機会はあったけれども、妹に寄り添う彼を見たくなくて、極力会わないように避けてきたのだ。
私が部屋に入った瞬間、笑い声が途絶える。
家族と元婚約者から向けられたのはやはり冷たい視線だけだった。
「シシリアなにか用があるのか…」
邪魔をするなと言わんばかりの口調の父に『帰宅した挨拶をと思いまして…』と小さな声で答える。
母は深い溜め息をつきながら私から目を逸らす。
妹のルーシーは一瞬驚いた表情を見せたあと俯いていたが、私に見せつけるようにガイアの右腕に両腕を絡みつかせ、睨みつけるように私を見てきた。
まだ間に合うかもしれないわ。
元に戻れたらガイアだって……。
私に掛けられた術が無事に解けたら優しい両親、可愛い妹、そして愛する人がまた私のところに戻ってきてくれる。
婚約だって正しい形に戻るはず。
その時になって変な誤解をされたくはない。
『他国から来た留学生と親密のようだ』と噂が立っていたら、ガイアだっていい気はしないだろう。
愛する人の心をやっと取り戻せたあとに、疑われ仲違いなどしたくない。
術が解けずに無用の心配に終わるかもしれない。
だけどそれでも…と思わずにはいられない。
まだ愛しているから…。
「ルカ様。これから私と会う時は人目のない場所でお願いしたいのです。頻繁に会っていたら私達の仲を噂する人達が出てくるでしょう。別にルカ様と噂されることが嫌だと思っているわけではありません。
…でも絶対に誤解されたくない人がいるのです!申し訳ありません、勝手な事を言って…」
誤魔化すことなく正直に伝える。
嫌な顔をされるかもと思っていたが、そんなことはなかった。
「分かった、そうしよう。もともと目立たないように人目を避けるつもりだったから問題ない。それに君が誤解されたくない人って元婚約者だろう?
気を使って当然だ、術が解けたら彼は君の隣に戻ってくることになるのだから」
さらりと『戻ってくる』という断定の言葉を使ってくれていた。
淡い期待に必死に縋っている私を励まそうとしてくれているのが分かる、そんな言い方だった。
彼は本当に大人で、私の弱りきった心をさり気ない優しさで包んでくれる。
学園や社交界でも男性と接する機会はあったけれども、ルカ様のような人は初めてだった。
一見すると鋭い目つきから冷たい雰囲気を纏っているように思えるが、その中身は押し付けることのない優しさと気遣いで満ちている。
この人と友人になれた私は幸運だわ。
彼には感謝してもしきれない。
ルカ様、ありがとう。
彼と出会えたことで私の運命が動き出した。
それから私とルカ様は次に会う約束や、急に連絡を取りたくなった時の方法などを決めてからその場をあとにした。
◇◇◇
遅くに屋敷に戻ったが、家族はそれさえ気にしていないようだった。
拒絶のあとからは『無関心』が続いている。
いつもなら夕食の時間になるまで自分の部屋で過ごしているが、今日は自然と家族がいるであろう居間へと向かった。
挨拶だけならいいわよね…?
何も変わってはいないけど、それでも気持ちは前向きになっていたから。
居間の中からは楽しそうな笑い声が聞こえてくる。
一瞬だけ開けるのを躊躇った。
でも勇気を出して扉を開けるとそこには家族だけでなく妹の婚約者となったガイアの姿もあった。
何も変わっていないわ。
あの頃と同じ…。
久しぶりに会う彼だった。
ガイアは私の婚約者だった時も頻繁にゲート家を訪ねていた。それは妹の婚約者になってからも変わらなかった。
だから会う機会はあったけれども、妹に寄り添う彼を見たくなくて、極力会わないように避けてきたのだ。
私が部屋に入った瞬間、笑い声が途絶える。
家族と元婚約者から向けられたのはやはり冷たい視線だけだった。
「シシリアなにか用があるのか…」
邪魔をするなと言わんばかりの口調の父に『帰宅した挨拶をと思いまして…』と小さな声で答える。
母は深い溜め息をつきながら私から目を逸らす。
妹のルーシーは一瞬驚いた表情を見せたあと俯いていたが、私に見せつけるようにガイアの右腕に両腕を絡みつかせ、睨みつけるように私を見てきた。
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