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66.始まりの一歩②
聞きたいことはたくさんある。
でもまず最初に口から出たのは素朴な疑問だった。
「いつからみんなは知っていたの…?」
本人である私は全く気づいていなかった。
それなのに周りの人達はいつ気づいたのか…。
まずはそこから知りたかった。
「えっ、わりとすぐに気づいたよ。殿下は仕事絡みだと優秀で考えを読ませないけど、恋愛関係は分かりやすかったからさー。ていうか『おい、お前はいくつだよっ』て態度だったから。王族の恋愛教育ってポンコツなんだねー、あっははは」
不敬罪で捕まっても文句は言えないことを楽しそうに話しているナンシー。
でも今の問題はそこではない。
だから彼女の大胆な発言には触れずにおく。
「…全然気がつかなかったわ。それってどんな態度だったの?」
どうして私だけが気づかなかったのだろうか。
「まあ…気付かなくても仕方ないさ、シシリアはいろいろあってそれどころじゃなかったし。
それになんていうかさー、幼稚で分からづらかった」
幼稚という言葉がルカ様と結びつかない。
いつだって彼は大人で、どんなこともそつなくこなしていたから。
「例えばシシリアが手作りお菓子を差し入れすると、甘いものが苦手なはずなのに必死で食べているとか。シシリアの後ろ姿限定で食い入るように見ているとか。それと、シシリアが作った書類だけは処理を終えてもジェイクに渡そうとしないとか。幼稚を通り越して、ちょっとヤバい感じ?
まあ以前の殿下を知っているからこそ分かったけどさー」
「……そ、そうだったの。
全然気がつかなかったわ……」
ある意味気がつかなくて良かったのかもしれないと思ってしまう。
『お好きにどうぞ』と書いてテーブルに置いたお菓子を誰がどれくらい食べているかなんて知らなかったし、私は後ろに目はついていないし、提出後の書類がどうなっていたかなんて知る由もない。
だから気づくはずはない。
本当に分かりづらいわ。
というか分からないくて当然よね…?
私は…悪くないわよね?
「それでOKしたの?それとも『変態お断り』って断ったー?」
前者の聞き方は問題ない、でも後者の言い方は駄目だろう。何が駄目って、『変態』という部分を微妙に否定できないからだ。
「返事はまだしていないの。兎に角いきなりだったから驚いてしまって…。ルカ様もゆっくり考えてから返事をくれれば良いと言ってくれたし」
「ふーん、だから『どうしよう…』なのか。まあ殿下の言うと通りゆっくり考えればいいんじゃない?いくらだって待つよ殿下は。だって5年間も待てが出来たんだから。シシリアは自分の気持ちに向き合うことだけを考えればいいさー」
そうだ、するべきことはぐだぐだ悩むことではない。
想いを告げてくれたあと、彼のことを私はどう思っているのかと自分の心とちゃんと向き合うことがするべきことだ。
正直、今までは彼のことを良き友人以上には見ていなかった。
見れなかったのではない、私自身の状況から恋愛は考えられなかったからだ。
でもいろいろな思いはちゃんと過去にすることが出来た、もう引きずってはいない。
今ならちゃんと向き合って考えられる。
だから今なのだろうか。
ルカ様は私が新たな人生に本当の意味で踏み出せる時を待っていてくれたのだろうか。
偶然ではない…と思う。
彼は最初に会ったときから今に至るまで、ずっと私に無理に何かを押し付けることなくそっと背中を押してくれるような人だった。
そんな彼から告白されて私は慌てたけれども、嫌だとは思わなかった。
照れてしまったのは、それは……。
それは…きっと嬉しかったから。
彼だからそう想えた。
彼の言葉だからこそ、私は断らなかった。
でもまず最初に口から出たのは素朴な疑問だった。
「いつからみんなは知っていたの…?」
本人である私は全く気づいていなかった。
それなのに周りの人達はいつ気づいたのか…。
まずはそこから知りたかった。
「えっ、わりとすぐに気づいたよ。殿下は仕事絡みだと優秀で考えを読ませないけど、恋愛関係は分かりやすかったからさー。ていうか『おい、お前はいくつだよっ』て態度だったから。王族の恋愛教育ってポンコツなんだねー、あっははは」
不敬罪で捕まっても文句は言えないことを楽しそうに話しているナンシー。
でも今の問題はそこではない。
だから彼女の大胆な発言には触れずにおく。
「…全然気がつかなかったわ。それってどんな態度だったの?」
どうして私だけが気づかなかったのだろうか。
「まあ…気付かなくても仕方ないさ、シシリアはいろいろあってそれどころじゃなかったし。
それになんていうかさー、幼稚で分からづらかった」
幼稚という言葉がルカ様と結びつかない。
いつだって彼は大人で、どんなこともそつなくこなしていたから。
「例えばシシリアが手作りお菓子を差し入れすると、甘いものが苦手なはずなのに必死で食べているとか。シシリアの後ろ姿限定で食い入るように見ているとか。それと、シシリアが作った書類だけは処理を終えてもジェイクに渡そうとしないとか。幼稚を通り越して、ちょっとヤバい感じ?
まあ以前の殿下を知っているからこそ分かったけどさー」
「……そ、そうだったの。
全然気がつかなかったわ……」
ある意味気がつかなくて良かったのかもしれないと思ってしまう。
『お好きにどうぞ』と書いてテーブルに置いたお菓子を誰がどれくらい食べているかなんて知らなかったし、私は後ろに目はついていないし、提出後の書類がどうなっていたかなんて知る由もない。
だから気づくはずはない。
本当に分かりづらいわ。
というか分からないくて当然よね…?
私は…悪くないわよね?
「それでOKしたの?それとも『変態お断り』って断ったー?」
前者の聞き方は問題ない、でも後者の言い方は駄目だろう。何が駄目って、『変態』という部分を微妙に否定できないからだ。
「返事はまだしていないの。兎に角いきなりだったから驚いてしまって…。ルカ様もゆっくり考えてから返事をくれれば良いと言ってくれたし」
「ふーん、だから『どうしよう…』なのか。まあ殿下の言うと通りゆっくり考えればいいんじゃない?いくらだって待つよ殿下は。だって5年間も待てが出来たんだから。シシリアは自分の気持ちに向き合うことだけを考えればいいさー」
そうだ、するべきことはぐだぐだ悩むことではない。
想いを告げてくれたあと、彼のことを私はどう思っているのかと自分の心とちゃんと向き合うことがするべきことだ。
正直、今までは彼のことを良き友人以上には見ていなかった。
見れなかったのではない、私自身の状況から恋愛は考えられなかったからだ。
でもいろいろな思いはちゃんと過去にすることが出来た、もう引きずってはいない。
今ならちゃんと向き合って考えられる。
だから今なのだろうか。
ルカ様は私が新たな人生に本当の意味で踏み出せる時を待っていてくれたのだろうか。
偶然ではない…と思う。
彼は最初に会ったときから今に至るまで、ずっと私に無理に何かを押し付けることなくそっと背中を押してくれるような人だった。
そんな彼から告白されて私は慌てたけれども、嫌だとは思わなかった。
照れてしまったのは、それは……。
それは…きっと嬉しかったから。
彼だからそう想えた。
彼の言葉だからこそ、私は断らなかった。
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